March 28, 2003

ついに出たドコモのGPS携帯

Mobile:NEWS 2003年3月27日 11:56 PM 更新

ドコモがついにGPS機能内蔵の音声端末を投入する。測位方式はauのGPSケータイに近く、サーバとの通信が必須となる。GPS専用ボタンを設けたり、企業向けアプリケーションで必要とされる機能をあらかじめ内蔵しているのが特徴

auに遅れること1年少々。ついにドコモがGPS機能内蔵の音声端末を投入する。「F661i」という名称の折りたたみ型端末で、製造は富士通。GPS機能専用のボタンを設け、簡単に測位が行える。

 測位方式は、auのGPSケータイと同じ、SnapTrackの技術を使ったサーバアシスト型だ。パケット通信を使ってサーバの補佐を受けながらGPS衛星を捕捉する。精度は「空が見えるところで10-50メートル程度」(NTTドコモ ユビキタスビジネス部マシンコム担当部長の吉田 哲氏)。GPS衛星が見えない室内などでも、基地局ベースの位置情報を取得できる。逆に、パケット通信が行えない地域では測位が行えない。

 1回の測位にかかる通信料金は3円程度。時間は「だいたい20秒程度で、方式が同じauと同等」(ドコモ)だと言う。


ダイヤルキー周りの感覚、全体のデザインなどは従来の富士通製端末にそっくり。背面にGPS用のアンテナを内蔵している。吉田氏は「アンテナをボディにどう入れるか、電波の干渉をどう抑えるかが技術的な課題だったと聞いている」と話した


待ち受け画面から「GPSボタン」を押すと簡単に現在位置の地図表示まで行える。画面中にある「測位レベル」は精度を表し、3が最高レベル。郊外などでGPS衛星も捕捉できなかった場合、レベル1となり数キロの誤差が出るという


必要なアプリケーションをあらかじめ内蔵

 auのGPSケータイと少々異なるのは、位置情報に関連したアプリケーションをあらかじめ内蔵している点だ。auでは、JavaやBREWなどでGPS関連アプリケーションを開発できるようにしているが、F651iはJava非搭載。「Javaは電池を消費してしまうので、基本的に使う機能は中に実装してしまっている」(吉田氏)。

 F661iの位置情報関連機能は以下の6つだ。

名称 概要
位置サイト 現在位置を測位し地図コンテンツなどを表示
位置メール 位置情報URLをメールに添付して送信
位置メモ 位置情報を電話番号などと一緒にメモに登録
位置提供 ユーザーの位置をリアルタイムに知ることができる
位置通知 ボタンのワンプッシュで緊急時に位置を通知できる
センター登録 現在位置を定期的にDLPセンターに登録


 下の「位置提供」「位置通知」「センター登録」は、外部から位置情報を操作するものだ。auのGPSケータイでは、JavaやBREWの専用アプリケーションを使うことでこうした機能を実現する。F661iでは、あらかじめアプリケーションが内蔵されており、位置情報サービス提供事業者は容易にサービスを提供できる。


F661iの6つの位置情報関連機能


DLPセンターを介すことで、外部から端末ユーザーの位置情報を取得できる


市場は未だ未知数? 軸足は法人に

 GPSを使った業務アプリケーションに熱心なKDDIと同じく、ドコモのGPS携帯もまずは法人を狙う。「軸足は法人利用。運輸、メンテナンス、警備など位置情報を生かした業界・業態」(ドコモ)。

 現在、法人向けにDLP(Docomo Location Platform、2001年8月の記事参照)を活用したビジネスの開拓を行っており、F661iもそのための端末バリエーションの1つという位置づけだ。

 ただし、コンシューマ向けの需要も期待している。初回出荷は数万台程度を予定しているが、量販店などでも4月下旬を目処に販売を行うという。

 ドコモのスタンスは、GPS機能付き携帯が一般に受け入れられるのかどうかはまだ未知数というところ。F661iにはカメラもなく背面液晶もないが、「GPSが必要なユーザーに向けたもの。機能を切り分けた」(吉田氏)。PDC端末やFOMAへのGPS機能の搭載には、積極的な意向はない。

Posted by sunouchi at March 28, 2003 5:09 AM