at インド レー (Leh) on 16/Sep/1999
Taglang La は標高5328mの峠。道路のすぐ傍らに石碑が立てられていて、そこにはこう記されている。"Taglangla. Altitude 17582ft. You are passing through second highest pass of the world unbelievable is not it?"
加えて、石碑の後ろに見えるヒンドゥー寺院は世界で2番目に高いところにある寺院であり、ここのトイレは世界で最も高い位置にあるトイレなのだそうだ。
空気が薄いとはこういうことかと、今更になって自分の身をもって知る。少し動くだけで息が速くなり、なんとなく頭がボーっとして体がだるい。頭上のすぐそばを足早に過ぎ去っていく千切れ雲が、澄みきった薄い空気を通って突き刺す太陽光線を時折遮り、その瞬間、瞬間に世界が暗くなったり、明るくなったりする。
Manali - Leh ロードは、ヒマラヤ越えの475kmもの道程を、バスで僅か2日で通過してしまえる驚異的な道だ。インド平野部の田舎道などよりも、むしろよくメンテナンスされていて快適な道である。隣国パキスタンとのカシミール問題に絡んで、ここからさらに北方の国境付近で両国軍がにらみ合っているという状況が、なぜこの驚異的な道が作られたかという理由の一つであるようだ。道中、物資や軍人を運ぶ輸送トラックの車列を何度も目にした。
当然この道のメンテナンスのために、大量の人員が配備されている。崖と空気と太陽光しかないが周囲は絶景という作業現場で、日焼けとタールで真っ黒な肌をした労働者達が汗を流している。バスに乗っていると、突然人影があらわれて、無言の戦士とでも呼びたくなるような風貌の労働者が乗り込んできて、再び無名の土地で降りていくのだった。