著者: (株)UFJ総合研究所 研究員 寺島 大介
▼2003年3月17日付の記事 国内internet.com発の記事
(株)UFJ総合研究所、インターネットコム(株)、(株)インフォプラントのインターネット接続機能付携帯電話を所有するユーザー300人(20代以下・30代・40 代・50代・60代以上×男・女 各30サンプル)に対する調査によると、現状、GPS 携帯やiエリアなど、位置情報を使ったサービスの利用経験者は1割。
まず、回答者の属性として、現状携帯電話でメール以外のインターネット接続機能 (ウェブの閲覧など)を利用しているユーザーは6割程度であり、上記の通り(全体 の)1割程度が位置情報を使ったサービスを利用している。現状の位置情報を使った サービスの利用動向としては、「自分がいる地域の店舗情報をすぐに閲覧できるサー ビス」が74%と突出して最も多く、次いで利用の多い「自分の現在位置を他の人に伝 えるサービス」は20%程度にとどまっている。
また、位置情報を使ったサービスに関して、「今後どのようなサービスを利用して みたいか」という問いに関しては、「目的地までのナビゲーションをしてくれるサー ビス」が63%と最も多く、次いで「自分の現在位置を他の人に伝えるサービス」 47%、「緊急時のセキュリティサービス」41%といったところが多くなっている。ち なみに、位置情報を利用したコミュニケーションサービス(自分の位置情報を送信す ると、その場所に保存されている他のユーザーのメッセージを取得できたり、自分も メッセージを残せたりするサービス)について「利用してみたい」と回答したユー ザーは13%程度であった。
さらに、今後の携帯電話の買替時に機器を選択する基準の中で、「どのような機能が ついたものを購入したいか」という問いに対しては、やはり「カメラ機能」66%、 「動画再生・録画機能」(39%)といった他の人とのコミュニケーションにおいて利 用されるような機能に対するニーズが高い。「GPS 対応機能」を挙げたユーザーは 34%と3番目に多くなっている。なお、携帯電話を購入する際に重視する項目として は、「操作性」73%、「価格」70%、「画面の見やすさ・画質」66%といった携帯電 話の基本的な機能にあたるものが多く、「カメラ、GPS、動画再生・録画等の付加 機能」を挙げたユーザーは40%程度となっている。
現状、携帯電話の付加機能として生活者に受け入れられているのは、その機能が「コ ミュニケーションを豊かに」し、かつその利用シーン・メリットが生活者にとって 「分かりやすい」ものである。メール機能やカメラ機能などはその典型であろう。そ ういった意味では、位置情報を活用したサービスとしては、「目的地までのナビゲー ションをしてくれるサービス」や「自分の現在位置を他の人に伝えるサービス」と いった利用シーンが「わかりやすいもの」は比較的高い利用意向が表れていたが、コ ミュニケーションに関連するメリットは利用シーンが分かりにくい部分もあり、利用 意向は1割強にとどまっている。
さらに、もう一つ重要なのは、やはり「その機能が本当にニーズのあるものかどうか」ということと「その機器でしか提供できないサービスかどうか」であろう。現状、GPS 携帯を使って行われているサービスは、その点に関しても若干訴求しにくくなっている感がある。携帯電話による位置情報を利用したサービスをユーザーの生活に浸透させていくためには、上記課題の解決が必要であり、それにはもう少し時間がかかりそうである。
Posted by sunouchi at March 18, 2003 1:59 AM