December 22, 2007

ついにやられてしまった……<Bishkek No.6, Kyrgyzstan>

いよいよロシア語の授業も終了しました。最後の一週間は、朝6時半に起きてまだ真っ暗で凍える中、宿を出て、ギュウギュウ詰めのミニバス(マルシュルートゥカ)に乗って、学校に通っていましたが、その甲斐もあり、ジェスチャーを交えながらであれば、ちょーブロークン&めちゃくちゃな文法ながら、それなりにロシア語で自分たちの意志を相手に伝えることができるようになりました。一言も話せなかった1ヶ月前を考えれば、1人たった1万円少々の費用で、かなり進歩したなとうれしく思っています。

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(朝、8時前、マルシュルートゥカに乗るところ。8時ごろ明るくなり始める感じ。この一週間は、毎朝暗い中これに15分ぐらい乗って登校。ドアが閉まらないぐらいに押し込まれ、しかも、かがまないと前が見えないため、どこにいるのかなかなか分からず、最初は降りるのも大変。この中は気をつけろって、よく言われていたのに、油断してしまいました……)

昨日の金曜日、最後の授業が終わって、先生たちに挨拶をして多少の達成感と解放感に浸っていた矢先に、いきなり最悪パターンで、ロシア語の緊急実践現場を自ら造り上げてしまいました。混み混みのマルシュルートゥカで、財布をスられてしまったのです。
そのとき、雪がなかなかハードに降っていて、寒さも横綱級だったために、マルシュルートゥカはいつも以上のすし詰め状態。写真のようなバンに、おそらく30人ぐらいは乗っているはず。しかも出口が前のドア一つしかないから、降りるのが大変でほんとにいやになってしまいます。だから、"Stop, please!"に当たるロシア語はまず最初に覚えなければなりません(最初のころは、なかなか覚えられず、間違えて"Great! Please!"って叫びかけたりしてました(笑))。

というわけで、その日は本当に混んでいたので、お尻のポケットに入れた財布は気をつけないとやばいなって思って、1分置きぐらいには手を動かして財布の安否を確認していました。が、ちょっと身動きが取れなくなった時間があり、そのときなんか触られているような気がしないでもなかったので、その直後にポケットをチェックしたら、すでにポケットはもぬけの殻。うおお、やばい!と思って、しかし明らかに犯人は目の前にいるはずなので、なんとかここで犯人を見つけて返してもらおうと必死になるも、さて、なんていえばいいのだろう……。「卒業」直後のぼくには、あまりの難題でした。結局、ぼくの後ろでモゾモゾしてた(って、かなりきついのでみんなモゾモゾしてるんだけど)二人のどちらかだろうと目星をつけて、財布を知らないかと問いかける(100%ジェスチャーで)。すると、その真後ろに座っていた女性が、そのうちの1人を指差して、「彼よ、彼!」ってそぶりを見せました。と同時に、その二人がミニバスを降りようとしたので、ぼくと素子も一緒に下車。そして、その一人、女性が「あいつだ!」と指差した方を必死に捕まえて、「すみませんが、ちょっとポケットをチェックさせていただきます!」ってな感じで身体検査させてもらうも、見つからず。その間にもう一人はすでにいなくなってしまってました。

このとき、ぼくらのブロークンロシア語は全然活きず、まるで会話にならず。しかもぼくらが調べた彼はどうも違うようで、非常に申し訳ないことをしてしまった気分になり、全然強気にはなれず、途方にくれつつ、もうあきらめはじめていました。いきなりこの現場は、ロシア語ビギナーのぼくらにはハードすぎました。

しかしやっぱり、彼がスって、もう一人に渡して、別々にドロンっていう二人組パターンだった可能性が相当高いなとは思うのですが……。

仕方ないので切り替えてネット屋に行き、銀行やクレジットカード会社の電話番号を調べ、軒並み止めてもらったので、とりあえず被害は財布の中の現金だけにおさまりました。その額、計4万円ぐらいなので、痛いけれど、ま、大したことないっちゃ大したことありません。でも、これまでのこまかなセコセコした節約の苦労が一気に水泡に帰したし、また、4万円もあれば1ヶ月の宿代も、学校の授業料もすべて払えたと思うと、さすがにがっくりきます。。。

警察に届けても意味ないよなあと思いつつも(現金は保険でも戻ってこないし、キルギスの警察は腐りまくっているっていう話だし)、2つのカード会社の人に、ケーサツいきなさいと連呼されたので、ちょっと遠かったけど行ってみました。

さて、その警察。厳格で融通の利かない雰囲気をイメージして行ったら、てきとーで頼りなさげなムードが蔓延しているのが一瞬で判明。しまらない薄笑いを浮かべた警官数人に、財布をスられたんだけど……と説明すると、「犯人は、男か、女か?いくら入ってたんだ?!」って、まるで高校生が友人のケンカの話に熱くなるような盛り上がり具合で聞かれ、「よしドキュメントを作ってやるからおれについてこい!」と、中へ。取調べ室みたいなところでしばらく待たされ、その後、携帯をなくしたらしい女の子とともに、部屋に。さて、ここで一気にドキュメント作りか?と思ったものの、全然何も先に進まず。一方で、この状況で意外に自分たちのちょー稚拙なロシア語でもそれなりに意図が伝えられることを実感し、少しうれしくなってたり。

でも全然何も進まないまま、1時間ぐらい経ち、「時間ないから急いでくれ!」って急かしたものの、結局はこんな展開。

「ユウキ、今日はハンコがないから、また明日の朝来てくれ」

なんだよ、それ……。ハンコがないって……、道ばたで話しているんだったら分かるけど、警察にいるのに、職場にいるのに、どういうこと?って思ってしまいます。

選挙監視人登録のときと同じ臭いがしました。なので、明日来てもまたもらえない可能性もあるし、もらっても大して役にはたたなそうだし、もうこれはだめだとあきらめました。全く予想のつかない理由が次々に飛び出てくることだけは予想がついてしまいます。

その一方、1時間ぐらい一緒にいた警官とはロシア語の会話がそれなりに弾みだし、「なんであんたたちは二人で31歳にもなってるのに、子どもがいないんだ?何か体に問題があるのか?」という定番の質問。そう聞いてくる男は、結婚3年の25歳でそろそろ二人目が生まれようとしていて、しかも奥さんはいま22歳。この部屋にいたボス的人物は、ぼくらと同じ歳なのに、衝撃の結婚11年目!子どもも二人のまさにベテラン。「子どもは早い方がいい」、キルギスのことわざにありそうなぐらいよく言われます。

財布はなくなったし、盗難届けはもらえないしと、なかなか流れはよくならないものの、警察で適当ながらもそれなりにロシア語で会話できることを実感できたことは、多少の喜びを与えてくれました。そんなうれしいようなどうでもいいような副産物のみを手にして警察をあとにし、そのあと友人と晩飯に行きました。

しかし、お尻のポケットに財布を入れてスられたのは、完全に自分の落ち度だったなと思っています。これまで4年半、ずーーっとお尻のポケットに入れながら一度もスられなかったこともあり、ちょっと過信し、甘く考えていました。よく人に、お尻に入れるのは危ないよって注意されつつも、お尻から財布がなくなったら絶対に気づくという自信があったので、大丈夫だよ~、と聞き流しながらこれまで来てしまいました。素子からも、数日前にそんなことを言われていたような覚えがあります……。で、今回、一応、スられた直後に気づき、犯人はあきらかにぼくのすぐ後ろにいたはずなのに、どうすることもできなず、自分がアマちゃんだったなと反省されられました。

でも、思い出してこんなのを書いてるうちに、悔しくなったきた~~!
あのときもうちょっと頭をフル回転させられたら取り戻せたかもしれないと思うと、実に悔しいです。人間痛い目にあわないとなかなか実感できないものですね。

素子がインドネシアで現金とカメラを盗まれてから3年半、去年の12月、ぼくが北京で一瞬のうちに上海行きの列車の切符をスられてから一年。ぼくらの旅もまた新たな歴史を刻むことになりました。

キルギスもあと4,5日。そろそろまた旅モードに戻ります。

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(極寒の中で、露店を出してる人はたくさんいます。この写真見てたらなんだか、「おい若造、これからは気をつけろよ!後ろのポケットはイケネーよ」といわれてる気分になりました)


Posted by ykon at December 22, 2007 6:41 PM | トラックバック
コメント

海外流浪4年目にしては軽率だったな。スられているのを気づきさえすればいいってもんじゃないよ。うちの実家の近所の市場では、人の財布をすっておきながら、気づかれると「騒ぐな!殺すぞ!」と脅す強盗まがいのスリも結構居たよ。

Posted by: ヤンファン at December 23, 2007 2:25 AM

大変な目に遭いましたね。
財布はジーンズみたいなズボンの
後ろポケットに入れちゃダメですよ。
やはり首からしっかりとかけておく
おばちゃんスタイルがいいんではないかな。

命あっての物種

次はいいことがあるさ。

Posted by: いしづか at December 23, 2007 8:58 AM

いやあそれはほんとに災難だったね。。。

しかし立ち直りが早くてさすがに逞しいね。おれだったら少なくとも数日はブルーになってやる気をなくしそうだ。。

まあ相対的にはたかが財布だし、ケガしたわけじゃないし、元気だせ~。とは言うものの、おれが当人だったら割り切れない気がするけどね・・・(笑)。

Posted by: naoki at December 23, 2007 3:54 PM

「マルシュルートカの中は注意!」
と近藤さんに忠告させていただいた一人です(笑)。

僕も、「スられても追いかけて捕まえればいいんじゃ?」
って思ってました。
でもそうじゃないんですよね。
スられたのに気づいても、
人込みのせいで誰が犯人なのか特定できないという…。

その悔しさ、よく分かります。

Posted by: egchi at December 24, 2007 7:18 PM

お財布、悔しいですね。
後から悔しさがふつふつっていうの、わかります。
でも、小さな事件で「気を引き締めなさい」って注意をもらえたのかもね?
とにかく命が無事でよかった。

写真から寒さが伝わってきます。
東京も最高気温9℃とか寒くなってきたけれど、そんなの比じゃないですね(^^;)
それに、朝8時前の写真、東京の夕方5時頃と同じ暗さ!

私は今日会社がお休みなので、年賀状を作ってます。
今年はまだ年末って気分じゃないんだけど。なんでかなぁ?

それでは、これからもよい旅を!

Posted by: Rika2 at December 25, 2007 2:26 PM

>ヤンファン

確かに軽率だったよ……。4年もの間にあまりに旅生活に慣れすぎてしまって緊張感がなくなりすぎたためな気がする。この辺でまた緊張感を取り戻さないとなって思うよ。って、去年北京で一瞬の間にチケットをスラれたときにも同じこと思ったんだけど、全然学習できてなかったよ(笑)。四川人、こえーな。でも中国って総じてほんとに治安いいし、旅も生活もしやすかったなあ、って改めて感じます。

>いしづか先生

首から吊るすスタイルは3年前にやめてしまい、それいらいずっとポケットでしたが、これは考え直さないといけないなって思ってます。しばらくは財布自体がないので、心配が減りましたが(笑)。今後は、安全重視のスタイルに戻します!ここで、不運を捨て去って、今後のいいことに期待します~(笑)。

あ、そうそう、いまの宿につくばの学生がいて、彼に先生のことを話したら、知ってました!国語系で面白い授業はないかって友達に聞いたら、先生の授業を紹介されたそうです!彼は受講してないみたいでしたが、やっぱり先生の授業はいまも面白いんですね!

>naokiさん

いや、ほんと災難だった。。。ま、おれ自身反省すべき要素は多いんだけどね。とりあえずその場ではすぐに切り替えついたけど、翌日かなり悔しくなってきたよ。で、なんか仕返ししてやりたいなあ~とか無理なことを考え出して、そんなことをいま宿にいるアメリカ人に話したら、フェイクの財布で、スろうと思ってさわったら手が挟まるやつをポケットに忍ばせとけばっていわれ、ほんとにそれやりたくなってきたよ(笑)。アメリカそんなの売ってるの?

しかし、前日もっと豪遊しとけばよかった、っていう無意味な悔しさはいつまでも消えないねー。

>egchiさん

マジでやられちゃったよーー!!
うおおー豪遊しとけばよかった!!

いろんな人に気をつけろって言われた中で一番すぐに思い出したのは、チュイ交差点でマルシュ待ちながらegchiさんに言われたシーンでした。「うわ、江口さんが言ったとおりだった!!」って。しかも、つい最近も、宿にいたドイツ人・スロバキア人カップルがカメラをやられた~って嘆いてたところだったのに。貴重なアドバイス、全く活かせず申し訳ないです~(笑)。でも、スられても気づけばOK!っていう甘い考えが全く通用しないことを知ったのは今回の収穫でしたよ。これからはフェイク財布をポケットに忍ばせて、スリを懲らしめてやりたいとマジで思ってたり(笑)。悔しいね、実に。

>Rika2さん

確かに、大した被害ではなかったので、これを機に気を引き締められれば、スリにあった甲斐もあったのかもって、前向きに考えてるよ(笑)。

日中がマイナス何度なんて世界耐えられない!って思ってたけど、人間慣れるもんだなって感じてます。むしろ日本より厚着してるから、寒くてつらいってことはあまりないかも。東京で最高気温9度って方が、なんか寒そうなイメージあるかもー?

年賀状、大変かもだけど、がんばってね~。
では、元気で!
そういえば、おれもGoogle Earth好きでよく見てるよ~。

Posted by: ゆうき at December 25, 2007 3:54 PM

おやおや
ロシアまで私は恥を輸出しているわけですね~。

Posted by: いしづか at December 26, 2007 4:13 PM

>いしづか先生

ますます輸出範囲の広がる面白い授業を期待してます!

Posted by: ゆうき at December 27, 2007 7:31 PM

Taihen deshitane !
10 gatsu no Bishkek deno JP-tourist no hanashi.
Yahari marshu de saifu wo surare,hutari orita node issyoni ori,miccyaku siteta houwo tsukamae shintai-kensa shitakedo mitsukarazu,akirame kaihou shita totan ni dash de betsu no marshu ni notte itta soudesu. Saifu ha marshu nai de sude ni mouhitori ni tewatashita no desyou.
Boku mo higai-keiken ooi desuga,sono tokiha dame-moto demo keisatsu niha ikubeki desuyone.
Konkai tabi-saki de ogorarete bakari nanode,saikai shita akatsuki niha 4-man-en ogorimasu.

Posted by: USHIYAMA at December 29, 2007 2:44 PM

>USHIYAMAさん

その日本人のケース、ぼくの場合とかなり似てますね!ぼくも多分、身体検査した男の手前を何気なく静かに歩いていったやつが持っていたんだと思います……。うーーん、その後ろ姿を思い出すと悔しい!でもあの場で、どちらを追うかの判断ってのはなかなか難しいですね~。ダッシュされて逃したらさらに悔しそう~。

牛山さんの方が被害総額は大きいと思うので、ぼくらがおごりますよ~(笑)。

Posted by: ゆうき・もとこ at January 4, 2008 9:28 PM
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