at Varanasi (Benares), India on 16/Nov/1999
バラナシを流れるガンジスの西岸には、人々を河へと導く階段(ガート)の列が数キロにわたって続く光景が展開される。ガートの並びの丁度真ん中程にあるダシャシュワメダガート(Dasaswamedh ghat)は、ほぼ一日中、多くの巡礼者で賑わっている。水辺近くの石の上には、打ち水とともにオレンジのマリーゴールドの花がディスプレイされていて、これからお祈りをしようとする人々にアピールしている。
水辺からガートの階段を登り、建物と建物の間の隙間に吸い込まれるようにして進むと、すぐに迷路のような細い路地に接続される。そこでは、牛、猿、犬、鳥、ネズミ、その他諸々などが、彼らのペースで路を歩いたり、頭上をかすめたりしていて、こちらがよそ見などをしていると不意打ちを食らうことになる。
- Ganga mahal ghat (Ⅰ) -
バラナシのあれやこれやを体に吸収し過ぎてしまったのか、朝から熱が出てダウン。ずっとベッドに張り付いているのも良くないだろうから、Spicy bitesという日本人お得意様の有名な安食堂で昼食をしっかり摂り、ふらふらと散策にでかける。自分が弱っていると、被写体に写真を撮らされているような感じになりますね。
各々の舟が、それぞれに
まだ本調子とはいかないが、昨日の突発的な熱はおさまったので、今晩の夜行列車でデーリーへ向かうことにする。バラナシは不思議な引力のある街だ。巡礼者と旅行者がひっきりなしに此の街を訪れ、思い思いに河と対面する。ある者は沐浴し、泳ぎ、飛び込む。ある者はボートに乗って、あの世からこの世を眺め、夢中で写真を撮り、船頭に憐れみを感じたり、時にボラれる。ある者は、ここを目指して何千キロも旅をして、人生を終え、灰と水蒸気になる。人間も石の建築物も、全てはガンジスの流れに回収されてゆく。