November 24, 2009

衝撃の数学ノンフィクション<Kyoto, Japan>

こないだたまたま書店で見かけて買った

『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)

を昨日読み終えて、まだ興奮冷めやらぬ気持ちです。

「(xのn乗)+(yのn乗)=(zのn乗)
を満たす自然数の組(x、y、z)は、nが2より大きい場合には存在しない。」

という、とてもシンプルな「フェルマーの最終定理」については、確か中学時代からその存在を聞いていました。しかも、天才フェルマーは、この定理とともに、

「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」

と書き残したまま死んでしまい、そのまま300年以上も誰もこれを証明できずにいたことも。フェルマーとは17世紀の人なのです。その話を聞いたときから、フェルマーの最終定理というのは、ぼくの中で、ずっと特別な響きを持っていました。

でも、たぶん15年くらいは完全に頭の中から消え去っていました。
それがこないだ中学生にこのことについて質問されたことをきっかけに記憶が復活。で、そのすぐあとに偶然そのままのタイトルの本を見かけたので買ってみたら、これはもうほんとに大当たりでした。

――300年以上も誰も解けなかったこの問題を、1993年ついにある男が解いたという。その噂は数学界を沸きかえらせ、その解法を発表する講演では、誰もが歴史的瞬間に興奮し、世界中のメディアが、それを報じた。ついにフェルマーの謎に終止符が打たれたのだ、と。
そう誰もが思った。しかし――

ってなところから始まります。

この「数学界最大の超難問」を巡って、これだけ興味深い人間ドラマが繰り広げられたことを知り、ほんとに身震いしながら読みました。

この1問の中にそんなにもの人間の智恵と歴史と思いが込められてきたのか、数学ってこんなに歴史とロマンとドラマを含んでいたのか、と、なんだか分からないけれど、数字とか数学の奥深さの前にひれ伏したくなりました。

また、作者の文章力や構成力もすごく、ノンフィクションの作品としても超極上で、相当面白く読めます。訳もとても完成度が高い気がします。2500年前に「ピタゴラスの定理」が出来たとき、神に感謝のしるしとして100頭の牛がいけにえに供されたとか、19世紀フランスの20歳の天才が決闘で死ぬ前日に書き残した理論とか、23人集まれば同じ誕生日の人がいる確率は50%以上になるなど、いろんな挿話が面白く、しかもそれがすべて、このフェルマーの最終定理へと巧みに集約されていくのがすごいです。

数学が好きな人なら、立ち止まって考えつつ、やめられなくなります。
数学を全然知らない人でもきっと数学の持つ壮大な世界に感激すると思います。

この本で、数学の魅力を再確認しました。

興味ある人は、是非。とってもお勧めです。
といっても、そんなに新しい本ではないので、知ってる人も多いかとは思いますが。。。


Posted by ykon at November 24, 2009 12:47 AM | トラックバック
コメント

デモデモ~。元気~?
数学は大のニガテだけど、奥深い世界には興味があります。
読んでみま~す。

それから私もメインストリームを行く派ではないけど、早生まれじゃない~。11月~。
(今さら前のエントリーを読んだので話題が古くてゴメンなさい)

Posted by: ヤンチェン at November 24, 2009 11:12 AM

>ヤンチェンさん

元気だよ~。こないだの駅での悲惨な出来事の日記を読んだたしか翌日に、原付で左折したら前に警官が待ってて、いま横断歩道に歩行者いたじゃないか、って罰金取られたよ~。すごい間隔あったのに。。。ってなぜかそのとき、ヤンチェン日記の理不尽な出来事思い出しました(笑)。
フェルマーの本、数学があまり好きじゃない人が読んだ感想聞きたいです。

11月生まれも、ジャンル的には早生まれに近いかな、、なんて(笑)。そんなこと言い出したら、こじつけ理論になってしまうね。

Posted by: ゆうき at November 26, 2009 12:11 AM
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