京都日帰りはやはりしんどい。しかし、そこは3年住んだ場所。東京では絶対に堪能できない空間で一時の愉楽。今回は京都の「すし」である。江戸っ子の私が、京都のすしに魅せられた理由は、至極単純である。まず「すし」は庶民の食べ物であり、日常の中にあってこそ、その魅力がある。いつの間にか、すしは高級料理か回転寿司かの二極化に至り、手軽で身近な存在ではなくなった。回転寿司は今や世界の寿司であり、お手軽であるが、身近ではない。うまい、安いは当たり前、その上、気持ちよくすしが食べられる店というのはあまりない。
京都にそのすしを見い出すまで、私は江戸前こそが「すし」そのものだと思っていた。これが大間違いだった。「傳七」は京都で2店のみ。白梅町と西院にある。観光客はまずいない。ここを知るのは、京都に住む人だけだ。そう断言できるのは、その場所は、京都の人だけが行きかう場所だからだ。京都に行くとき、必ずおなかをすかして、期待して、そして思う存分、飲み食いするがいい。そして、その気前の良いもてなしを知れば、東京のすし屋が忘れてしまった「粋」の真髄すら感受できる筈である。
今日はなんと言っても、よこわのえんがわと穴子が最高だった。白梅町の店は、姉妹店「串八」がとなり。この「串八」も有名。
京都市北区北野上白梅町33-1
TEL 075-463-7125