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- India Himachal Pradesh (インド ヒマーチャルプラデシュ州) Archives -

at インド ダラムサラ(Dharamsala) on 06/Sep/1999

Posted by snotch at December 22, 2003 11:49 PM

ダラムサラへ発つ。アムリトサルのバススタンドからパタンコット行きのバスにのり、乾燥した畑の続く平野を走ること約4時間。夕方になってようやくパタンコットに到着し、ダラムサラ方面へのバスを待つ。パタンコットを出発すると、すぐにヒマーチャル・プラデシュ州に入り、それと同時に平地から山地へと周囲の景色が変化する。まさにこの辺りが、インド平原とヒマラヤ山脈の境目ということになる。

山地に入ると途端に道が悪くなり、おまけに乗り心地の悪いバス後部にいたので、立っているのが大変な程。景色を楽しむ余裕を失いかけていたところに、インド版女子高生が大勢乗り込んできて、あっという間に車内は大賑わいの超満員。若い熱気がムンムンだわ、バスは大揺れだわで、ちょっとした修羅場である。

ラッシュの乗客が次々に降りていき、車内がすいてくると、辺りの気温がずいぶんと下がっていることに気づく。平地の熱気が嘘のようで、真夏なのにひんやりと涼しい。Ghurkurでバスを乗り換え、19時過ぎにダラムサラに到着。21時にマクロードガンジ行きの最終バスがあるというので、夕食を摂ったのち、バススタンドで待つ。

時刻を過ぎてもバスはなかなか来なかったが、インド人タクシードライバが今日のバスはキャンセルされたとハッタリをかました瞬間、最終バスがやってきた。果たしてここに、ダライラマ猊下はいるだろうか?

at インド ダラムサラ(Dharamsala) on 07/Sep/1999

Posted by snotch at December 30, 2003 8:23 PM

朝は、ずいぶんと冷える。そして水シャワーしかない。午後になるとどこからともなく雲が沸いてきて、それほど温度が上がらないまま夕方になってしまうので、午前11時頃を見計らって冷たいシャワーを浴びるのがよい。
マクロードガンジには、小さな道に沿って旅行者向けの宿とレストランが並び、山の斜面に張り付くようにして建っているので、どの建物からも深い緑に覆われた山々を眺めることができる。見晴らしのよい場所からなら、遠く山裾がインド平原へと続くのが霞んで見える。チベット亡命政府があることもあって、世界的にも知名度のある土地で、ヨーロピアンの旅行者の割合が多い。また、ボランティアに従事している人も多く滞在している。

ダライラマ猊下の住まいであるダライラマパレスは、マクロードガンジから数百メートル離れた小高い丘の上にあって、丘の周囲にはコルラすることの出来る周回道が巡っている。飛行機で渡航してきたであろう裕福そうな人々も見られるが、遠くチベットから幾多の危険を冒して、陸路で亡命してきたであろう信者にも出会う。
周回道には、五大(地水火風空)を表すカラフルな色で、六字咒真言(オム・マニ・ペ・メ・フム)が刻まれたマニ石があちこちにみられる。チベットの過酷な自然環境を背景にしたマニ石と異なり、濃い緑の中にあるマニ石はよりいっそう艶やかに見える。

at インド ダラムサラ(Dharamsala) on 07/Sep/1999

Posted by snotch at December 31, 2003 9:31 AM

ダライラマパレスの周回道沿いには、小さなの寺院、数々のマニ車とストゥーパがある。ストゥーパといえば、もとは仏舎利や遺物などを安置した建造物を意味し、インド・サーンチーにある直径30m程度のドーム状のものなどが原型に近いとされている。ブッダ亡き後、しばらくの間は仏像を拝むという行為そのものが存在しなかったが、その代わりに信者たちは仏舎利が納められたストゥーパを大切にしたといわれている。

現在、ネパールやチベットでは、方形の基壇の上にドーム状の構造物がのり、頂上に塔が立っているものがあちこちに見られ、ネパール・ボダナートにある巨大ストゥーパは特に有名である。基壇部分には、花模様などの装飾が施されることが多く、ここダラムサラの寺院近くに建造中のストゥーパで、僧が装飾を施している最中の作業を間近に見学することが出来た。

ちなみに、日本のお墓の背後に立てられている卒塔婆(そとうば:供養・追善のため、墓などに立てる細長い板)の語源は、ストゥーパであるという説は有力で、遠くインドでドーム型であったストゥーパが、数千年のときを経て、こうして日本にも伝えられている。なるほど、塔婆に切り込まれている輪郭の形状は、ストゥーパの頂部にある塔の形状にそっくりである。

at インド ダラムサラ(Dharamsala) on 08/Sep/1999

Posted by snotch at January 6, 2004 9:58 AM

マクロードガンジから徒歩約5分、ダライラマパレスのある丘を斜めに見上げる位置に Tsuglagkhang コンプレクスがある。大きな寺を中心として、亡命政府の政府機関が集まる場所でもある。寺とはいってもRC造の簡素な造りの建物であるが、数百人の信者達が座って読経したり、食事を摂ることが出来る程度の広さはある。細部にこだわらない簡素な造りが、かえって一時的な亡命政府らしさを感じさせているようでもある。
寺の前には、小学校の校庭ほどの広場があって、ダライラマ猊下との謁見式はこの広場で行われるらしい。今回の訪問では、当分の間、ダライラマ猊下を目にすることは出来ないということだった。

at インド ダラムサラ(Dharamsala) on 09/Sep/1999

Posted by snotch at January 11, 2004 3:20 AM

マクロードガンジから山の手に向かって数キロ程度歩くと、Bhagsunathという村にたどり着く。ヒンドゥ寺院を中心とした静かな村である。住んでいる住民はチベット人でないから、もともとこの地にあった村なのだろう。村の集落のはずれに、庭に大木が生い茂る民家が一軒だけ離れて建っていて、周囲の景色に溶け込みながらも堂々とした外観が印象的である。この村の家々に共通しているのは、素材にスレートが使われていることであるが、その民家では、庭の敷石から、壁、屋根に至るまで、総スレート仕上げになっていて、特にぎっしりと隙間なくスレートを積み上げて形作られた外壁は、ひときわ重厚感を発している。

さらに渓谷の奥へと進んで行くと、徐々に緑が途切れ途切れになり、急斜面が目前にせり出すようになる。空を見上げると、すぐ間近にあるように見える雲が、怖いくらいのスピードで流れている。時折、雲が途切れた瞬間に薄日が差して、あちこちの山肌がきらきらと眩しく輝くのに見とれていたが、しばらくたって、そのきらきらと輝くものの正体は、どうやら無数の小さな石片であることがわかる。目を凝らすと、その石片が露出する斜面の遥か上方に、複数の人影がうごめいているので、どうにもその正体を確認したくなって、その斜面を登っていった。

恐る恐る近づいてみたものの、何のことはなく、そこは 5,6人の男たちがスレートを加工する現場であった。彼らの生業は、毎日ここまで登ってきて、数人ずつの共同作業で採掘・加工をこなし、出来上がったスレートを村まで持ち帰るということである。見ていて実に地道な作業である。ちなみに、標準的大きさのスレートを、一片2Rs程度で売るのだそうだ。
30分も眺めていると、スレートを長方形に切り出す担当者の脇には、こんもりと石の削りかすの山が出来る。それを、採掘の担当者がすくって運び、斜面下方へ押し流すのだ。あの、きらきらと光る山の斜面の正体が、彼らが毎日繰り返すスレート加工の削りかすの堆積であること思うと、恐れ入りますとしか言いようがない。

at インド マナリ(Manali) on 10/Sep/1999

Posted by snotch at January 22, 2004 11:24 AM

ラダックへの陸路入り口となる、マナリへ向かう。60年代に初めて旅行者に発見されたときには、桃源郷と呼ばれたほどに静かで落ち着いた村だったらしいが、今ではインド人の避暑地として多くの観光客で賑わい、通りにはレストランと土産物屋が並ぶ町になっている。日本でいうなら軽井沢といったところか。

町の中心部近くはどうにも騒々しい感じがしたので、マナリを少し奥に入ったところにある、オールドマナリという地区で宿を探した。マナリでは宿が過剰に建設されたおかげで、オールドマナリまできても完全に価格破壊が起こっているようだ。真っ白なシーツが敷かれた大きなベッドに、ホットシャワー・トイレ付きで 100 Rsであるから、インドの物価感覚からしても非常に廉価だ。

部屋に落ち着いてしばらくすると、宿の客を相手にハシシを売り歩く男がやってきてドアをたたく。売り手と買い手が常に競り合うインドにあって、しきりにモノを買ってくれとせがみながら情けない表情をするので、町も人も不如意な状態なんだなと痛ましく思ったが、ムゲに断ることにした。

at インド マナリ(Manali) on 11/Sep/1999

Posted by snotch at January 31, 2004 11:59 PM

at インド マナリ(Manali) on 11/Sep/1999

Posted by snotch at February 5, 2004 12:27 AM

マナリの北東側と町の南寄りは、チベタンの居住エリアとなっている。3食カレー漬けの日本人の胃にはとても有難いトゥクパ(チベット風ラーメン)などが食べられる。こういう旅行者が集う場所に住むチベット人の中には、必ずといってよいほど商売の上手い人達がいて、特に西洋人バックパッカー向けのレストラン・カフェなどは、内装、メニュー共にインド人にはなかなか真似の出来ないクオリティを提供している所がある。
そのような地域の外れに、60年代にこの地にやってきたチベット難民達が建てたとされる Gadhan Thekchokling Gompa (ガダン・テクチョーリン・ゴンパ) がひっそりとある。入り口の脇のスペースで、冴えないおやじさんがひたすらタルチョを刷っていて、いかにも場末な感じが漂っているが、内部はきれいに手入れがしてあって気持ちが良い。タルチョの張替え時期が迫っているにも関わらず、インクのにおいをプンプンさせたおやじさんは、堂内をくまなく案内してくれた。

at インド マナリ(Manali) on 12/Sep/1999

Posted by snotch at February 8, 2004 12:00 AM

マナリの西のドゥングリ(Dhungru)村周辺に広がる森に、この地方の女神ハディンパを祀るハディンパ寺院(Hadimba temple)がある。杉板葺きの印象的な四方屋根をもつこの寺院は、杉の木が茂る森にそこだけ、ぽっかりとあいた空間にある。正面のファサードは見事な木彫で覆われており、残り三方の側面は水牛の角で飾られている。ハディンバを鎮めるための生贄の角だろうか。
どこからともなく、水牛にまたがった、とても女神には見えないお茶目なスィク教徒がやってきて、一緒に森を散策する。

at インド サルチュ(Sarchu) on 15/Sep/1999

Posted by snotch at February 10, 2004 1:23 AM

早朝6時にレー(Leh)行きのバスが出発。レーまでは475kmの道程で、順調に行けば、明日の夕方には到着する予定。4000m級を2峰、5000m級を2峰越える、世界でも稀な、高所を通るルートだ。当然、バスの運転手の力量が、快適な移動にとってものをいう場面であるが、これがなんとも頼り難い風貌で、どう見ても18,19の少年なのだ。運転する目がマジなのが、ますますスリリングな雰囲気を生んでいる。時々、彼の隣についている先輩ドライバーらしき人物に、何かしらのアドバイスを求めるのもやめてほしい。
マナリを出発して最初に越える峠、ロータン峠(3978m)を登る途中、谷側に転倒したトラックを引き起こす作業現場を通りかかった。遥か下まで転げて行ったトラックは数知れずだろう。運転手君ホント頼むよ。

ロータン峠にはトラックの休憩場があって、軽食を摂ることの出来る小屋がいくつかならんでいる。周囲の山々に阻まれて遠くまで視界が利かないのと、天気が穏やかなせいで、既に富士山よりも高いところにいるという実感があまり湧かない。ただ、太陽の光線が幾分鋭いように感じるのと、生き物の気配が少ないこと、売店にある売り物の値段が少々高価なことが、高所であることを感じさせてくれる。

at インド サルチュ(Sarchu) on 15/Sep/1999

Posted by snotch at February 16, 2004 2:01 PM

今日の宿泊地に到着したのは、21時をまわった頃。サルチュの少し先にあるキャンプ地には、百頭程の羊が放牧されているのと、20畳程度の広さのテントが4~5棟あるのみで、周囲の大地は、ほんの僅かの草と岩石に覆われている。ダル(豆のカレー)をいただいた後、テントの外へ散歩に出ると、上弦の月が眩しいほどに輝いていて、すぐ近くの山肌に積もった雪が、くっきりと目に映る。
寝袋に包まって布団に入ったが、テントの隙間から冷たい風が入ってくるのと、なぜか布団が濡れていて冷たいのとで、なかなか寝付けない。目をつぶっていると、風と羊の気配のみがテントの布越しに伝わってくる。

at インド バタル付近 (near Batal, India) on 05/Oct/1999

Posted by snotch at October 27, 2005 11:45 PM

Manali - Kaja
manali - kaja

 マナリから北にあるロタン峠(Lotan La 3978m)を越えて谷に下ったところで,レーに向かうのとは反対の東の方角へ分岐すると,ここからしばらくの間,チャンドラ川(Chandra)に沿って緩やかな勾配が続く.この辺りの流域は,数キロ先の山裾まで延々と河原が続いており,辺り一面,丸みを帯びたカボチャ程の大きさの石が河原の砂利に半分埋もれて頭を出している.

 TATAのオンボロ公営バスは,時折気にする事なくそのカボチャ石を踏むので,固いサスペンションに支えられた車体はガタガタと大きく軋む.一応指定席のチケットなので,本当なら乗り心地の良い前方の席が自分にあてがわれていたはずなのだけど,何故かそこに西洋人のペアが座っているので,仕方なく後部の座席から彼らの後ろ姿を拝んでいる.

at インド バタル付近 (near Batal, India) on 05/Oct/1999

Posted by snotch at November 14, 2005 11:50 PM

Chandra Valley

at インド クンザン峠 (Kunzum la, India) on 05/Oct/1999

Posted by snotch at December 5, 2005 12:41 AM
 石ころを踏みながらガタガタするバスに揺られ,ロタン峠(Lotan La)からチャンドラ川(Chandra)に沿って60km程上流へ登ると,クンザン峠(Kunzum La 4551m)に至る.歩いて数分の距離にあるではないかと錯覚するほど近くにまで,大きな氷河が迫って来ている.周囲の岩と氷の他には目印となる対象やスケールを比較できる対象が存在せず,また,空気中のチリや水蒸気が極端に少ないために距離に比例して遠くが霞むということがないので,バスの車窓からの風景は,氷河までの距離感やカール谷のスケール感が失われた,だまし絵のようだ.ここからスピティ渓谷へ一気に下る.

 峠を越えて標高を3500m程度まで下げ,もうあと少しでカザに着くのではないかという頃,運転手のオヤジはそれまでに増してスピードに取り憑かれ,大きな石ころだらけの道を猛スピードで邁進し始めた.いよいよバスの振動に体が痺れてきた頃,オヤジの乱暴な運転に耐えかねたバスは悲鳴をあげた.ドーンという何か大きな音がしたと思ったその直後,自分の背後から爆風のような砂埃が襲ってきて視界が真っ黄色に・・・・・.30秒程の後,埃を払いながら後ろを振り向くと,最後部の座席が骨組みごと垂直になって床に刺さっており,バスの背面に開いた直径20cm程の穴からは,外の明るい景色がよく見える.気づかないフリなのか,そもそも驚くに値しないことないのか,それを確かめる気力すら湧いてこない程に,運転手は相変わらず快調に目的地に向かって邁進している.


at インド カザ (Kaza, India) on 06/Oct/1999

Posted by snotch at January 5, 2006 12:01 AM

Kaza linga
Air view of Kaza

カザはスピティ一渓谷の中心となる町で,キ・ゴンパ(Ki Gompa)への起点となる町でもある.町の北側の斜面を10分ほど登ったところに小さなヒンドゥ寺院があって,そこからカザの町を一望することができる.町の中央を南北に流れる川を挟んで,東側には旧市街,西側には緑やエンジのトタン屋根の役所が立ち並ぶ新市街が拡がっている.旧市街の南側は,スピティ川へと続く緩やかな斜面になっていて,麦の収穫を終えた畑で一面を覆われている.
風が痛いほどに冷たく,眼が痛いほどに雲が眩しい.視力が4.0くらいになったようだ.

at インド カザ (Kaza, India) on 06/Oct/1999

Posted by snotch at January 15, 2006 12:50 PM

In front of supermarket in Kaza, India

ここから更に東へ進むと,インドと中国間の未確定国境ラインがある.住まっている人,言葉,食物,ゴンパの存在等からして,ここはチベット文化圏に違いないのだが,国境という仮想の線を引くと,チベットを自国のものと主張する中国でもなければ,チベットでもなく,インドとなっている.そういう複雑な事情をかかえた場所なので,ここから先のスムド (Sumdo)からキナウルのジャンギ (Kinnaur, Jangi)まで,外国人旅行者はパーミッションを必要とする.なんだか知らんが,新市街にあるADC OfficeとPolice Stationの間を,書類を手にして2往復くらいさせられたので,午後がまるまる潰れてしまった.写真は,そんな夕方,カザ旧市街のスーパーマーケット前にて.

at インド キ (Ki) on 07/Oct/1999

Posted by snotch at February 27, 2006 7:02 AM

View from Ki village

View from Ki village

at インド キ (Ki) on 07/Oct/1999

Posted by snotch at February 27, 2006 7:38 AM

View from Ki village

カザから北西20km程の所にあるキッバル行き(Kibbar)のバスは一日一本14:00発.このバスに乗って45分ほどの所にある小さな村,キ村(Ki)で降ろしてもらう.ここからキ・ゴンパ (Ki Gompa) までは,小一時間かけてゆっくりと斜面を登ることになる.途中,背後を振りかえって小休止すると,渓谷を挟んだ河の対岸の一角に,小さな集落がへばりつくようにして砂の上に載っているのが見える.何かちょっとでも地球の機嫌を損ねたら,この集落はすぐに消えて無くなってしまうのではないかと不謹慎なことを思ってしまう程,はかなくもろいように感じる.

at インド キ (Ki) on 07/Oct/1999

Posted by snotch at March 2, 2006 2:15 AM

Ki Gompa

キ・ゴンパ(Ki Gompa)は,スピティ地方において最古の,そして最大の規模を誇る見事なゴンパ.そそり立つ小高い岩山の頂部に寄り添うように僧坊が並ぶ姿は,規模こそ及ばないものの,ラダック地方のティクセ・ゴンパラマユル・ゴンパを思いださせる.
 ここのゴンパは時々やってくる訪問者に比較的慣れているようで,ゴンパの内部を丁寧に拝観させてくれたうえ,立派な寝床まで提供していただいた.夕食はダル,ライス,タマネギトマトサラダという御馳走メニュー.夢中で一片,一滴残さず平らげた.

at インド キ (Ki) on 08/Oct/1999

Posted by snotch at March 6, 2006 2:41 AM

今日もまた,陽が昇る.

at インド キ (Ki, India) on 08/Oct/1999

Posted by snotch at April 30, 2006 12:30 AM


キ・ゴンパからカザへの道程は一日で歩ける距離のようなので,歩いて町へ帰ることにする.岩山の斜面に作られた,獣道のような細い砂利道を,滑り落ちないように注意をはらいながら降りてゆく.平地部分に広がる畑は,パッチワークのような模様になっていて,目を凝らすとごま粒のような牛が沢山いるのに気がつく.谷間の突き当たりにみえる岩山の頭上に,綿菓子のような雲がやってきて,その真下に濃い影を落としている.天気は快晴.あまりにも濃い群青の空に浮かぶその雲は,一飛びで10万8千里をゆくキン斗雲のようでもあり,また,雲の真下に何かがあることをお告げしているかのようでもある.

at インド キ (Ki, India) on 08/Oct/1999

Posted by snotch at May 7, 2006 9:03 PM
キ村の周辺に広がる,パッチワークのような畑

at インド キ (Ki, India) on 08/Oct/1999

Posted by snotch at May 7, 2006 9:04 PM


崖からキ村を見おろすキ・ゴンパ

at インド タボ (Tabo) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at May 16, 2006 7:30 PM


屋根上まで超満員のタボ( Tabo )行きバスは,朝9時まえにカザを出発.スピティ川( Spiti )沿いに,崖を削った一本道が続く.怪しく濁ったエメラルドグリーン色の水が奔流となって,時折白波をたてながら静かに流れている.
変化に乏しい道を数時間進んだところで突然バスが止まり,エンジン音がやむ.巨大な落石が道の真ん中に陣取っており,道の両側はどちらも崖なので,双方からやってきた車両が立ち往生している.人力では為す術無く,川の流れる音だけが,虚しく渓谷にこだましている.バスの乗客もやれやれといった表情で,落石の周りで井戸端会議を始めている.
よく訊くと,タボまではあと4,5kmとのこと.いつ応援の重機械がやってくるか全く知れないので,ピクニックと思って歩くことにした.

at インド タボ (Tabo) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at May 20, 2006 12:52 AM

at インド タボ (Tabo) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at May 20, 2006 12:53 AM

at インド タボ (Tabo, India) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at May 23, 2006 12:48 AM

バスを降りて小一時間ほど歩くと,切り立った崖に挟まれていた空が突然広がり,目の前の視界が大きく開ける.どうやらタボの村に到着したようだ.
何をするにせよ地形による制約が大きいためか,人為の及んでいる範囲がはっきりと目に見てとれる.五感で村の境界を感じられるという点で,歩いて村に入るというのはなかなか面白い.村の中心へ向かうにつれポプラなどの緑が増え,今まで道沿いに流れていた河の飛沫の音が遠のいてゆくからなのか,まだ村人に遭遇したわけでもないのに妙に安心を誘う.

at インド タボ (Tabo, India) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at July 20, 2006 12:50 AM

india tabo village

Sunset at Tabo village

at インド タボ (Tabo, India) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at July 21, 2006 12:05 AM

Air view of Tabo village

Air view of Tabo village

at インド タボ (Tabo, India) on 09/Oct/1999

Posted by snotch at July 22, 2006 12:21 AM

Tabo Gompa

Tabo Gompa

at Tabo, India on 09/Oct/1999

Posted by snotch at July 28, 2006 8:38 PM

tabo gompa
tabo gompa

 グゲ王国 (Guge) の大訳経僧リンチェン・サンポ (Rinchen Jangpo) が此処タボ・ゴンパ (Tabo gompa)を創建した年から数えると,今年はなんと1003年目.タボ・ゴンパは,これまでラダックで訪れてきたような,険しい岩山の頂部に白壁のお堂と僧坊が密集する形式のものとは全く異なり,九つの土色のお堂と,二十三のチョルテンがフラットな敷地に配置されている.お堂の大きさと形に関してはラダック式と大差ないが,壁の色と配置が変わっただけで,全く別種の施設かと見紛うほど印象が異なる.

 お堂外部の姿形はさして目を引かないが,真昼でも暗闇に近いお堂内部の空間と,その暗闇に浮かぶ数々の装飾にはタメ息がでる.

at Tabo, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at July 30, 2006 11:42 PM

at Tabo village, India
at Tabo village, india

at Tabo, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 3, 2006 12:49 AM

Air view of Tabo village in the morning, India

Air view of Tabo village in the morning

to Nako from Yangthang, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 5, 2006 12:20 AM

to Nako from Yangthang, India

 タボからさらに東へ,激しくうねる崖道をバスで半日行くと,ヤンタン (Yangthang) というトラックストップに到着する.中国との暫定国境までは10数キロ,もう目と鼻の距離だ.

 そもそもチベットは,東は現在の中国四川省,西はインドのラダック・ザンスカールにまで拡がる広大なエリアであるわけだが,現在はインドと中国の両国の領土に属している.この辺りは中国領チベットと直に接しており,西へ進めばダラムサラへと道が続くこともあって,夜な夜なチベット亡命者達が越境してくる地域なのかもしれないと想いを巡らせる.

 ここヤンタンから数キロのところにあるナコ(Nako)という村が,ひょっとするとインドの領土内にあって中国に最も近いところにあるチベット村の一つなのではないかと見当をつけ,いったいどんな場所なのか訪れてみたいと思った.

 ということで,ヤンタンのトラックストップのスイート(屋根つきの部屋)にチェックイン.荷物を降ろして,渇いた山のあぜ道をナコに向かって登り始めた.

to Nako from Yangthang, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 7, 2006 9:44 PM
 ナコに至るあぜ道を一時間半ほど登ると,小さな実を付けたリンゴの木がそこかしこに植えられていて,木々や岩の陰から人の気配を感ずるようになる.息を切らして黙々と斜面を登っていた折,ふと顔を上げると村の女の子が2人,こちらに向かってやってくる.もちろん言葉は通じないが,お互い挨拶をして一緒に遠くの山を眺めるという贅沢な時間が流れる.厳しい自然環境である故かもしれないが,人と人が出会うということはこんなにも有意義なことなのかと改めて実感した.

Nako girls, india

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 9, 2006 9:00 PM

Nako village, India

Enter the village

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 12, 2006 10:52 AM

Nako village, India

Nako, fossilized village

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 17, 2006 8:30 PM
 ナコは,数百年前の村がすっかりそのまま化石になってしまったかのような村だ.畑の作物は全て刈り取られ,空の色を思いきり濃くしたような色の池の周囲に植えられたポプラは,見事な黄朽葉色に染まっている.もう冬の準備ができました,という静けさだ.

Nako village, India

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 25, 2006 9:27 AM

Nako village, India

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 27, 2006 10:30 AM

at Nako village, India
Nako village with water pool. Poplars have turned a brilliant yellow.

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 28, 2006 8:30 PM

at Nako village, India

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at August 30, 2006 11:30 PM

村の路地を散策してみる.地面にはふかふかの土が敷き詰められ,躰の両脇は黒い石垣で固められている.
時折,家畜のヌルい匂いが冷たい風にのって路地をぬける.
これはひょっとすると,路の触感を味わうということかも知れない.

at Nako village, India

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at September 2, 2006 9:00 PM

at Nako village, india

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at September 5, 2006 9:00 PM

at Nako village, india

お互い,未知の生命と遭遇したかのようだった

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at October 3, 2006 12:10 AM

at Nako village, india

at Nako, India on 10/Oct/1999

Posted by snotch at October 5, 2006 1:13 AM

at Nako village, india
ナコ村の夕暮れ (dusk at nako village)

at Kalpa, India on 11/Oct/1999

Posted by snotch at October 7, 2006 12:35 AM
at Kalpa village, India
朝8時,ヤンタンのトラックストップを出発し,道中何事もなく,お昼時にレコンピオに到着する.しばらくぶりの町らしい雰囲気にわくわくしながらインドカレーを食し,くどすぎるほど甘ーいインド菓子を甘ーいチャイで流し込むのを楽しむ.バスがなかなか来そうもないので,カルパ村 (Kalpa village) へ行くトラックの荷台に乗せてもらう.風を切って山道を登り,カルパ村に到着したところで荷台から降りると,真正面で真っ先に自分を出迎えてくれたのは,キナールカイラス (Kinnaur Kailash) でした.
(この際どちらでも良いかもしれませんが,一応写真右側がキナールカイラスです)

at Kalpa, India on 11/Oct/1999

Posted by snotch at October 21, 2006 12:11 PM

Kinnaur Kailash at Kalpa village, India

Blood-red Kinnaur Kailash

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at October 25, 2006 9:00 PM
at Kalpa village, India
松やヒマラヤ杉の黒々とした林のなかでフッと明るく開けた場所に,所々紅葉し始めた艶やかな広葉樹に囲まれた,スレート葺きの木造家屋.一昨日と昨日とで,岩石の世界から植物の世界へ駆け降りてきたのだなあと実感する.寒い場所の植物と,暖かい場所の植物がせめぎ合っているからなのか,聖山の麓にあるこの村は,微妙なバランスの上に成り立つ繊細な空気に包まれているように感じる.

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at October 27, 2006 9:00 PM

at Kalpa village, India

Walking in Kalpa village.

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at October 31, 2006 8:30 PM

at Kalpa village, India

Brothers in Kalpa village.

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at November 4, 2006 3:03 AM

at Kalpa village, India
Kalpa village at the base of Kinnaur Kailash

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at November 22, 2006 10:05 AM
 この村の成人した男子は,緑色のフェルト帽を装着することになっているようだ.カルパ村の中心部近くにあるヒンドゥ寺院の庭に,十人ばかりの男が世間話などをしながら座っていたので,その中で最も帽子が似合っている紳士を撮らせてもらった.濃緑色のフェルト帽は,ファッションとして非常に上品な造りとなっているが,おそらくは宗教的な意味合いもあるのだろう.シバの住む巨大な雪山に,常時見おろされているのだから,帽子を被りたくなるのも分かるような気がする.

Kalpa, India

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at November 27, 2006 10:00 PM
 カルパ村の集落と周囲の森とのちょうど境界ともいえる場所に,尖り屋根の小さなお寺がある.日本でいうところの,鬼門を守る寺院のようなものだろうか.お寺のすぐ脇には,小さいながらも存在感のある門がポツンと構えられていて,村から山へと道が続く道はこの門をくぐっている.この村を出入りする人々は皆,曼荼羅を頭上に感じて門をくぐるらしい.

at Kalpa, India

--- Mandala at the boundary of Kalpa village ---

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at November 30, 2006 1:09 AM
 カルパ村集落の中央にある寺院の軒下には,鈴棒のような形に彫った木製の何物かが,等間隔にぶら下がっている.安易に鳴らしたり引っ張ったりしてはいけない.石と木材を交互に積み重ねて組んである壁,丈夫そうな梁,野路板に重なるスレート板など,みるほどにディテールが作り込まれているのがわかる.

at Kalpa, India

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at December 5, 2006 8:30 PM

- 寺の境内でプジャは未だかと待つ人々 -

at Kalpa, India

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at December 7, 2006 7:30 PM

- The temple at the center of Kalpa, Narayan Nagini temple -

at Kalpa, India

at Kalpa, India on 12/Oct/1999

Posted by snotch at December 9, 2006 11:33 PM

どこか既視感のある入母屋.切り妻部分には,魔除けと思われるスレート片が幾つも吊られている.

at Kalpa, India

at Sangla, India on 13/Oct/1999

Posted by snotch at December 21, 2006 1:31 AM
 カルパ村からのマイクロバスは,レコンピオを経由してサトレジ河 (Sutlej river) の流れる谷まで一旦くだり,岩が頭上すれすれに覆い被さっているような崖際の道を乱暴に蛇行しながら,サトレジ渓谷の下流へと進んでゆく.崖道を数十分走ったところで,バスパ河 (Baspa river) の流れるサングラ渓谷 (Sangla valley) へと道を折れ,時折キナール・カイラスを左に仰ぎながら,ゆっくりとしたペースで渓谷を登ってゆく.バスの車窓は,日本の晩秋の昼下がりという風情で,この時期まだ暖かい日中の陽と紅葉した木々とが眠気を誘うのか,バスの乗客のほとんどが眠りにおちている.

 いつの間にか自分もしばらく眠っていたようで,バスを降りようと思っていたサングラ村 (Sangla village) をしばらく乗り過ごしたところで目が覚めた.乗り過ごしたおかげで,村に到着したときには既に日が暮れかけていたが,古都カムルー村 (Kamru) をちょっと見ておきたいと思って村の外れを散策してみた.遠目に見る丘上のカムルー村は,背後に急峻な岩山を聳えさせ,足回りにリンゴの果樹園を配し,この地方の古都らしく威風堂々としている.


at Sangla, India

at Kamru, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at January 5, 2007 8:20 AM

- The ancient town of Kamru -
at Kamru, India

at Kamru, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at January 10, 2007 10:00 PM

- Gateway to the ancient town -
at Kamru, India

at Kamru, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at January 19, 2007 3:50 AM

急な斜面に住宅が密生していて,ようやく余った空間を路地が走っている.超立体的な空間として造られた古代都市だ.
at Kamru, India
at Kamru, India

at Kamru, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at January 28, 2007 2:42 AM
 カムルーの王宮の前庭には,神聖なる匿名な空間が設置されている.円形の前庭の中央にあるお堂には,よく使い込まれたタブラーが紐に巻かれて吊されていて,祭りの日にはきっとこの場でプジャが行われるのだろう.
at Kamru, India
at Kamru, India

at Kamru, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at January 31, 2007 11:55 PM

- The palace at Kamru -
Palace at Kamru, India

at Kamru, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at February 4, 2007 1:42 AM

- The bastide on the mount in the mountains -
at Kamru, India

at Sangla, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at February 21, 2007 12:45 AM

- Sangla village -
at Sangla, India
at Sangla, India

at Sangla, India on 14/Oct/1999

Posted by snotch at February 27, 2007 11:45 PM
 カムルーの丘を後にして,インドの秋風に吹かれながら元来た道を歩いて,サングラ村の中心部へ.カムルー村は,丘の頂上の宮殿を中心にして集落が形成されていたが,サングラ村のほうは,川へと落ち込む谷の斜面を覆うようにして集落が形成され,その谷のおヘソともいえる集落の核となる地点に,大きなヒンドゥー寺院が鎮座している.背後の山も,お寺の屋根も,フラクタルになっている.
at Sangla, India

at Sarahan, India on 15/Oct/1999

Posted by snotch at April 10, 2007 11:00 AM

- The carpenter renovating Bhimakali Temple -
Carpenter at Sarahan, India
at Sarahan, India

at Sarahan, India on 15/Oct/1999

Posted by snotch at April 19, 2007 8:23 AM
 はるか視界が霞むところまで山々が連なるのを見渡すことのできる、山の中腹に開かれた土地に、忽然とビーマカーリー寺院は建っている。渓谷の底の方は既に日が暮れかかり、青っぽい闇に覆われはじめているが、まわりに遮るものがない寺院周辺には、まだしばらく夕陽が差しこんでいて、渓谷の闇を背景にして境内が空中に浮遊しているかのよう。かつては、王様が夏のあいだに住む宮殿の機能も兼ねていたとか。ブロック石と木で組まれた塔の頂部から迫り出した頭でっかちの天守閣は、王の特等席だったに違いない。
Bhimakali Temple at Sarahan, India