at 新疆鄯善 on 01/Aug/1999
夕方、ピチャンの南方にある沙漠へむかった。防砂林の向こう側には、砂丘が地平線まで続いているのが見える。名前は沙山公園という変わり映えのしないものだが、その内容は、これぞ沙漠といえる見事な沙漠だ。これのどこが公園かね?と聞いてみたい。日本人の沙漠のイメージに一番ぴったりくるのではないだろうか。
ビーチサンダルで砂丘を登り始めた僕は、まずいことに気づいた。砂が熱い。一歩踏み出す毎に、足の裏とサンダルの隙間や、足の指の間に熱く焼けた砂が流れ込んできて、そのうちに足首まで埋もれてしまう。思わず悲鳴を上げそうなほど熱い。既に砂丘のほぼ中間まで登ってしまい、足を砂にとられた状態では麓が果てしなく遠いように感じられ、後に引き返すわけにはいかない。サンダルを手に持ってダッシュで数メートル前進し、サンダルを足の下に敷いて足の裏を冷やすという不思議な動作を繰り返す羽目に陥った。
熱い砂と戦いながら、なんとか砂丘の稜線部に到達した。稜線反対側の日陰部分の砂がひんやり冷たいことを発見し、足を冷やしながら腰を下ろす。強い風にのって、細かい砂が斜面を駆け登るように流れてきて、稜線の部分で空中にパアッと散らばる。日が沈むにつれて、そこらの砂丘の陰がどんどんと伸び、砂の色がどんどんと変化し、淡い赤紫色の世界になっていった。