(ウズベキの伝統的な織物、アトラス。マルギランのバザールで)
タシュケントから5時間ほど東に行ったフェルガナ地方にいます(この5時間の道のりは大雪が降って道も凍りまくっていたものの平穏にクリア。途中高速道路みたいなところも凍ってて、車がみな滑って前にすすまず、人が押して進む車多発という味のある光景が広がっていましたが)。
ここはウズベキスタンの中でもウズベキ色が最も濃いところということで、来てみました。バザールなどに行くと、頭に何もかぶっていない女性はまさに素子ひとりで、確かに強いイスラムの雰囲気を感じます。都会のタシュケントとはかなり違います。
それでもやはり白人ロシア人も多く、ぼくらが泊まっているほとんどホームスティという感じのゲストハウスも、白人の家です。それから、スターリンの時代に強制労働で連れてこられた韓国人も多数いるはずなのですが、それほど出会わず。
フェラガナ地方は、遠い昔からシルクやコットンの生産で知られ、「シルクロード」という言葉が出来る所以となったのは、まさにここのシルクを東西からやってきた人がいろいろなものに交換して、東西の交渉が成立していったからのようです。というわけで、ウズベキスタンのフェラガナ地方(さらにいえば、その中心だったマルギラン(Margilon))こそがシルクロードの中心地点といえるのかもしれません。
フェラガナは、近郊の町まですべて乗り合いバスで1時間以内と近いので、毎日異なる場所に日帰りで行ってます。
今日行ったのがそのマルギランの巨大な日曜バザール。「中央アジアで一番!」という評判もあるようなので、日曜まで待っていってみたのですが……、ま、思っていた程でもなかったです。Bazaar is Bazaar...って感じかな。。
(バザールには布を扱う店がいっぱい。シルクか?と聞いたけど、どれもシルクではなかった……。こんな土地ならバザールにシルクがいっぱい、と思っていたのに……)
そのあとでシルク工場にも足を運びました。日曜だったので工場では誰も作業はしていませんでしたが、1500年ほど前から、この場所で作られたシルクが東西に渡り、東西の交渉へとつながっていったのかと思うとなかなか感慨深いものがあります。
(ここがそのシルク工場。特に悠久の歴史を思わせる雰囲気はなし)
そして一昨日行ったのがアンディジョンという街。
ここは実は国際問題的にとてもホットな場所。というのは2年前にこの街で、警察と市民の衝突によって500人とも1000人とも言われる死人が出た大事件があったのです(アンディジョン事件)。イスラム過激派とされた人々が特に理由なく投獄され、それに抗議した市民に警察が発砲してその惨劇が起こったようです。アンディジョンで出会った英語のうまい若者によれば、市民が牢獄を襲って(?)、警察から銃を奪い、投獄された人たちを解放、それで警察と打ち合いになったとか。
(500人規模の死人が出た惨劇が2年前に起きたアンディジョンのバブールスクエア。いまはそんな様子は全く想像させないマイルドな公園)
詳細は不明なままですが、欧米諸国がこの事件で一斉にウズベキ政府を強く非難し、そのため、ウズベキスタン側も、国内にいた欧米のNGOや政府の人間をみな国外へ追放。そして欧米も援助をストップし、欧米とウズベキの間は大きな溝ができ、いまもそのまま、ということだそうです。
ウズベキは基本的には独裁国家で、昔のソ連をイメージさせる雰囲気を感じた、というのは前回書きましたが、でもそんなウズベキスタンの方が、民主化したキルギスタンよりもロシア離れをしようとしているというのは、皮肉なものです。
ウズベキでは文字は一般にロシアのキリル文字ではなく、ラテン文字(英語のアルファベット)を使ってますし(でもロシア語はそれなりに通じるし、キリル文字も多数見かける)、また、ソ連時代に抑圧された人たちに関しての博物館があったりと、ロシア離れを意識していることが感じさせられます。
それなのに、タシュケントのあの息苦しい雰囲気、決してソ連的な雰囲気から脱しようというわけではなく、まるでロシアによる支配から新たな独裁者へと支配者が変わっただけといった印象をうけます。ちょっと見ただけの簡単な印象でしかありませんが……。
でも、フェラガナに来て、ウズベキスタンの人々のとてもフレンドリーな世界に接することができてうれしいです。どこでもみなとても好意的で、笑顔が絶えません。やっぱり田舎はいいなあ~と改めて実感。別に都会の人が冷たいというわけではありませんが(笑)。自分も東京出身です。
(アンディジョンのバザールでプロフ(ピラフ)を食べながらおじいちゃんたちと軽く(ほんとにかるーく)語らう)
(泊まっている街のなかなか居心地のいいカフェ・ブラボーで。アコーディオンのナマ演奏っていうのが、ちょっとおっとり田舎風でそれっぽい)
明日にはタシュケントに向かって移動します。途中に1,2泊してからタシュケントに戻り、申請中のトルクメニスタンビザをゲットする予定です(どうも一筋縄ではいかないという噂が飛び交っているのでちょっと心配ですが……)!
(今日の昼飯。といっても、大体いつもこんな感じです。これにもう一本肉を追加して、二人で2.5ドルぐらい。ナンがどこでもとてもおいしくて気にいってます)
マルギランのYodgorlik工房ですね? ぼくはそこの門の警備室に泊めてもらったのに見学はしませんでした。
アンデイジャンはインドにムガール帝国を建国したバーブルの生地ですね。
とにかくフェラガナ地方は人もメシも良かったです。