(画像はアマゾンさんへのリンクです)
本日、夏葉社より『冬の本』というタイトルの本が発売になります。作家やアーティストなどいろんなジャンルの84人が、「冬の本」をテーマに短いエッセイを書いたものです。84人は以下。ありがたくも、自分も参加させてもらいました。
昨日のヤフーニュースにも出ています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121211-00000005-natalien-musi
ちなみに夏葉社は、埋もれた名著の復刊などによっていまとても注目を集めている小さな出版社です。極めて丁寧な仕事で知られ、ファンがとても多い出版社です。
『冬の本』、きっと気持ちが温まる素敵な本に仕上がっていると思うので、よかったら是非。
装丁は、和田誠さんです。
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昨日は、「宣伝会議」という会社が行っている「編集者・ライター養成講座」にて、2時間講義を担当させていただきました。半年間続く講義の初日の授業で、「ライターの生き方」について、自分の経験をもとに全般的なお話をしました。
みなさん高いお金を払ってきているだけあって、とても真剣に聞いてくださり、やりがいがありました。その後の飲み会でも受講生のみなさんと話せて、それぞれの熱い思いを聞いて、自分にとっても刺激になりました。
講義で昔の話をしながら、いろいろと昔のことを思い出しました。4年前、日本に帰ったばかりのときは、ライターとしてフリーでやっていける自信もあてもなく、とりあえず派遣に登録して就活的なこともしたなあ、、と。
理系だった過去を活かし、プログラミングなどを思い出して勉強し直して、あとは英語アピールとかで、とりあえず何かしら仕事を得られるんじゃないかと思いきや、これが驚くほどどこにも相手にされませんでした。派遣会社の担当者は、条件的に合致した会社を見つけると、「いけると思いますよ」などと言って連絡をとってくれるものの、いざ、会社に問い合わせると、会ってすらもらえない。そんなことが数件続き、自分の置かれている状況に気が付きました。
冷静に考えると、32歳で就職経験なし、5年旅してて文章書いてました、なんていうわけのわからない使いにくそうな人間が、そう簡単に採用されるはずがない。第一、32歳にして履歴書にかける職歴が全くない。職歴欄には、仕方ないので、5年間の旅のルートと掲載雑誌なんかを書いてみました。でも、相手からすれば「そんなこと、きいてねーよ」という内容に違いない。
しかし逆に、そうして全く就職できそうになかったからこそ、腹をくくってライターでやっていく覚悟が決まりました。大学の友人たちにそんな状況を相談したところ、「なんで5年間の旅の経験をストレートに生かさないんだ」ってみんなから言われ、決意が固まりました。そして最初はギリギリのところで食いつなぎながら、なんとかいまに至ります。
そんなことを悩んでいたのがたったの4年前。全く何がどう展開するかわからないなと、改めて感じつつ、受講生のみなさんには、これから半年間がんばってもらって、自ら道を切り開いていってほしいなと思いました。
先週、ミシマ社京都・城陽オフィスにて、「寺子屋ミシマ社」をやらせていただきました。
前に書いた通り、タイトルは、
「『遊牧夫婦』シリーズ、次でほんまに完結するの?」
遊牧夫婦の最終巻をどうするかについての「公開編集会議」であり、参加者のみなさんに一緒にいろいろと考えていただきました。たくさんの方々に来ていただき、オフィスもいっぱいになるほどで、とても盛況な楽しいイベントになりました。(完結は、次でほんまにするのですが笑)
ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
いろんなご意見をいただき、楽しみにしていただいている声も直接伺うことができ、ぐっと気合いが入りました。これから春刊行に向けて、執筆ペースもぐっと上げようと思っています。
ところで、最近、紀行文についての講義をするに当たって、それなりにいろいろと読んできましたが、そのうちに、紀行文にとって一番のキモはその人が「なぜ旅に出たか」というところだろうと感じるようになりました。少なくとも自分はそこに一番興味があり、惹かれます。
何か切実な思いがあって旅にでた。
どうしても旅にで出なければならない何かがあった。
紀行文を読み、書き手のそんな思いを作品を通して知ったとき、その人の旅が自分にぐっと近づいてくるような気がします。その動機や思いが熱ければ熱いほど、作品に熱量がこもり、読み物としての力が強くなると感じます。そう考えると、本当の意味で切実な思いと行動を伴った熱い紀行文というのは、だれにとっても一生に1度しか書けないような気がします。
ぼくにとってあの5年半は、まさにそういう旅であり、『遊牧夫婦』はまさにそういう作品であると思っています。作品化するための旅ではなく、生き抜くための旅。まさに一生に一度に違いない旅でした。
だから、最終巻を書くということは、もう二度とやり直すことができない何かを終えてしまうというような怖さがあります。自分にとって一生に一度の旅を、納得のいく形で表現できるのか。悔いの残らないように、とにかく全力で書き上げ、仕上げたいです。
最終巻ができあがったとき、遊牧夫婦は3巻で一つの作品として完結します。それを書き終えたら、この旅が本当の意味で終わるような気がしています。2003年から、いまもずっと旅の中にいるような気持ちがありますが、本が出来上がることで、その気持ちが大きくひと段落するように想像しています。そう思うと寂しさもあり、いろいろと複雑な思いですが、でも、それによって先に進めるような気もしてます。
・・・と、熱く宣言をして、自分に気合いを入れます!
完成を楽しみにしていただき、叱咤激励をいただければうれしいです。
どうぞよろしくお願いいたします!