April 23, 2008

仕事、観光、移動に追われて……<Thun, Switzerland>

前回更新したナポリから、気付いたら2週間も経ってしまいました!その間に、ローマ、そのそばの小さな村・ロカ・カラショー、フィレンツェ、ベネチア、そしてスイスへと、旅はかなり展開してしまいました。というか、昨夜からスイスの友人家に泊めてもらっていて、もう気持ち的には、旅らしい旅はイタリアで終わり、これからは友人巡りの日々、という感じです。

しばらく更新できなかったのは、ここ2週間ほどやたらと仕事が重なってしまったのと、見なければならないビッグネイムな美術館やら観光スポットが多く、そして物価が高くて無駄にダラダラ滞在もできないために、移動が続き、時間的余裕が全然なかったためです。

仕事については、いつもの連載の仕事に加え、月刊誌のグラビアページの仕事、そして急遽依頼されてチベット問題の記事を週刊誌に寄稿することになり、そのすべてがほとんど完了したのが昨日の夜。

ローマにしろ、フィレンツェにしろ、見たい(見なければならない?(笑))場所が多くて、日中は午前中から長蛇の列に並んで美術館に入ったりして、くたくたになって宿に戻り、それから毎日、夜2時か3時ごろまでリサーチや原稿書き、という日々が続き、かなり疲れました。。。でも、一応ほぼすべて無事に終わり、いまかなりの開放感をスイスの友人の快適な家で感じながらのんびりすごしています。

ちなみに、記事は
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○今週金曜25日発売の「週刊金曜日」に、チベット問題について現地からの情報を交えた総論的な記事(2ページ)
○5月10日発売の「中央公論」6月号に、中国のイスラム教徒についての写真掲載(1ページのグラビア)
○連載「国境を往く」のアルメニア・グルジア編が、"Link Club Newsletter"6月号に
○連載「人びとの海」(前に書いたギリシャのロマ(ジプシー)について)が月刊「自然と人間」5月号に

といったところ。そのほか、イランについてのエッセイみたいなのも週刊誌に掲載予定なのですが、、、詳細はまだ未定です。

……と、少々宣伝っぽくなってしまいましたが、機会がある方はご覧いただければ幸いです。特にチベット問題については、できる限り情報をネットで追ってきましたが、今回の中国のやり方はあまりにもひどいと感じていて、その流れで記事を書くことになりました。中国にいてチベット人ととても近い友人から現地情報を得たりしながら、なんとか形にしました。

同じような問題を中国のウイグル人も抱えているし、周知の通り、その他中国には懸念すべき問題がたくさんあるのですが、中国の問題になるとなぜか人権や平和に熱い日本の団体は、声を小さくしてしまう傾向があり、そういう党派的なものが見え隠れするのがとても気持ち悪いし、いやだなと感じてます。自分も中国にはとても親近感があるからこそ、中国の問題点はちゃんと指摘したいし、厳しい視線を向けないといけないと思ってます。そういう気持ちで書きました。

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(ローマのコロセウム。アテネのパルテノン神殿と並んで、遺跡の横綱みたいな存在なので、さすがに行きました。人と戦う動物がここに入れられていた、とかいう場所がとてもリアルで、なかなかよかったです)

さて、イタリアの旅について。イタリアに来て本当に、観光らしい観光の目白押しとなり、さすがイタリアという気がしました。二人とも、そんなに絵とか彫刻に詳しい方ではありませんが、素人的にもやはり、ミケランジェロとか、超メジャーどこは、その歴史的価値などを含めて、やはり是非見ておきたいと思いました。ということで、長蛇の列と、すさまじい混み具合の中、ミケランジェロ、ダヴィンチ、カラバッジョなどの大作を見てきました(正直、カラバッジョはよく知りませんでしたが(でも超大御所?!)、美術館を見て回って、にわかにシッタカモードに入ってます(笑))。

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(どこにあったか忘れましたが、両サイドがカラバッジョの作品。写実性と斬新な場面の描写がその時代に衝撃を与えたとか)

ぼく的には、ミケランジェロの「最後の審判」と「天地創造」にはかなり感激しました。絵のすごさももちろんですが、それ以上に、500年も前に、まさにこの場所で、何年もかけてミケランジェロ本人がこの壁に描いていたんだと思うと、その歴史のすごさにゾクッときました(両方とも、バチカンの礼拝堂の壁に描かれているフレスコ画のため)。

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(正面が「最後の審判」で、天井のが「天地創造」。「天地創造」はずっと後ろまで広がっています。上からたれてくる絵の具でミケランジェロが視力を失いそうになりながらも仕上げたというこの大作はさすがに衝撃的でした。バチカンのシスティーナ礼拝堂の中で、すさまじい観光客の数。後半は狭い回廊をずっと並んで進んでいくという感じで、「最後の審判」にたどり着くまでは本当に距離が長く、まだかまだか、と思いつつ、1時間ぐらい歩いたかもしれません。そのタメがすごかったせいもあって、最後にこれが出てきたときには、やっと最後の大ボスにって感じでした。ミケランジェロはダヴィンチが大嫌いで、「チクショー、負けねーぞ!」と思いながら作品作りに励んでいたようですが、多分この状況を見たら、ミケランジェロ喜ぶだろうな~とか想像しました)

盛り上げるために、事前にウィキペディアや本屋などでにわか勉強して、知識を詰め込んで見ました。ま、そういうわけで、感覚よりも頭で絵を見てしまっているようなのは、いかがなものかとも思いますが、やはり背景とか分かってないとなかなか感動できないな、というのは、芸術をそのままでは理解できない一庶民としての実感かもしれません(笑)。

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(これもローマで、かの有名な「ブルータス、お前もか!」と言いながら、シーザーが暗殺された場所。相当たくましく想像力を膨らませないと、そのシーンは思い浮かばない風景ですが、さすがにローマは、そういう場所が目白押し)

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(これは有名なトレビの泉。自分も含めて、みなが「観光客すげーな!これじゃ雰囲気でねーよ」なんていいながらすごい人ごみを作るぼくたち)

しかし、イタリアの美術館は、こんなにすばらしい芸術品を持っていて、世界中から人が見に来るのに、入場料が高すぎるし(「最後の審判」があるバチカンの美術館は14ユーロ=2000円ぐらい)、説明も不親切なように感じました。全然英語の説明もないし、日本語や英語で説明が聞きたかったらオーディオガイドを借りなさいって感じで、それが5,6ユーロ(1000円弱)もします。しかも学生でも、26歳以下だと割引にはならないという感じで、なんだかな、って思ってしまいました。

そんなわけで(?)、残念ながらダビデ像はパス。すべて見てたら、バックパッカーにはお金が持たないというのが実感です。あと、ミラノの「最後の晩餐」も是非見たくて、これは盛り上げるために映画「ダヴィンチ・コード」も入手して、知識を総動員する予定だったのですが、事前予約が必要なために電話してみると、すでに6月頭まで予約がいっぱいで見れない!という驚くべき事態が発覚してあえなく断念。これはとても残念でした。というわけで、ミラノもパス。

こういう観光らしい観光以外には、ローマ近郊のとても小さな村ロカ・カラショー(Rocca Calascio)に行きました。ここは1400mの山の上にあって、完全に廃墟となった村に、いまでは2家族だけが住み始めて、イタリア人にとってのちょっとした休日の旅先となっているところ。旅行者のための場所みたいなので、村の生活がダイレクトに感じられるっていう世界ではありませんが、それでも山の中のほとんどひとけのない中世そのままの町並みですごした3日間はとても気持ちのいいものでした。ローマに行かれるかたは、ローマから2時間ぐらいなので、お薦めです。

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(この山頂にわずかに見えるのが、ぼくらが泊まっていたロカ・カラショー。この手前の町ですら、50人ぐらいしか住んでいないという、まさに捨てられた町)

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(ここでは、何気にある建物がこのようにみな14世紀とかのものなのがすごい。やっぱり石造建築は長持ちしていいなあと感じます)

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(ロカ・カラショーのそばの村で。見かけた数少ない村人と思われるおばあさんと。)

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(ロカ・カラショーのそばの村で参加したワイン・テイステイング)


あと、イタリアに来て気付いたのは、本当に中国人が多いこと!どこに行っても、中国人だらけ、といってはいいすぎですが、ぼくらも中国語を使う機会がやたらと多くてびっくりしてます。ローマでは韓国人経営の安宿に泊まっていて、そこが朝夕食付きというとこだったのですが、そこで料理を作ってくれるおばちゃんも、遼寧省出身の中国人で、彼女もぼくらが中国語を話すことを知ってうれしそうに、いろいろと話してくれました。どうやってイタリアに来たのかと聞くと、「ツアーで来て、そのままドロン」ということでした。一人75000元(110万円ほど)払うと、そういう外国ドロンツアーがあるとのこと!パスポートは「ツアーガイド」がもって帰ってくれて、帰国の判子も押され、オフィシャルには中国に戻ったことになるとのこと。「イタリアの警察に見つかったらやばいのでは?」と聞くと、「イタリアの警察は全く気にしてないよ。没問題!」とさすが太っ腹な中国人。で、この状況について、イタリアの中国大使館ももちろん知ってると彼女はいっていて、むしろ手伝ってくれるとのこと!「大使館は、中国人の味方だから当然でしょ(笑)」と。。。パスポートに判子を押すのも、入国審査官の協力がないとできなそうなので、まさに政府側職員と一帯になってこういうことが行われているのがすごいです。。。「日本も同じ方法で入れるけど、75000元払って入国しても、警察が厳しくて見つかったらすぐに送還されてしまうから、ちょっとリスクが大きくてね」と。。。こういう話をダイレクトに聞くと、さすがに驚かされます。

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(ベネチア(ベニス)。このサンマルコ広場で、クラシックの生演奏を聞いたら俄然「おお、ヨーロッパ!」って感じで盛り上がりました。しかしここもすべてが観光客のためにあるような雰囲気)

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(ベネチアの町並みは想像通り)

……ざっくりとしてますが、そんな感じでイタリアは終えました。残念なのは、現地の人との触れ合いがほとんどもてなかったこと。観光地を見て回る日々の連続で、イタリア人の生活についてはほとんど身近に感じられませんでした。カウチサーフィンも試みたものの、結局ナポリでポーランド人留学生のうちに泊めてもらった以外は、どこもみな先約があったりで、イタリア人の家庭には一度も入ることはできず。旅の醍醐味は、人との出会いだと思っているので、そういった意味では、イタリアはギリシャやトルコ、イランなどに比べて、あまり親近感をもてるようになる前に終わってしまいました。

スイスからは、もはやぼくらの中では旅というより、友達に会うのがメインの目的になりますが、逆にいまはそれがとても楽しみです。いま泊めてもらっているスイス人女性2人も、03年にオーストラリアのバンバリーで出会った人たち。直接のボランティア仲間ではないものの、イルカがらみで、久々にあのころの日々が思い出されてなつかしいです。

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(いま泊めてもらっている家のルーシー(左)とテリー。彼女たちは03年にバンバリー3週間ほど滞在してドルフィンセラピーにかかわっていた人たち。しばらく連絡とってなかったけど、とても歓迎してくれて、楽しく過ごしています。二人とも落ち着いたとてもいい人たち)

おそらくここに4,5泊させてもらいます……。何も気にせずゆっくりできてうれしいです。


Posted by ykon at April 23, 2008 7:29 AM | トラックバック
コメント

すごいなー
どの写真にも圧巻されてます。
すごいなぁ。
興味のない分野にも
いいなって思わせてくれる写真です!
久々のモトコスマイルにも癒されてます。
マシュニコとの再会も近いかな?
会いたいな。

Posted by: Chie at April 23, 2008 9:49 AM

旅しながらでも、いい仕事してますね。感心します。

Posted by: よっしー at April 24, 2008 12:49 AM

>Chieちゃん

ヨーロッパはやっぱり、アジアとは全く違ったよさがあるねー。ローマとかは、本当に街全体が美術館っていうぐらい、どこもしっかり保存されていて、そういう歴史をみながちゃんと尊重しているのがやっぱりすごいなあって思った。その一方で、人と出会うよりとにかく建築物や芸術作品を見ることがメインになるから、おれたち的には、旅の醍醐味を味わうのがなかなか難しいっていうのもあったけど。

その分、DDCつながりの人やその他友達に会えるのが楽しいです。テリー&ルーシーは、ちえちゃんは知らないかな?おれたちもたまたまワンダーインで結構話して、っていうつながりだったみたいだし、そんなにDDCの人たちとはつながってないんだけど、なつかしい話がいろいろできて、たのしいです。03年に戻った気分だよ~。

>よっしーさん

移動しながらだと、さすがに結構きつかったです。。。しかも、ほんとに物価が高いから、ダラダラすごすわけにもいかないし(イタリアは、どこもドミが200元以上!ちょっとお茶したら、二人で100元……)。
いま久々にスーパーシティのサイト見てみました!表紙のデザイン変わったんですね!みなさんによろしく!

Posted by: Yuki & Motoko at April 25, 2008 9:10 PM

久々にブログをチェックできました。

バンバリーでお世話になりましたminakoです。
今は、お二人はヨーロッパにいらっしゃるんですね♪
ずいぶん昔、大学の卒業旅行で行きました。
懐かしいです。

私も実は、スイスに行こうと計画したものの、断念。
5月3日に友達の結婚式があるんですが…。

また、楽しく読ませてもらいます。

p.s. Phillipが在日中で、来週、会えそうです。

Posted by: minako at April 27, 2008 12:46 AM

僕もベニスいきましたよー。昔。ちょうど2月の仮面のカーニバル!?見たいのやってましたねー。 やっぱ地盤沈下してました??

Posted by: せつま at April 27, 2008 7:43 PM

>minakoさん

久しぶり~!
元気そうで何よりです!

こないだアテネで、ミナコさんにそっくりな人が目の前をゆっくりと何かの乗り物で通過して、二人とも、思わず同時に「ミナコさん!!」って呼びかけてしまいました!そしたら、その人もさすがに気付いて、こっちを向いて軽く微笑みつつ行ってしまったのですが、その姿を見て、あれ?!ミナコさんじゃなかったの?!って二人とも驚いてしまうぐらいにそっくりでした。ちゃんとみたら結構違ってたのかもしれないけど、一瞬で二人とも確信して、思わず叫んでたってのは、なかなかすごいですよね?いや、しかし、ミナコさんじゃなくて残念だったなあ~って二人で悔しがってました(笑)。

ヨーロッパはDDC関係の人に次々に会う予定です!なつかしい人が次々に登場すると思うので、またたまに見てみてください。フィリップにもよろしく!!

>せつまさん

武田さん結構いろいろと行ってるなあ~。ベニス、地盤沈下してるみたいだけど、あの島はほとんど観光客と観光業の人しかいなそうだから、沈んでも地元の人の生活の場がなくなるとかそういうことではなさそうだねー。って、もちろん沈んだら大変なことだけど。カーニバルとかはやってたらもっと面白かったかも……。

Posted by: ゆうき・もとこ at April 28, 2008 8:40 AM

The pictures are really so nice ,
I love them very much !
And miss you both very much !

Posted by: qian at May 5, 2008 12:50 PM

>Qian

It's nice to hear from you! We are about to reply to your email also. It's good to know you are doing fine in Shanghai. Hope we can help you somehow about what you have asked us.
Anyway keep studying Japanese!

Posted by: yuki & motoko at May 8, 2008 7:46 PM
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