at インド タクトク (Tak Thok) on 19/Sep/1999
レーから30km程インダス川をさかのぼり、左手の山間を入ってゆくと、シャクティ(Shakti)渓谷のゆるい上り坂が続く。シャクティの村は、畑の中にまばらに民家があるだけで、ひっそりと静まり返っている。渓谷の奥の、山のずっと向こうまで続いているかに見える道の脇で休んでいると、すぐ頭の上に雲が沸いてきて、渓谷に風が舞い始める。遠くで何人もが歌を謡っているのが確かに聞こえるのだけれど、人の姿が全く見えないので、空耳かもと自分の聴覚が疑わしくなる。
シャクティ村の奥には、小さなタクトク ゴンパ(Tak-Thok Padmalinggon
優しい顔をしたチャーミングなラマで、小さな茶飲み茶碗でお茶を飲むときには、ピンと小指が立つ。夕食を振舞ってくれるときには玉葱を刻みながら、こちらを振り向いて涙を流す。
壁を土で塗られた僧坊は、土が音のクッションの役目を果たすのか、しんとした平穏な雰囲気の空間。こんなところに住んでいたら、すぐにおじいちゃんになってしまいそうで、ちょっと怖い。