この日が、来た。もちろん、誰一人として、「この日」なんて意識していなかった。
2001年9月11日。
私にとっては少し特別な日だった。30mまで潜るディープダイビング、真っ暗な海に潜るナイトダイビング等を経てアドバンスのコース終了、晴れてアドバンスダイバーとなった日だった。それはKoh Tao 最後の夜を意味していた。
いつもは「裏屋台」の愛称を持つ近くの安食堂だが、今日は祝勝会も兼ねてちょっと高級なメキシコ料理店で夕食をとっていた。店にはテレビがあり、この旅で初めて電波に乗って飛んできた映像を見ていた。
と、突然画面が切り替わり、見慣れたツインタワーからもうもうと黒煙が上がるシーンに。皆、映画の1シーンだと思っている。2テンポ程遅れて、近くの席にいた恐らくはアメリカ人が、ダダダーッと一斉にテレビの前へ駆け寄った。「where in america!!」「 my gosh!!」
「whereってねー、どう見てもNYやんなあ」「ねえ、これってニュース??」ダメ日本人約2名。pentagon・ trade center ・hijack ・kamikaze といった単語が耳に入ってきて、いやがおうにもとんでもない事態を想像してしまう。「えらいことなんとちゃうん」「うーん」
しかし、周りはとんでもなく平和なのである。静かなのである。