March 28, 2003

ついに出たドコモのGPS携帯

Mobile:NEWS 2003年3月27日 11:56 PM 更新

ドコモがついにGPS機能内蔵の音声端末を投入する。測位方式はauのGPSケータイに近く、サーバとの通信が必須となる。GPS専用ボタンを設けたり、企業向けアプリケーションで必要とされる機能をあらかじめ内蔵しているのが特徴

auに遅れること1年少々。ついにドコモがGPS機能内蔵の音声端末を投入する。「F661i」という名称の折りたたみ型端末で、製造は富士通。GPS機能専用のボタンを設け、簡単に測位が行える。

 測位方式は、auのGPSケータイと同じ、SnapTrackの技術を使ったサーバアシスト型だ。パケット通信を使ってサーバの補佐を受けながらGPS衛星を捕捉する。精度は「空が見えるところで10-50メートル程度」(NTTドコモ ユビキタスビジネス部マシンコム担当部長の吉田 哲氏)。GPS衛星が見えない室内などでも、基地局ベースの位置情報を取得できる。逆に、パケット通信が行えない地域では測位が行えない。

 1回の測位にかかる通信料金は3円程度。時間は「だいたい20秒程度で、方式が同じauと同等」(ドコモ)だと言う。


ダイヤルキー周りの感覚、全体のデザインなどは従来の富士通製端末にそっくり。背面にGPS用のアンテナを内蔵している。吉田氏は「アンテナをボディにどう入れるか、電波の干渉をどう抑えるかが技術的な課題だったと聞いている」と話した


待ち受け画面から「GPSボタン」を押すと簡単に現在位置の地図表示まで行える。画面中にある「測位レベル」は精度を表し、3が最高レベル。郊外などでGPS衛星も捕捉できなかった場合、レベル1となり数キロの誤差が出るという


必要なアプリケーションをあらかじめ内蔵

 auのGPSケータイと少々異なるのは、位置情報に関連したアプリケーションをあらかじめ内蔵している点だ。auでは、JavaやBREWなどでGPS関連アプリケーションを開発できるようにしているが、F651iはJava非搭載。「Javaは電池を消費してしまうので、基本的に使う機能は中に実装してしまっている」(吉田氏)。

 F661iの位置情報関連機能は以下の6つだ。

名称 概要
位置サイト 現在位置を測位し地図コンテンツなどを表示
位置メール 位置情報URLをメールに添付して送信
位置メモ 位置情報を電話番号などと一緒にメモに登録
位置提供 ユーザーの位置をリアルタイムに知ることができる
位置通知 ボタンのワンプッシュで緊急時に位置を通知できる
センター登録 現在位置を定期的にDLPセンターに登録


 下の「位置提供」「位置通知」「センター登録」は、外部から位置情報を操作するものだ。auのGPSケータイでは、JavaやBREWの専用アプリケーションを使うことでこうした機能を実現する。F661iでは、あらかじめアプリケーションが内蔵されており、位置情報サービス提供事業者は容易にサービスを提供できる。


F661iの6つの位置情報関連機能


DLPセンターを介すことで、外部から端末ユーザーの位置情報を取得できる


市場は未だ未知数? 軸足は法人に

 GPSを使った業務アプリケーションに熱心なKDDIと同じく、ドコモのGPS携帯もまずは法人を狙う。「軸足は法人利用。運輸、メンテナンス、警備など位置情報を生かした業界・業態」(ドコモ)。

 現在、法人向けにDLP(Docomo Location Platform、2001年8月の記事参照)を活用したビジネスの開拓を行っており、F661iもそのための端末バリエーションの1つという位置づけだ。

 ただし、コンシューマ向けの需要も期待している。初回出荷は数万台程度を予定しているが、量販店などでも4月下旬を目処に販売を行うという。

 ドコモのスタンスは、GPS機能付き携帯が一般に受け入れられるのかどうかはまだ未知数というところ。F661iにはカメラもなく背面液晶もないが、「GPSが必要なユーザーに向けたもの。機能を切り分けた」(吉田氏)。PDC端末やFOMAへのGPS機能の搭載には、積極的な意向はない。

Posted by sunouchi at 5:09 AM

March 25, 2003

au、GPSケータイを利用してFMラジオと連動した「鬼ごっこ」

ケータイ Watch 2003/03/19 14:02

auは、J-WAVEと協力して、FMラジオを聞きながら、GPSケータイを持つ逃亡者を探す“鬼ごっこ”イベントを3月21日に開催する。

今回実施されるイベントは、auのGPSケータイを手にしている“逃亡者”をリスナーが番組を聞きながら探し回るというもの。番組を提供しているスタジオから、パソコンからauの位置情報サービス「GPS MAP」によって、逃亡者の動きが逐一実況される。

 ユーザーは、パソコンからイベント番組のWebサイトにアクセスして、あらかじめ逃亡者の位置を探ったり、番組のナビゲーションに従って、雑誌モデルなどが扮する逃亡者を追い求める。

 このほか、JFL(Japan FM League)に加盟している札幌・FM NORTHWAVE、名古屋・ZIP-FM、福岡・CROSS FMの民放4局でも、GPケータイを用いたイベント番組が放送される。なお、同じくJFLに加盟している大阪・FM802では同イベントは行なわれない。

Posted by sunouchi at 4:15 PM

March 18, 2003

携帯電話による位置情報を利用したサービス、現状の利用経験者は1割

著者: (株)UFJ総合研究所 研究員 寺島 大介
▼2003年3月17日付の記事 国内internet.com発の記事

(株)UFJ総合研究所、インターネットコム(株)、(株)インフォプラントのインターネット接続機能付携帯電話を所有するユーザー300人(20代以下・30代・40 代・50代・60代以上×男・女 各30サンプル)に対する調査によると、現状、GPS 携帯やiエリアなど、位置情報を使ったサービスの利用経験者は1割。

まず、回答者の属性として、現状携帯電話でメール以外のインターネット接続機能 (ウェブの閲覧など)を利用しているユーザーは6割程度であり、上記の通り(全体 の)1割程度が位置情報を使ったサービスを利用している。現状の位置情報を使った サービスの利用動向としては、「自分がいる地域の店舗情報をすぐに閲覧できるサー ビス」が74%と突出して最も多く、次いで利用の多い「自分の現在位置を他の人に伝 えるサービス」は20%程度にとどまっている。

 また、位置情報を使ったサービスに関して、「今後どのようなサービスを利用して みたいか」という問いに関しては、「目的地までのナビゲーションをしてくれるサー ビス」が63%と最も多く、次いで「自分の現在位置を他の人に伝えるサービス」 47%、「緊急時のセキュリティサービス」41%といったところが多くなっている。ち なみに、位置情報を利用したコミュニケーションサービス(自分の位置情報を送信す ると、その場所に保存されている他のユーザーのメッセージを取得できたり、自分も メッセージを残せたりするサービス)について「利用してみたい」と回答したユー ザーは13%程度であった。

 さらに、今後の携帯電話の買替時に機器を選択する基準の中で、「どのような機能が ついたものを購入したいか」という問いに対しては、やはり「カメラ機能」66%、 「動画再生・録画機能」(39%)といった他の人とのコミュニケーションにおいて利 用されるような機能に対するニーズが高い。「GPS 対応機能」を挙げたユーザーは 34%と3番目に多くなっている。なお、携帯電話を購入する際に重視する項目として は、「操作性」73%、「価格」70%、「画面の見やすさ・画質」66%といった携帯電 話の基本的な機能にあたるものが多く、「カメラ、GPS、動画再生・録画等の付加 機能」を挙げたユーザーは40%程度となっている。

 現状、携帯電話の付加機能として生活者に受け入れられているのは、その機能が「コ ミュニケーションを豊かに」し、かつその利用シーン・メリットが生活者にとって 「分かりやすい」ものである。メール機能やカメラ機能などはその典型であろう。そ ういった意味では、位置情報を活用したサービスとしては、「目的地までのナビゲー ションをしてくれるサービス」や「自分の現在位置を他の人に伝えるサービス」と いった利用シーンが「わかりやすいもの」は比較的高い利用意向が表れていたが、コ ミュニケーションに関連するメリットは利用シーンが分かりにくい部分もあり、利用 意向は1割強にとどまっている。

 さらに、もう一つ重要なのは、やはり「その機能が本当にニーズのあるものかどうか」ということと「その機器でしか提供できないサービスかどうか」であろう。現状、GPS 携帯を使って行われているサービスは、その点に関しても若干訴求しにくくなっている感がある。携帯電話による位置情報を利用したサービスをユーザーの生活に浸透させていくためには、上記課題の解決が必要であり、それにはもう少し時間がかかりそうである。

Posted by sunouchi at 1:59 AM

March 12, 2003

検索結果をFlashの地図で表示するメタサーチエンジン「KartOO」がバージョンアップ

INTERNET Watch Reported by 青木 大我

検索結果をFlashの美しい地図で表示するメタサーチエンジン「KartOO」(英文サイト)がバージョン3として公開された。今回のバージョンでは上級者向けの機能が向上し、一層使いやすくなっている。

http://www.kartoo.com/

KartOOはGoogleを除くAltaVista、Teomaなど、ほぼ全てのメジャーなサーチエンジンに対して検索を行なうメタサーチエンジン。最大の特徴は、検索結果をFlashを使った美しい地図で表示することにある。この地図には検索結果に対応したボールがたくさん表示され、ボールの大きさによって評価が高い結果を見分けることができる。さらに検索結果の意味の「近さ」が地図の相関関係でわかるようになっている。また検索結果に関連する言葉の下には「+」や「-」のしるしがあり、「+」をクリックすることで検索結果を絞り込むことが可能だ。

 バージョン3では、より詳しい相関情報が表示されるエキスパートモードと、簡単な地図が表示されるベーシックモードを切り替えられるようになった。エキスパートモードでは、検索結果の表示数が増えたほか、同じサイトの検索結果をまとめて地図上に表示するクラスタリングモードを選択することができる。さらに、このバージョンからFlash5を使用するようになり、画像のダウンロード時間の短縮とインターフェイスの改善が図られたという。

 KartOOを開発しているフランスのKartOO S.A.では、今後ドイツ語バージョンの開発を始めることも明らかにしている。

Posted by sunouchi at 12:35 AM

March 10, 2003

PHP プログラマ向け専門誌が創刊

▼2003年3月7日付の記事 □国内internet.com発の記事

PHP ソリューション会社、 アシアル株式会社は2003年3月5日に、 3月6日からカナダの PHP 専門誌 『php|architect』 の日本語版、『PHP プログラマーズマガジン』を販売すると発表した。

PDF 形式による専用サイトからのオンライン販売で、月刊で毎月10日に発行。価格は980円。月間ダウンロード部数は、創刊年2003年末に月1万部を目指す。

3月6日に2003年1月号を創刊、 4月10日までに2月号/3月号/前年12月号の3刊を随時発刊と、創刊時には発行スケジュールが乱れているが、 4月10日からは通常通りの月刊となる。無料で読める立ち読みコーナーもある。

『php|architect』は、カナダ、トロントの Marco Tabini & Associates, Inc. が編纂する、上級 PHP プログラマー向け専門誌。これまで日本には PHP プログラマ向け専門誌はなかった。

当初は『php|architect』の翻訳が中心だが、将来的には日本市場独自の記事も掲載していく予定。

Posted by sunouchi at 9:14 PM

March 6, 2003

Blogの祖、ハーバード大学研究員へ

Paul Festa(Staff Writer, CNET News.com)
2003年3月6日(木) 10時00分

米国で最も古い高等教育機関であるHarvard大学では、インターネット界の最新トレンドを取りこもうとしている。同大学の学生や教員たちがBlog(ブログ)を使えるようにするため、その領域では教祖とも言えるソフトウェア開発者Dave Winerを大学に招いたのだ。

 Harvard大学では、同大学内で立ち上げる新しいBlogサイト"Weblogs At Harvard"の陣頭をとってもらおうと、UserLand Softwareの元代表であるDave WinerをHarvard大学法学大学院のBerkman Center for Internet and Societyに特別研究員として迎えた。Winerは、Tulane大学で数学を学び、Wisconsin大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得。Harvard大学では学生や教員に対し、ウェブの内容を日々更新する上での技術面の指導を行う。

 もともとWinerはカリフォルニア州ミルブレエにある米UserLand Softwareの代表を務めていた。UserLand Softwareはコンテンツパブリッシングツールやサービスに特化したソフトウェア会社である。WinerはSOAP、 XML-RPC、RSSや、OPMLといった数々のプロトコルの仕様の開発に寄与しており、インターネット上で最も長く運営されているBlogの1つ、Scripting Newsを立ち上げた人物として、最もよく知られていることだろう。

 現在はマサチューセッツ州ケンブリッジにある事務所で、Harvard大学内に既設のBlogサイトを再編成している。その事務所でCNET News.comのインタビューに答えてくれた。

――初めて目にしたBlogはどのようなものでしたか?

 最初は、見たというよりも私が作ったという感じですね。きっかけは1996年2月、私がWiredの寄稿編集者だった頃、米国通信品位法(Communications Decency Act)に対抗するために24 Hours of Democracy Projectと言う企画を立ち上げたのですが、その時に発生した作業の一部が後にBlogとなったのです。私たちにはその頃スポンサーが付き始め、数々のオンラインサービスの企画が持ちこまれていました。そこで、それらを整理するために逆時系列順で並べてウェブに載せようと考えたのです。しかし始めてみて「これは使える。このプロジェクトが終ったら、この機能を形にできないか検討してみよう」と考えたわけです。

 当時はそれをBlogと呼んではいなかったのですが、ほぼ現在のBlogと同じものです。最初は、UserLand Softwareの製品であるFrontierの機能として作りました。当時、私はUserLandのCEOでしたからね。それから1年後の1997年4月、Scripting Newsというサイトを開設しました。このサイトは、おそらくインターネット上で最も長く運営されているBlogでしょう。少なくとも5本の指くらいには入ると思います。最も長いと言われていたものが実は違っていたという話は、インターネット上ではよくあることですから。

――どのようにしてBlogと呼ばれるようになったのですか?Blogという媒体、あるいはフォーマットはどのようにして進化したのでしょうか?

 毎年Blogは成長しています。この名前を思いついた人は、Robot Wisdomと呼ばれるBlogを運営しているJorn Bargerです。

 現在では多くの人がBlogサイトを開設していますし、私たちがBlogを作りやすくするツールの提供に取り組んでいるので、サイトもどんどん開設しやすくなってきています。また、インターネットも昔に比べて使いやすくなりました。Blogは最終的に電子メールや、文書作成ソフトのような基本的なスキルとなるでしょう。そのうち、作文などと同じになるはずです。だから私は今、大学にいるのです。学生と教員が皆使い方を学び、その人たちがまたその生徒に教えていく。ここでの仕事は、そういう長期的展望の下に準備しています。

――では、Harvard大学法学大学院に来ることになったきっかけは?

 きっかけといっても、あっという間に決まったことですから。私は何年も商業ベースのソフトウェア開発に携わってきていたので、この辺で何か違うことをしたいと思っていましたし、Harvard大学では学内の部門間で情報を共有することに大変興味を持っていました。昨年末、デジタル時代におけるHarvard大学のアイデンティティを確立しようと会議を開催した時にこの企画が持ちあがったようです。Harvard大学は、小さい核の部分と、経営・政治・文学など分散されたたくさんの学校の集合体という、とても大きな大学です。そう言った意味では各部署に分かれている企業と同じようなものなのです。いかに部署同士で共同作業を行い、そして無駄な労力を省くために情報を共有するかを企業は考えますよね。実はここの大学でも同じ問題を抱えていたのです。

 先の会議で挙がった解決策はBlogの持つ機能とほぼ同じでした。そのため、多くの人から「Daveに話を持ちかけてみるべきだ」と言われたそうです。一方で私はたまたまクリスマスシーズンに東海岸側にいましたので、そのままボストンへ行き、そこで特別研究員の話をもらいました。

――それにしても、Harvard大学でまだBlogが立ち上がっていないとは信じがたいですね。

 大学全体を見ればBlogサイトは10個程度ありますが、正直なところどれもまだ初歩的なものばかりです。大学で行われている様々な研究や、その成果をもっと組み込んだものでなければならないと思っています。私は大学全体を任されているのです。Blogへの参加を強制するつもりはなく、Blogをやってみたいと思っている人に参加してもらいたいと思っています。もし内容の充実したBlogサイトが100個できればとても満足だし、きっと大学の皆さんにとっても嬉しいことだと思います。

――Harvard大学ではどんな役割を?

 私はBlogという新しいコミュニケーションツールの伝道師であり、教育者であり、研究者であると思います。私が人に教えるだけでなく、学ぶこともできればいいかなと思っています。ここ何年もソフトウェア開発者としてやってきたので、ユーザー側とのコミュニケーションはほとんどありませんでした。その上、持ちあがる問題のほとんどが技術的なことばかり――これはどうやって動いているのか、このソフトの主な特徴は何か、ソフト同士の接続はどうなっているのか、といったことです。これからは開発者という枠を乗り越えて、ユーザーの反応を見たいと思っています。改善には何が必要なのか、そのための障害は何か、といったことです。その上で社会から学習したものを共有していきたいと考えています。あなた方も取材から学んだことを人々に伝えるということをしているでしょう?

――Webサービスに欠けているものはそれぞれの個性であって、商業アプリではないとおっしゃっていますね。

 企業の提供するWebサービスは、非常に充実していると言えます。お金を動かしたり、商品の売買にインターネットを利用することは何も間違ってはいません。ただ、インターネットの利用価値はそれだけではないですし、こういった使い方はあまり魅力あるものとはいえません。私が考えているWebサービスとは、充実したBlogサイトを開設するために、ライティングツールを使ってサーバアプリケーション同士を接続させる方法なのです。すでに世の中にはSOAP、XML-RPC、RSSやOPMLを使ったツールが出回っています。つまり今は、より多くの情報源から情報を読めるように、Blogやその集合体を作るための便利なライティングツールを作成している状況なのです。

――情報を共有する、という意味においてBlogはどのような影響があったのでしょう?特にジャーナリズムにおいて、どのように影響を与えたでしょうか。

 ある種の業界について、たとえば技術レポートなどがそうですが、報道のプロを大きく超えた感じがあります。

――それは、どういうことですか?

 10年ほど前までの状況を想像してみてください。その頃はまだ産業全体に対して出版物はほんの一握りしかありませんでした。それが今では、Blogを使ってお互いに情報交換をするようになりました。もちろん業界に詳しいプロのジャーナリストもいますが、その数は大幅に減りました。Blogがそのままジャーナリズムとなっているのです。大きな変化を与えたかと聞かれれば、全くそのとおり、と言えるでしょう。大きな事件が起こったとき、報道のプロが伝えることのすべてを信じる必要はありません。もし実際にその状況に関わっている人のBlogを見つけられたなら、私はそちらを読むようにしています。

 英国のニュース番組BBCでは、面白いことをしています。アマチュア写真家に写真を送るように呼びかけているのです。写真が送られてくる数は日に日に増えており、その潮流に乗っていこうとしています。たとえば、コロンビアで起きた大惨事の写真は、プロのジャーナリストが撮った写真ではなかったんですよ。

――プロのジャーナリスト達は、ニュースをわかりやすくするための価値ある情報や、状況、事実背景といった内容をもはや提供してはいないというのですか。

 典型的なニュースの構成は、インタビューで得られたコメントが大部分を占め、前後をうまくつなぎ合わせた上でそこに多少の事実内容を織り込ませたものになっています。もしレポーターなど間に人を挟まないで人々の発言を聞くことができたなら、と思います。ジャーナリズムは高尚な仕事とされていましたが、今となっては、ニュースに対する記者の意見を伝えているに過ぎません。これからはプロの人たちがBlogを使うようになり、さらにまたそこから広がって行くでしょう。

――Blogは教育においても同じように深く影響すると思いますか?また、それはHarvard大学から発信されると思いますか。

 そうですね。間違いないと思います。すでに、私たちのやろうとしていることを詳しく知りたいと言って、たくさんの教育機関から電子メールをいただいています。そしてその多くがBlogについてかなり知識を持っています。Harvard大は普通の大学とは違った、特別な意味をもった大学です。それは、とても影響力のある大学だということです。

Posted by sunouchi at 7:04 PM

March 5, 2003

偉大なGoogle が生み出す懸念

ZDNN 2003年3月4日 03:07 PM 更新

優れた検索技術で定評を得ているGoogle。しかし、ブロッグサイト買収や有料検索拡大など「検索と関係のない」事業拡大の動きが、一部でサイトの偏好やプライバシーに関する懸念を呼んでいる

 優れたWeb検索ツールで知られ、また愛されているGoogleだが、新たな分野へと進出するに伴い、その計画に疑問の目が向けられるようになってきている。

同社は最近、Webログ(ブロッグ)の草分けであるPyra Networksを買収(2月18日の記事参照)。その直後に、自社サイト上で行っている検索関連の広告リンクの販売を、パートナーのサイトにまで拡大する計画を発表した。

 これらの発表で、Googleは新たな領土へと乗り出していこうとしている。だがこの動きは、同社の新たな方向性への関心ばかりでなく、いくらかの懸念も招いている。

 「Googleはいつも『われわれは検索にだけ集中する』と言ってきたが、(Pyraの買収は)検索と何の関係があるのか? 関係ないではないか」と業界ニュースレターSearchEngineWatch.comの発行者、Danny Sullivan氏。

 Googleは常に新しい製品/サービスをテストしては手を加えているため、その計画に関しては絶えず憶測が飛び交っている。よく言われているのが、Googleが製品ラインアップを拡充して、Yahoo!など、検索ツールを中核にニュースクリップにWebベースメール、出会い系などのサービスを集めたWebポータルと直接競合するのではないかという説だ(2001年4月の記事参照)。

 GoogleはPyraの買収で、Yahoo!のGeoCitiesに似たWebパブリッシングツールを手に入れ、ポータルモデルにある程度近づくことになる。GeoCitiesは、会員の個人サイトをホスティングし、また個人サイト作成の手助けをしている。

 PyraのBlogger.comは、簡単にアップデートできる個人用のWebページ(ブロッグと呼ばれる)の立ち上げを支援している。ブロッグはインターネットの至る所で見られ、Pyraのブロッグツールはその中で最も人気の高い部類に入る。Pyraが1月に明らかにしたところによると、同社サービスの登録ユーザーは100万人に達したという。

 またGoogleはPyraの買収により、Webパブリッシングツールを手にするだけでなく、優れたデータ収集/分析技術の柔軟性をいっそう高め、リーチを拡大できるだろう。例えばGoogleは、Blogger.comユーザーがブロッグに載せたリンクを利用して、Web上に流れるニュースの情報をより早く集める方法を見つけだすかもしれない。これは、同社が少し前に立ち上げたニュースサービス(9月24日の記事参照)の強化につながるだろう。このサービスでは、ニュースサイトを巡回して最も重要なニュースを探しだし、独自の計算方法を使ってニュースの重要度を決定している。検索エンジンでは通常、こうした選別プロセスは人の手を介さずに行われる。

 ブロッグ世界では、多くの人々がGoogleのPyra買収を歓迎しているが、その影響に懸念を抱く人も多少いる。

 ほとんどのブロッグには、ほかのWebサイトやブロッグへのリンクが多数含まれている。ブロッグ作成支援ソフトを買収することで、Googleはその背後にある大量のデータを買うことになる。今のところ、同社が検索エンジンを介して見つけられるのは、ユーザーがオンラインに記した軌跡の最初の一歩だけだ。しかしブロッグに載せられたリンクをたどることにより、その軌跡を後々までたどっていけるようになる。つまりサイトAがどのようにサイトBにつながり、それがサイトC、D、Eにどう続いているかが分かる。

 そしてGoogleは初めて、コンテンツのランク付けと同時に、コンテンツのホスティングにもあたることになる。これが、利害の衝突を生む可能性がある。

 「サービスとインフラを同じ企業が所有すると、そこに危険が生じる。その片方を利用して、もう片方に利益をもたらすというのは魅惑的な考えだが、結局は生態系に悪影響を及ぼす」とInterconnectedブロッグの筆者、Matt Webb氏はメールでの取材に応えて語る。

 ブロッグトレンドと集合的知性(スマート・モブズ)理論に関する著書「Small Pieces Loosely Joined」「The Cluetrain Manifesto」をものしたDavid Weinberger氏も、GoogleがPyraの買収によって落とし穴にはまる可能性を指摘している。

 「Googleがそうなると考える理由はないが、普通の企業ならPyraを買収すれば、『自分の立場を利用して(Bloggerベースのサイトを)優先しよう』と真剣に考えたくなる誘惑に駆られるだろう」(同氏)。


プライバシー侵害の懸念

 Googleは、検索クエリーに対して高速で適合性の高い結果を提供しようと熱心に取り組んだことで、Webサーファー、パートナーのネット企業、同社の株式公開を待つ投資家から注目されるようになった。最近、AppleやCoca-Colaといった有名ブランドを抜いてブランド・オブ・ザ・イヤーを獲得した――自社サービスの広告を出したこともないのに――ことにも、Googleの強さが表れている(2月12日の記事参照)。

 しかし一部では、その名声の影の部分も徐々に見えてきている。

非営利調査団体Privacy Foundationのマネージングディレクター、Stephen Keating氏は、Googleに特有の懸念はさておき、同社は人々の情報へのアクセス方法が本質的な変化を遂げたことをありありと示していると語る。例えば、最近オンラインに掲載された法廷文書によると、Googleのような検索可能なデータベースで、個人の詳細な情報がさらけ出されることがあるという。

 「Googleは非常に強力な検索ツールだ。それ故、もはやインターネットプライバシーの意味を語るのも難しい。(Googleを使うと)セーターの毛糸をほどくように、個人の情報をすべて明らかにできる」(Keating氏)。

 同社がもっと意図的に危険をもたらす可能性があると懸念する向きもある。

 Googleは世界的に人気が高い。このため多くのWebサイト管理者が、自分たちが得ているインターネットトラフィックの大半は、Googleが編集した検索結果のおかげだとして、懸念を持つようになっている。こうした状況から、Googleの検索アルゴリズムに対して訴訟が持ち上がった(10月23日の記事参照)。

 また、Googleのデータ収集のやり方に対しても、一部からプライバシーの脅威になる可能性があるとの批判が向けられている。

 Googleはさらに、Blogger/パートナーサイトの検索に関係ないページ上でリンクを販売するという動きに乗り出し、24/7 Mediaやかつて広告を販売していたDoubleClickのような広告ネットワークに近づいている。これら企業は以前から、cookieのような追跡技術を使ってWebサーファーを監視し、彼らの関心に結び付いた広告を送ろうとしている。だがこうしたやり方には、厳しい監視の目が向けられている。

 ドットコム時代、最大の広告ネットワークだったDoubleClickは、ターゲット広告を提供する目的で、Webサーファーをどこまでも追跡することができるという理由で、かなり厳しい批判にさらされた。同社はオフラインのダイレクトマーケティング業者Abacusを買収し、Abacusの顧客の個人データと、それまでは身元を特定できない形で記録していた個人のWeb利用習慣のデータを1つに統合すると発表したことで、プライバシー侵害の恐れがあると激しい反発を受けた(2000年1月の記事参照)。同社はその後、規制当局とプライバシー擁護団体の批判を受けてこの計画を取り消した。そしてドットコムの破綻後、広告収入の減少から広告ネットワークを売却した。

 Googleのデータ収集能力に対しても、一部の人々が同様の警告を発している。中には、Webで最もプライバシーを侵害しているサイトを決定するコンテストにGoogleを推薦したサイトもある。

 Googleをこの「Big Brother」コンテストに推薦したのは、Google-watch.org。同サイトは、Googleは野放図にビジターのデータを収集していると主張する。

 こうした批判の多くは、Googleが「cookie」と呼ばれる一般的なWeb追跡技術を使って収集しているデータに関連している。多くのサイトはビジターのハードディスクにcookieを置いて、ビジターが再度そのサイトにアクセスした際に、どのサイトに飛んだのかをチェックしている。ほとんどのcookieは比較的短い期間で有効期限が切れるが、Googleのcookieは2038年まで機能するよう設定されており、ビジターのハードディスクに、ビジターが検索に使ったキーワードにリンクする一意のIDを埋め込んでいる。

 Googleはまた、ユーザーのブラウザの種類とIPアドレスも記録している。理論的には、この情報を使って、特定のコンピュータでWebをどう利用したかを追跡することが可能だ。ただしGoogleのプライバシーポリシーには、同社は個人を特定できない形でデータを収集していると記されている。

 「問題なのはGoogleの巨大さだ」とGoogle-watch.orgの設立者であるDaniel Brandt氏。同氏は、Googleの監視を支援するためにこのサイトを立ち上げたと語っている。「米連邦政府がテロの端緒を最も簡単につかむ方法としては、Googleと手を組んでバックドア追跡システムを仕掛け、検索を利用したユーザーの位置を特定し、ユーザーがどんな検索キーワードを使ったかを調べるというやり方が考えられる。そうすれば、テロ対策という名目で世界のマインドシェアを正確に把握できるだろう」。

 Googleにデータ収集に関する質問をメールで送ったが、個別の質問についての回答は拒否された。同社の返信には、同社のプライバシー慣行は、ユーザーの信頼に反するものではないと保証すると書かれていた。

 同社の企業開発担当副社長、David Drummond氏はこの返信で次のように述べている。「検索結果の品質を高める取り組みの一環として、ユーザーがどのように当社のサイトを利用しているのかを分析している。この情報を利用することで、当社は検索結果の品質を大きく向上させ、数百万の人々の情報検索を支援してきた。当社は個々人のユーザー情報をサードパーティと共有することはなく、またユーザー情報の保全とセキュリティに真剣に取り組んでいる」。

 Drummond氏はまた、ブラウザの設定を変えて、Googleのcookieを無効にすることもでき、cookieを無効にしても検索ツールに影響はないとしている。

 Drummond氏はPyraの買収について、Googleは引き続き「偏りのない客観的な検索結果を提供し、Googleユーザーに対してもBloggerユーザーに対しても最高レベルの誠実さと敬意を払う」ことに集中するとしている。

 今のところGoogleは、誠実という評判を損なうようなことはしていないが、その影響力が高まるにつれ、同社にはもっと耳目が集まることになるだろう。

 「Cluetrain Manifesto」の著者のWeinberger氏は、皮肉なことに、Googleに対して最近持ち上がっている懸念の多くは、同社がインターネットコミュニティで信頼を得ているが故に起きたものなのかもしれないとしている。

 「インターネットは文字通り、“プロトコル(決まり事)”だ。そしてそれに、お互いにどう接し合うかという社会的な決まり事がたくさん付いてくる。Googleはわれわれの目に見える範囲では、ほかのどの企業よりもこれらの決まり事を尊重している。しかし今、同社は図らずも、自らの成功により不信を招くという立場に立たされている。それは同社が強大で、皆に頼られているからだ」。

Posted by sunouchi at 8:46 PM

ソフト開発者、ハーバード大学に「ブロッグ活用法」を指南

ZDNN 2003年3月5日 02:41 PM 更新

ハーバード大学の“ブロッグ”プロジェクトのリーダー役にDave Winer氏が抜擢された。UserLand Softwareの創業者で、インターネット上で最も長く続いているWebログの1つを立ち上げたことで知られる同氏に“ブロッグ”ブームについて聞く

 アメリカ最古の大学がインターネットで最新のホットなトレンドに乗り、学生や教職員のWebログ(ブロッグとも呼ばれる日記形式のWebサイト)活用の指南役としてソフト開発者のDave Winer氏を起用した。

ハーバード大学はソフト会社の元役員である同氏を、ハーバード大学ロースクールに属すBerkman Center for the Internet and Societyのフェローとして迎え入れ、「Blogs at Harvard Initiative」という新たな取り組みのリーダーの役割を託した。テュレーン大学で数学を学び、ウィスコンシン大学でコンピュータサイエンスの修士号を取得したWiner氏は、Web上の公開日記で情報を発信するコツをハーバード大学の学生と教職員に伝授する。

 大学のエリートたちのブロッグ活用の案内役となるWiner氏は、コンテンツパブリッシングツール/サービスの専門企業UserLand Softwareを創業、最高経営責任者(CEO)を務めていた。同氏はSOAPやXML-RPC、RSS、OPMLなど関連する多数の仕様を作成、あるいはその策定に貢献した。インターネットで最も長く続いているWebログの1つ、Scripting Newsを立ち上げたことで最も知られているはずだ。

 同氏はブルックリン生まれで47歳。CNET News.comでは同氏に、ハーバード大学の既存のブロッグを組織化する取り組みの進行状況などについて話を聞いた。同氏はマサチューセッツ州ケンブリッジのオフィスでインタビューに応じた。

――最初に見たWebログを覚えていますか?

Winer 見るよりも先に作ってましたね。1996年2月のことです。私は当時Wiredの寄稿編集者で、通信品位法(CDA)に対抗して「24 Hours of Democracy Project」を実施したのですが、オンライン上でスポンサーや協力サービスがどんどん増えていきました。そこで、この動きを1つのWebページで新しいものから順に掲載するようにするべきだと考えました。そしてこう思ったのです、「これは便利だ。プロジェクトが終わったら、このことに取り組もう」とね。

 私たちはそれをWebログとは呼んでいませんでしたが、まさにそのものでした。その後間もなく、私はUserLandのスクリプト環境である「Frontier」に関するWebログをスタートさせました。当時私はUserLand SoftwareのCEOだったんです。それから1年後の1997年4月に、私は自分のWebログとしてScripting Newsを立ち上げました。これは現時点でインターネットで最も息の長いWebログでしょう。というか、その1つですね。インターネットでは、最上級の形容詞は、後で事実ではなかったということになりがちですから。

――どうしてブロッグと呼ばれるようになったのですか? また、このメディアあるいは形式はどのように発展してきたのですか?

Winer Webログは年々成長しています。Robot WisdomというWebログを公開しているJorn Barger氏がブロッグという言葉を考え出しました。ブロッグは今や大勢の人が作成していますし、以前よりずっと作成しやすくなっています。ブロッグを扱いやすくする取り組みを私たちが進めてきたことと、人々がインターネットを使いこなすようになってきたことが背景にあります。ブロッグの作成は最終的には、電子メールやワープロ操作のように基本的なスキルになるでしょう。普通に文章を書く感覚でブロッグを作るようになるわけです。私が大学で仕事をするようになった理由もそこにあります。私たちは学生や教授にブロッグの作り方を教えますし、彼らは彼らの学生に教えることになります。つまり、私たちは長い道のりを進む準備をしているわけです。

――ハーバード大学ロースクールとの関係はどんなふうに始まったのですか?

Winer トントン拍子に話が進みました。私は長年ビジネスとしてソフト開発に携わってきましたが、ほかのことをしようと考えていました。一方、ハーバードの人たちは、学内のさまざまな組織間で情報を共有できるようにすることに非常に関心を持っていました。彼らは昨年末に開いた会議で、ハーバード大学のデジタルID管理のあり方を確立しようと討議を行い、アイデアが生まれてきたのです。ハーバードは分権化が進んだ巨大な大学で、小さな中核組織と共にビジネススクールや行政学、図書館学など多数の学部や大学院で構成されています。多数の部門を持つ企業のようなものです。どうすればそうした部門間で力を合わせ、情報を共有して仕事の重複を排除することができるか――。私たちがビジネスの世界で頭を悩ませていることがここでも課題となっているわけです。

 その解決策としてWebログが有力な候補として浮上したため、大勢の人がハーバード大学に「Daveと話してみるといい」とアドバイスしました。そして、私はたまたまクリスマスで東海岸に来ていたので、ハーバードを訪ねました。すると彼らは私をフェローとして招いてくれたのです。

――ハーバードにまだブロッグが普及していないというのはとても意外です。

Winer 学内全体でも公開中のWebログは10くらいでしょう。率直に言ってまだ産声を上げたばかりです。今後は学内のあらゆる面に関するWebログが立ち上がるでしょう。私の任務は大学全体がカバーされるように持っていくことです。Webログに取り組む義務は誰にもありませんが、希望する人は誰でも取り組んでいいことになっています。真に有意義なWebログが100サイトも生まれれば、私は非常にうれしく思いますし、ほかの人も皆とても喜ぶでしょう。

――ハーバードでのあなたの具体的な役割はどのようなものですか?

Winer 布教者、教育者、研究者です。教えるのと同じくらい学びたいと考えています。何年もずっとソフト作りを手がけてきましたが、ユーザーと接した時間はそれほどありません。取り組んできた問題は主に技術的なもので、「これこれのことをどうやって処理するか」「何を基本機能にするか」「これらをどう結びつけるか」といった具合でした。今度は反対の立場に立って、ユーザーコミュニティのソフトに対する反応を見ていくつもりです。そして「どうすればより良いソフトになるのか」「ソフトの活用の障害は何か」などを学び、学んだことを広く分かち合おうと考えています。学んだことを発信して、誰もが知ることができるようにしていきます。

――あなたはかねてから、Webサービスに欠けているのは企業向けではなく個人向けのアプリケーションだと話していますが。

Winer Webサービスの企業向けアプリケーションが有効なのは分かりきったことです。お金や購入注文をやり取りする手段としてインターネットを使うことには何の問題もありません。でも、インターネットで行われることはそれだけではないし、それは最も興味深いアプリケーションでもありません。私はWebサービスを、サーバアプリケーションとWebログの作成ツールを連携させる手段ととらえています。現在、SOAPやXML-RPC、RSS、OPMLを応用した技術開発の取り組みが多数進んでいます。優れたWebログ作成ツールと、複数のソースからWebログを集めて読めるようにする仕組みが開発されているのです。

――ブロッグは情報共有のあり方にどんな影響を与えていますか? 特にジャーナリズムとの関連ではどうでしょう?

Winer IT報道など一部の分野では、Webログがプロの仕事に取って代わる動きが大きく進んでいます。

――え、何ですって?

Winer News.comは例外でしょうがね。5年、あるいは10年前の状況を考えてみてください。メディア業界にITをカバーする1つの大きなセクターがあったわけではなく、もともとこの分野には一握りの媒体しかありませんでした。今、人々はWebログを使って、お互いのためにお互いに情報を提供し合っています。プロのジャーナリストは今も記事を書いていますが、その数はずっと減っています。Webログはジャーナリズムなのです。大きなインパクトを与えているか? もちろんです。大きな出来事が起きたとき、私はプロのジャーナリストの記事を必ずしも頼りにしません。その出来事に実際にかかわっていた人たちのWebログを読むことができれば、それを参考にします。

 BBCは非常に注目すべき動きを見せています。アマチュアの写真家に写真の提供を募ったのです。つまり、彼らは今後拡大の一途をたどる流れに飛び込んでいるわけです。コロンビアで大地震が起きたとき、彼らはどんなルートで写真を入手したと思いますか? プロのジャーナリストからではありませんでした。

――つまり、プロのジャーナリストはニュースの理解に役立つ価値ある情報、文脈や背景を何も伝えていないというわけですか?

Winer 典型的なニュース記事は、取材で得たコメント、多少のつなぎの文章、いくらかの事実、等々といったもので構成されています。大部分は人々のコメントです。仲介者を通さずにコメントが得られるとしたら、CNNが報道の世界にもたらしたことさえも、一体何だったのかと問い直さざるを得ません。彼らは自分たちの給料を少しばかり稼いだかもしれませんが、Webログは既にジャーナリズムへと成長していますし、その内容ははるかに充実しています。ジャーナリズムは大切な仕事ですが、せんじ詰めれば出来事に対する見方を提供することにほかなりません。プロはこの技術をどんどん使うようになると思います。

――ブロッグは教育にも同様の深い影響を与えると思いますか? そうした流れがハーバードから広がっていくのでしょうか?

Winer まったくそのとおりです。私たちの取り組みについて知りたがっている膨大な教育機関から電子メールが届いています。多くはWebログの活用で大きく先行しているところです。ハーバードの試みが特別に重要なのは、ここが普通の大学ではなく、非常に大きな影響力を持っているためです。

Posted by sunouchi at 8:43 PM