at 新疆吐魯番 on 04/Aug/1999
トルファンの東方には、西遊記でおなじみの火焔山(火焰山 huoyanshan)があって、「一日旅遊」に参加すると必ずそばを通る。褶曲してひだ状になった、赤紫がかった茶色の山肌と、昼間の強烈な太陽熱によって生じる陽炎とが、火焔山と呼ばれるようになった由来だ。ところが、今日はあいにくの曇り空なので陽炎がなく、残念ながら火焔山になっていない。ずっと同じ景色が続くので、途中で飽きる。火焔山に沿って東に進むと、「火焔山」と書かれた看板があるスペースが道脇に設けられていて、我先にと看板前の位置どりをする観光客は、今までの観光地と同様だ。
火焔山はいわゆる一つの頂上を頂く山ではなくて、東西100km、南北10kmにわたるミニ山脈状の山地である。火焔山山中の北西に、ベゼクリク千仏洞(柏孜克里克千佛洞 baizikelike qian fo dong)という石窟がある。しかし、ムスリムによる破壊と、主にドイツ人探検家による収奪により、現在は無残な状況だ。ベゼクリク千仏洞の少し手前に、西州天聖園と火焔山大漠土芸館という施設がある。自分はベゼクリク千仏洞の入場料だと思ってこれらの施設への入場券を買ってしまったが、都築響一さんの「珍日本紀行」の中国版を身をもって体験してみたい人以外は、チケットを買わないほうがよい。しかし、石窟の外の、ムルトウク河渓谷の景色だけはすばらしいもので、玄奘たちがここを越えていったと思うと、ロマンがある。