石井光太さんというノンフィクション作家がいます。
途上国の貧困などをテーマにしてとても骨太な作品を次々に出し続けている人です。
彼のデビュー作『物乞う仏陀』(文藝春秋)を読んだのは、2006年、ぼくらが上海に住んでいたときのこと。海外で取材したルポルタージュ、しかも著者は自分と同年代ということで、この本が出たときには気になって、実家の母親に頼んで上海まで送ってもらいました。そして早速読んだところ、ぼくは正直大きな衝撃をうけました。
自分が日本を出て以来東南アジアや中国でやってきたこと、やりたいと思ってきたことと、少なからず重なる部分があり、しかも、それを身体を張ったかなりディープなレベルで実行し、一冊の本としてまとめている人がすでに同年代でいたことがわかったからです。しかも、それまでに2年ほど海外で自分なりにいろいろと取材してきた身として、石井さんの取材がいかに大変かが感覚として感じられたし、また、自分は性格的にきっとこんなに踏み込んだ取材はできないだろうな、って思ってしまったからです。
「これはヤバい、この人には全くかないそうにない」
って感じ、オレどうすんべ、と若干途方に暮れたことを記憶してます。
で、それからは、石井さんの仕事ぶりが常にどこかで気になっていて、「お、また新刊」「うお、また骨太なの来た!」って感じで、すげーすげーと思いながら、全然進展のない自分に焦ったり軽くしょげたりしていました。
で、2008年に日本に帰ってきてライター活動を再開し、いろんな編集者と会っているうちに、ほうぼうで石井さんの名前を聞くようになり、自分とは比べ物にならない活躍ぶりの人ながら勝手に親近感を持つようになりました。そして、そうこうしていると、なんと昨年末ごろ、『遊牧夫婦』の版元のミシマ社でも、石井さんのプロジェクトがスタートして、おお!とびっくり。さらに、今年の春ごろにメールで仕事の依頼をいただいたK書房の編集者T氏とやりとりをしたあとに、石井さんのブログか何かを見ているときに、T氏は、石井さんの担当編集者であることをわかり、なんたる偶然、とまたびっくり!さらにさらに、こないだK談社の月刊誌の編集者と会ったときも、その人もまた石井さんの担当編集者だと聞いて、またまたびっくりしたのでした。
しかし、決定的だったのは、もっと驚くべき偶然。9月に、10年ぶりぐらいに中学校の同級生でテレビ局のアナウンサーをする女性と会って、本やノンフィクションの話になったときに、なんでだったか石井さんの話をぼくがしたら、なんと彼女が、
「え、それって光太くん?」
というのです。え?というのはこっちの方で、"コウタクン"という親しげな呼称にびっくりして、さらに聞いてみると、
「私、小学校が一緒でサッカー部(クラブ?)のチームメートだったよ」
とのこと!なんと、じつは石井さんは、同じ学年でしかも地元が隣町であることまで発覚して、もうほんとにびっくりしたのでした。
そして、もうこのあまりの偶然の連発に興奮して、ミシマ社の三島さんに話し、石井さんに伝えてもらい、この同級生とのつながりに石井さんもびっくり(したはず、たぶん)。そしてツイッターなどで一気に盛り上がり、じゃ、一緒にイベントを!ということになったのでした。
さらに、先の女子アナの友人と石井さんの同級生に、松岡絵里さんという夫婦で旅して本を書かれている方もいて、もちろん彼女も同じ地元!そして彼女も一緒にイベントに参加してもらえることに。
・・・と、前置きが長くなりましたが、そのイベントが今度の日曜日、10月31日に阿佐ヶ谷であるのです!超多作な作家・石井光太さんの最新刊『地を這う祈り』(徳間書店)が10月20日に出版されるのをきっかけに、その出版記念のイベントとして開催されます。
ぼくにとっては5年前から、陰で密かに動向をチェックしていた石井さんと一緒にイベントということで、なかなか大興奮な企画です。
石井さんも松岡さんも自分も、たぶん全然タイプが違うし、どんなイベントになるか全く読めないのですが、とにかく同じ学年・同じ地元、そしてともに海外を旅して本を書いてる、っていう親近感が沸かざるを得ない関係なので、盛り上がることは間違いなく、きっととても面白いイベントになると、いまからとても楽しみです!しかも、「プロレス形式」という全然わけわかんない設定!ミシマ社・三島さんも乱入予定!
詳細は以下です。よかったら是非ご参加ください!
どうぞよろしくお願い致します。
------------------------------------------------
「地を這う3時間!」
――変人旅人三本勝負!エロ・グロ・血
これがほんとに「旅」なのか!?
旅のスタイルがまったく違う、同郷・同級生の二人が初対決!!
'善人旅人'近藤雄生に'無敵のヒール'石井光太が歯をたて嚙みつく――。はたして二人は生きて、再び「旅人」に戻ることはできるのか? 抱腹絶倒、悶絶必至、お下劣御免・・・「旅」の想像をはるかに超える、壮絶・凄惨トークイベント。
■第1ラウンド■ グロテスクvsさわやか
旅で撮影した写真を見せ合い、どちらがエグいか、笑えるかを競い合う。
■第2ラウンド■ 観客参加型バトルロワイヤル
レフリー'Mr'三島が加わり、観客も巻き込み「ぶっちゃけトーク」を展開。
■第3ラウンド■ 旅とエロ(欲情)
同じく同郷・同級生の松岡絵里さんを司会に迎え、旅とエロについて赤裸々に語り合う。
【出演】
石井光太(いしいこうた)『地を這う祈り』、『レンタルチャイルド』著者
近藤雄生(こんどうゆうき)『遊牧夫婦』、『旅に出よう』著者
松岡絵里(まつおかえり)『世界の市場』、『してみたい!世界一周』著者
【場所・日時】
@Asagaya/Loft A http://www.loft-prj.co.jp/lofta/
10/31(日)
OPEN12:00 / START13:00
【チケット】
前売¥1,500 / 当日¥1,600(+ワンドリンク・オーダー)
前売チケットは10/2(土)より、ローソンチケット、ロフトAウェブ予約、ロフトA電話予約にて発売!
※ご入場順はローソンチケット→web予約→電話予約 の順になります。
ローソンチケット:Lコード【L:32778】
web予約:http://www.loft-prj.co.jp/lofta/reservation/
電話予約:03-5929-3445 (17:00~24:00)
企画:ミシマ社+徳間書店
販売協力:旅の本屋 のまど
------------------------------------------------
最後は、全然関係ありませんが、親バカ編。
間もなく11ヶ月。こないだ初めて支えなしで、立ちました!
(先週、3人で小旅行に行った淡路島・大鳴門橋の下で。)
一ヶ月前にスタートした「遊牧夫婦写真展」も、明日17日で最後になります。
(写真展の様子)
思っていた以上に多くの方に興味を持っていただき、新たなつながりを作らせてもらったり、素敵な出会いにつながっていきました。ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございます!
カフェにコーヒーや食事にいらした方がふと写真を見て・・・なんていう風に、偶然に世界が広がっていくこの感じがなんともうれしいです。カフェの写真展、なかなかいいなあ~。
でも、そういうことが実現できたのも、会場のカフェ・Ital Gabon(アイタルガボン)の素敵な空間と、カフェのお二人のうれしいお心遣いの数々があってこそ。本当に感謝です!
明日は最終日。午後からぼくもお店に行ってようと思ってます。
もしご来場くださる方がいらっしゃれば、是非お話できればうれしいです!
週末、東京に、祖母の13回忌の法要のために、モトコ、そよと3人で行ってきました。久々に大勢の親戚と一同にかいすることができて、楽しい2日間を過ごして、京都に戻るときのこと。
法事のあと、兄に品川まで送ってもらって、新幹線の指定席のチケットを買ってお土産を買って、発車5分前ぐらいにホームにいたときのこと。モトコが、急に険しい顔で、
「あれ、グレーのバッグは??!」
そう聞いて、ぼくが持っているはずの、そよ関係のものが一式入ったトートバッグがないことに気付きました。あれ、ほんとだ、ない!そこにはそよのお茶やオムツ、おもちゃ、その他いろんなものが入っていて、しかもモトコの財布もその中に。とっさに思い出せず「兄の車の中では?」と思ったものの、いずれにしても、このまま新幹線に乗ってしまうわけにはいかないので、まずは発車前にチケットを払い戻さないと!ということに。
そして走って駅員のところに行くも、なぜかさっきまで持っていたはずのぼくのチケットがない。あれ、なんでチケットまでないんだろう??と焦り、いらだちながらポケットとかを探してみるけど、やはりない。やはりいらだっているモトコが、とりあえず一枚だけでも払い戻そう!と、モトコとそよに待っててもらって改札まで行って事情を話すと、もう発車時刻は過ぎていたものの「わかりました、変更であれば追加料金なしでできますよ」とのこと。で、「1名さまですか?」というので
、「いや、じつは2人で、もう一枚チケットがあるはずなんですけど、見当たらなくて・・・。ちょっと探してきてもいいですか?」
というと、「わかりました。では、ここに来ていただければ変更しますので。」と言ってくれた。もう明らかに時間は過ぎているのに、結構融通利くんだなとほっとして、再度改札を入って、バッグよりもまずチケットを探しに、辿ってきた道をホームまで戻って探しまくる。しかし、ない。どこにもない。これはもうあきらめて1枚は仕方ないけど、買いなおすしかないか、、と思っていると、待っているモトコから、電話が。
「私のポケットの中にもう一枚あったわ」(関西弁風に)
って、なんのことはない。さっきモトコが手に持っていたのは、ぼくがたぶん「ちょっと持ってて」って手渡したものだったのだ。全く。
でも、ほっとして、その2枚を持って、改札に戻り、30分後の新幹線に変更してもらい、それから今度は駅の外へダッシュした。そう、思い出したのだ。確か、兄の車から降り、駅に入る前に寄ったコンビニだ。ATMでお金を下ろすときに、ぼくは、トートバッグを、隣のコピー機の上に載せたのだ。そして、そのまま置いてきてしまった――。
向かうはコンビニ。あってくれよ~と願いながら、店内にダッシュし、コピー機の前に走ると、バッグはない。あ、誰かにもってかれちゃったかな?とヒヤッとしながら、店員の女性に「バッグを忘れたのですが・・・」と声をかけると、彼女は、解けなかった問題の答えがぱっとひらめいた、といったような明るい笑顔になって、ぼくにいった。
「あ、あのグレーのですよね!」
そうです、そうです!忘れ物に気付いて、取っておいてくれたのだ。ほんとに助かった。中を確かめると財布もあるし、一件落着。バッグを置いてきてしまったのは完全にぼくのミス。ほんとにうかつだったけれど、あってよかった。いやあ、参ったな、と思いながら、それを持って、モトコとそよのもとにちょっとゆっくりともどっていった。
しかし、もうひとつ、気になることがモトコから。今度は、法事が終わった後に親戚にもらったお土産の入ったビニール袋が手元にないことに気がついた。モトコが、
「あの袋はどうしたか知ってる?」
いや、知らない。でも、バッグを忘れたことに気付かなかった自分なので、そういわれてみたら、そのビニール袋も持っていて、どこかに置き忘れてしまったのかもしれない。その日は完全にボケてしまっていた気がして、こうなるともう全く自分が信じられない。
「じゃあ、探してくるよ」
と再び、新幹線の改札を出て、今度は土産物売り場を練り歩き、買い物をした店に聞いて、探してもらい、さらに在来線の改札も出て、チケットを買ったみどりの窓口でも探してもらい・・・、結果は、「なし」だった。発車10分前ぐらいになり、もう探すべきところはすべて探したので、あきらめてもどった。そして、モトコに、
「残念ながらなかったよ」
と言いながら、ホームに降り、ほっとしながらも、もらった矢先にお土産をなくしてしまったことを悪いなあ、と思いつつ新幹線を待っていると、モトコが一言。
「あ、そういえば、あの袋、最後に写真を撮ったときにお母さんに渡したままやったかもしれへん。うちに電話して聞いてみてくれる?」
お、そんな可能性があったのか。。。と電話してみると、受話器を取った父親が、
「お、あの忘れ物のことか?」
と・・・。まさにその通りだったのだ。これですべてがあったことになり、ほっとして疲れが一気に噴出。
久々に旅のころを、特にボツワナでのバッグ紛失の一件を思い出させる出来事でした。
(いとこのゴウくんと)