昨日発売した『考える人』2012年秋号(新潮社)、
角幡唯介×沢木耕太郎対談、すごい読み応えでした。
http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/index.html
ぼくにとって、尊敬する二人の本気のノンフィクショントークに、創作意欲がかき立てられ、一気に筆が進みました。ノンフィクションや旅ものが好きな方は、この対談、是非読んでみてください。
角幡さんの新作『アグルーカの行方』も同時に購入して、昨日読み始めたところ。今回は、北極が舞台。150年以上前に北極圏横断を試みて、129人全員が忽然と姿を消したフランクリン隊の謎を探るために、角幡さん自身が、もう一人の北極探検家とともに、北極圏1600キロを歩くというストーリー。その中に、フランクリン隊の最期が見えてくる、らしい。この人の作品は、ほんとにどれも、テーマも行動力も筆力も、凄まじいです。
ちょうど昨日まで、南極初到達に敗れ、失意の中で全滅するイギリス・スコット隊の物語『世界最悪の旅』を読み終えたところで、少し極地づいてます。南極ってこんなにも壮絶で恐ろしいところなのか、とこの本で実感。
自分は大学院時代の研究テーマが北極の流氷の未来予測シミュレーション(温暖化で将来、氷がどうなるのかなど)だったのですが、そのとき、自分で行こうなんて、一瞬たりとも思わなかった(グリーンランドに研究で行くっていう話は、一瞬持ち上がってもりあがったのですが)。
あのとき、「行こう」と思っていたら、どうなっていたんだろう、と少し考えたりもしました。
いずれにしても、いまさらですが、最近、紀行文学の面白さが実感としてわかってきた気がします。なぜ人は旅に惹かれるのか、なぜ未知の世界に向かうのか。
自分が感じるようになったその思いを、『遊牧夫婦』の最終巻に、全力でこめます。