March 24, 2012

南三陸町を久々に訪れて<Minamisanriku, Japan>

8ヶ月ぶりに、宮城県の南三陸町に行ってきました。
立ち上げ当時から、少しだけですがお手伝いさせてもらっている寺子屋プロジェクト「TERACO」で、久々に子どもたちの勉強を手伝ったりしてきました。

TERACO自体については、最近の「日経BP」誌に記事を載せてもらったので、そちらをご覧ください。

大変な中で1年間を過ごしながらも、元気な子どもたちに再会できて、本当に自分が元気をもらいました。それぞれ中学、高校、大学に進学が決まったり、次の学年に進んだりする直前で、8ヶ月前(昨年7月)に会ったときに比べてみなとても成長しているように感じました。本当に子どもたちの成長は早いし、エネルギッシュな子も多いし、被災地において、子どもたちの存在というのは、本当に掛け替えのないものだなと改めて思いました。

車を借りて町の様子を一通り見てきましたが、がれきは大きく何ヶ所かにわけて集積され、津波の跡地は、概ね何もなく、ただ静けさの漂う土地が広がっていました。これからこの土地がどうなっていくのか、まだ決まってない一方、人々の現実の生活は仮設住宅などを軸に確実に始まっていて、まさにこれからが本当に正念場なんだろうと感じました。

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写真は、志津川高校の前から見た南三陸の現在の様子。正面右側が海になります。ちょうどこの同じ場所から震災当日に撮られた映像が以下です。是非見比べてみてください。

南三陸町志津川高校から見た津波の様子


昨年5月に初めて被災地を訪れたとき、避難所で知り合った年配のご夫婦にも再会しました。お彼岸のお墓参りにもご一緒させていただき、住まわれている仮設住宅に連れて行っていただいたりしながら、いろいろとお話して、お元気そうな様子がわかり、うれしいでした。

その方は、家を流されてしまったものの、ご家族は無事で、いまは仕事にも復帰。とりあえずの生活はなんとかなっているものの、最長5年で仮設からは出ないといけない。

「一応、仕事はあるけれど、この歳でもう一度新たにいろいろ始めることもできないです。家はないし、土地もまだどうなるかわからないし、何もない。その先を考えると不安でしょうがないから、考えないようにしています。これからさらに2年、3年とたっていくと、みな被災地のことを忘れていってしまいますよね。たまにでいいので連絡をもらえたりするとうれしいので」

とおっしゃっていたのが心に残りました。仕事にまだ戻ることができていない人などは、さらに大きな不安を抱えているのではないかと想像できます。ある人に聞いたところでは、南三陸町だけでも、500ほどあった会社などのうち、すでに90程度が廃業・倒産したとのこと。なんとかふんばって生活を立て直し始めている人と、全くそんな気力すらも沸かない人との間で、大きな差ができつつあるような印象をうけました。

被災の程度もそれぞれ違うし、抱えている問題も、今後への気力もそれぞれ違います。そういうことがリアルに各人にのしかかってくるのが、まさにこれからの1年なんだろうと感じました。

それから、一つ写真集の紹介。
『南三陸から 2011.3.11~2011.9.11』

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これは、南三陸町の地元の写真屋さんである佐藤信一さんが撮ったもの。震災前の、本当に美しい南三陸町の街並みから始まって、震災当日から半年間の町と人びとの様子が写し出されています。

今回の震災の写真集でこんなに心打たれたのは初めてでした。この町を実際に身近に感じているから、ということを差し引いても、本当に素晴らしい(という言葉を使っていいのかわかりませんが)写真集だと思いました。辛いけれど温かい、悲しいけれど力強い、切ないけれど美しい。まさに地元の写真屋さんだからこそ撮れた一冊で、是非多くの方に見てもらいたいと思いました。

以下は、表紙に書かれている佐藤さんの言葉からの抜粋です。

『私は町の小さな写真屋の二代目。皆さんに支えられて今日まで頑張ってこられました。先日、私の撮影した昔の町並の写真を見てた方が泣いていた。ガレキの中から探し出した一枚の写真を私に見せ「これでまた生きて行けるよ」と大切に胸にしまった人もいた。ホント写真の力ってすごいなと感じた。私の店も家もすべて流されたけど、この町に生かされた写真屋ができる事。それはやはり写真で恩返しする事、そう強く感じています。写真はありのままを写す。時に辛い場面も写し出す。だから喜びも悲しみも心を込めてシャッターを切ろう。そう心に決めました。かけがえのないふるさとと人々の心の強さ、あたたかさを伝える為に、今を写せば未来へ繋がる。写真の力を信じて・・・』

ぼくもこの写真集を見て、改めて写真の力を実感しました。

被災地はまだ一周忌をむかえたばかり。

これからだ、と感じました。

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(写真集の中の、震災前の南三陸町)

Posted by ykon at March 24, 2012 1:10 AM | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)

March 9, 2012

Facebook を席巻する「KONY 2012」という映像について<Kyoto, Japan>

FB内外で、非常に話題になっているらしい「KONY 2012」という映像をみた。
http://www.youtube.com/watch?v=Y4MnpzG5Sqc
(英語)

おそらく、ほんのわずかな間に、youtubeでは4000万人以上が見ているもよう。Joseph Kony という男がウガンダにいて、彼が子どもたちを誘拐、殺害、レイプなど、やりたい放題20年以上している。この超超極悪人をなんとか始末しようと、アメリカ人が大きなムーブメントを起こしている、みな支援を、というストーリー。

ぞっとする映像だった。Joseph Konyの極悪非道ぶりではない。Joseph Konyはおそらく悪いやつなんだろうとは推測できるけれど、彼の極悪非道ぶりは、20年以上も悪事を働いていたというわりに、よく考えると具体的にはあまりわからない。

その上、彼がどうして、そんなことをし続けているのか、どういう背景を持つのか、ウガンダがどういう国なのか、といった説明が全くないまま、ただ、Joseph Konyという極悪人を始末しろ、というメッセージが、ひたすら続く。それを多数のアメリカ人が支持して、Joseph Konyをつかまえるために、昨年アメリカ兵が現地に派遣されたという。

アメリカ人の友人から、この映像を見てくれ、彼は本当の悪魔だ、というメッセージ付きで映像のリンクが送られてきた。アメリカで多くの人がこれを真正面から受け止めて怒りに震えているように見えるけど(それすらも映像から得た単なるイメージかもしれない)、まるで、「ザ・コーブ」を軸とした、欧米の反捕鯨の流れを思い出す。映像の雰囲気も、「ザ・コーブ」によく似ている。

イラクのときでも、こういう一方的な情報の怖さは散々アメリカ人は体感しているのではないかと思うのだけれど。。

最近、「戦争広告代理店」という本で、いかにボスニア紛争のとき、宣伝効果がセルビア=悪という世論をうんでいったかという過程を読んだだけに、それがそのままだぶってしまった。

今後の動きが非常に気になるところ。

Posted by ykon at March 9, 2012 10:16 AM | パーマリンク | コメント (0) | トラックバック (0)