August 16, 2007

国境でのまさかの大足止めの2日間<ULAANBAATAR, MONGOLIA>

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(昨日と同じ地図ですが、一応再掲)

今日は、ウランバートル2日目。ロシアの影響が建築物などにかなり見られる感じで、こじんまりとしながらも、なかなか雰囲気のあるいい街並です。人々も上海に比べておしゃれなイメージ。快適そうなカフェも多いし、しばらくのんびりしてもいいかも?と思わせてくれます。

さて、このウランバートルに着くまでーー。

<12日>

この日、国境の中国側の町・二連浩特を発つときは、「1時間ぐらいでさっさと国境を越えて、モンゴルに入ったらすぐにバスか列車か飛行機か何かを探して、さっとゴビ砂漠まで行こう。で、ゴビ砂漠から車でウランバートルまで北上だ」なんてのんきなことを考えていました。が、国境を越えたら、そんなことが全く不可能なことが分かりました。

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(国境まで来て、歩いて渡れないこと判明)

まず、午前10時すぎに国境に着き、北朝鮮の要領で歩いて渡ろうとしたら車でないとダメだと言われ、軽く足止め。そこで乗せてくれる車を探すも、よくみると、どの車も猛烈に人と荷物が押し込まれていました。みな、同様に車を探して国境を越えているわけです。1時間ぐらい車が見つからなかった挙句、やっと大型バスに乗せてもらって国境越え。そこまではそれなりにスムーズ。

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(中国側で国境越えを待つ車の列。どれも人と荷物がすし詰め状態)

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(バスに乗って国境のゲートを越える。バスを一度下りて、ここで中国の出国審査)

国境で一緒になったポーランド人、オーストラリア人、日本人とぼくらとあわせて5人でモンゴル入りを果たしたときはすでに2時。ポ人とオージーは問題なくウランバートル行きのチケットを手に入れたものの、ぼくらはバスでの移動を考えていたためうろうろしてみたものの、バスなどないらしいことがわかり、またそこらへんの車に途中の町まで乗せてもらうことを頼んでも、高すぎて無理。で、じゃあ、列車で行くか、と思って遅ればせながら列車のチケットを買いに行ったら、なんと売り切れ。明日の朝7時に売り出すのでそこに並べといわれてしまいました。一泊するしかないことが判明......。

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(モンゴル側、ザミーン・ウドの駅。写真の二人、ポーランド人とオージーはこのまま列車でウランバートルへ......)

全くなにもなさげな町でちょっと離れるとまるで砂漠のようだったし、当然のことながら全く言葉は通じないし、文字も読めず、しかも疲労困憊で、いやあこれは参ったなと、かなりがっくりきたものの、もうどうしようもないので宿探しを始めるも、なぜかどこもいっぱいで部屋がない......。これはもしかするとモンゴル初日から野宿か??というところまで来ましたが、ま、そこは最終的にはなんとかなるもので、うろうろを続けたら、駅から7キロ離れたところにツーリストキャンプなるものがあることが分かり、そこのゲル(モンゴル式のテントのような住居)でなら泊まれるとのことで、車でそこへ。

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(正面のグレーのバンでキャンプへ向かう。駅からちょっと離れるとすぐに砂だらけの世界。そしてまたすぐに草原が広がる)

駅からちょっと離れたらほんとに砂だらけで、町といっても、砂の中に現地の人たちが住むゲルがたくさんという風景。しかもさらに離れると今度はもうずーーーと草原。そして草原の中に突然現れたツーリストゲル地帯でぼくらはモンゴル初日の夜をむかえることに。水も満足にない場所でしたが、夕日はきれいで、とても広大なモンゴルらしい風景が楽しめたので、明日チケットが取れるのであれば、ま、こういう展開も悪くないなと......。もうそのときには、ゴビ砂漠を経てウランバートルへ、などという軽い気持ちはなくなり、とにかく、ウランバートルまで一気に行ってしまおう!と決めていました。そして明日7時前に駅に行くべく、早々と寝ましたーー。

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(ツーリストキャンプのゲル。モンゴル初日からゲルになるとは予想外)

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(ぼくらが泊まったゲルの中。ツーリスト用になっているのかもしれませんが、雰囲気はチベットのテントと似た感じ。中にベッド三つ)

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(夕日もなかなか)

<13日>

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(早朝、チケットを求めて駅に並ぶ。朝7時前)

ゲルの中でいろんな虫にさされながらも(なぜかゆうきのみ。いまも苦しんでます^^;)、朝5時半に起き、前日からいろいろと助けてくれた英語を話す親切なモンゴル人が付いてきてくれるとのことで、一緒に6時半に宿を発ち、駅へ。着くとすでに行列が出来ていたものの、特に何も心配せずに列に並び、チケット売り場へ。建物の中に入ると、みなとにかく前へ行きたがるため、列が乱れ、すると驚いたことに、スタンガンを持った警官が、「バリバリッ、バリバリッ」とそれで威嚇し、叫びながら列からはみ出ようとする連中を注意。口論も絶えず騒然とした雰囲気に、「モンゴル人、ワイルドだなー」と思ったり「将棋倒しになったらマジでやばいな」と考えたり。でも、今日チケットが手に入ることを疑っていないので、基本的にはそんな様子を楽しんで見ているわけです。

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(チケット売り場ビル内。下から上に向かって並ぶ。この階段の途中で抜かそうとする人に警官がスタンガンで威嚇し、騒然とした雰囲気に)

だんだん列が進んで、カウンターが近づくにつれて、一緒に来てくれたモンゴル人が、「いま放送で、『○○行きのチケットは売り切れた』って」などと不吉な情報を随時教えてくれるように。そして、だんだん雑然としてきて、最後は列も何もなくなり、完全に中国的われ先に状態になったとき「ウランバートル行きもすべて終わったって......」と彼。明日また買いにこなきゃならないことに。......全く予想だにしてない展開に、かなりショック。仕方ないので、もしかしたらあるかもしれない、という淡い噂があるウランバートル行きのバスを探すため、そのモンゴル人に手伝ってもらいバス停に行くと、バスは一台もおらず、地面はやはり砂漠のよう。こりゃだめだとあきらめました。

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(ほとんどのチケットが売り切れ、最後に窓口に人が群がっている様子。こうなっちゃうとぼくらはもうどうすることもできず......)

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(モンゴル人はなぜかこんな芋虫競争のようにつめて並んでいた。まるで少しでも窓口に近づけば順番が早く回ってくるだろうと願っているかのように。または、割り込み防止かも?)

じゃ、もう一泊か!?でも、もう一泊してみたところで何も進展はしてないのです。このまま無限ループに入ってしまうのではないか......。先には進めないし、中国に戻ることもできない、完全にアリ地獄にはまってしまったような気分でした。しかもそのときはまだ午前11時ごろ。今日もまだ丸一日ある!

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(チケットが取れなかったあと、わずかな望みをたくしてバスを探しに行くも、なんとバス停はこのありさま。バスの姿なし!素子と話しているのがずっとぼくらを助けてくれたモンゴル人のブルネ。奥はもう一人の日本人旅行者)

駅で二人で呆然としながら、日陰で座っていると、西洋人の女の子たちに助けを求められました。聞くと、彼女たち(3人)はウランバートルから来たものの、中国へ国境を越える前にこの駅でちょっと列車を下りてトイレに行き、戻ろうとしたら、なぜか列車に乗車を拒否され、列車がそのまま行ってしまったのだとのこと。そして列車の中には他の友達が。

彼女が「3時間後に中国側の町から北京行きのバスに乗ることになっているのに、どうすればいいの??」と泣き出してしまったので、まあまあまあと、手助けをすることに。自分たちは中国語が話せるから何かできることがあるかもしれないと、一緒に必要な情報を聞き出し、彼女たちを中国側まで乗せてくれる車を探して、心配そうに国境へ向かう彼女たちを見送りました。ああ、彼女たちは自分たちよりも大変だな、と正直ちょっと気持ちが和らいでしまいましたが(笑)、それもいかがなものかという気がしますね......。

そんなこんなでこの日も過ぎつつあったのですが、最後に思いがけなく日本語を話すモンゴル人夫婦が登場。彼らが親身になってぼくらを助けてくれ、最終的には彼らの助けで駅長さんへじきじき直訴状(?)を出して、明日はぜーーーったいにチケットが取れるように取り計らってもらえるようにお願いしました。それを終えてちょっとほっとし、また夜はツーリストキャンプのゲルへ。

疲労がすごかったし、シャワーも有料なのでやめて、体を拭いて早々(9時ごろ)に就寝。が、素子が3時ごろお腹の不調を訴えたため、真っ暗闇の中、草原の離れた場所にあるトイレへ。ぼくも一緒にそこまでついていき、素子はなんとかましに。でももし体調が回復しなかったら、明日チケットが取れたとしても出発できないかもしれず、そしたらもうモンゴルはあきらめて中国へ戻ってゆっくり休もうかとも思ったり。しかし、その夜みた星空はかなりきれいでした。満天の星の中に天の川がきれいに見え、とても低い位置にあった北斗七星とオリオン座が印象的でした。流れ星も5分足らずの間に5つほど見え、そのうち一つは「シューッ!」と音が聞こえそうなほど、太く長くきれいな残像(?)を残し、感激しました。

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<14日>

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(今日こそは!と意気込む2度目の朝)

さて、朝のチケット取りのリベンジ戦開始。素子は体調回復を目指して休養する中、ぼくがまた6時半に宿を出て駅へ。一応予約してあり、8時にくればいいといわれたものの、決して安心はできず、早めに駅へ。昨日と同じように並び、なんとか昨日ぼくらの交渉の仲介をしてくれた女性職員のもとへたどり着くと、パスポートとお金を受け取ってくれて「下で待ってなさい」と。同じ状況に見舞われていたもう1人の日本人とともに、言われたとおりに、下で待ち、たまに様子を見に行き、あれこれ心配しつつも、2時間ほど待たされた後に、ついにチケットを取得!感激はひとしお、手元にあったクッキーで祝いました。キャンプに戻ると素子は体調をだいぶ回復させていたので、昼ごろにキャンプを出て、あとは駅で17:50までのんびりと出発待ち。

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(これが念願のチケット!)

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(発車前の列車。左に見える建物が駅舎)

でもちょっとびっくりだったのは、その日国境を越えてきたばかりの西洋人数人が、なんとその日中にちゃんとチケットをゲットして同じ列車に乗っていたこと!え?なんで!?って気分でした。結局ぼくらは非常に運が悪かっただけで、普通は何事もなくその場でチケットを取れるのかもしれません(>ナガオさん そうですか?)。

ま、いずれにしても、ぼくらにとってザミーン・ウドは、抜け出すことのできないアリ地獄のような町でした。

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ザミーン・ウドでいろいろと助けてくれた英語のうまいモンゴル人は、ウランバートルの食品会社の輸入業務担当の人物だったのですが、かれによると、モンゴルの大きな問題の一つは、輸入した商品を国境から都市まで運ぶ交通手段が不足していることで、ときに、モンゴルへと国境を越えてから中央まで移動する手段を確保するのに、2,3年かかることもあるとか(聞き間違えかも?)!いずれにしても自分たちが国境で身動きできなくなったのも、そんな状況と似ているような気もしたし、また、朝から長い列に並んで、数少ないチケットを争奪するというのは、ソ連が崩壊したあとのロシアの物資不足の状況についてテレビで見た映像とだぶりました。というわけで、これも一つの貴重なモンゴル体験だったように思います。モンゴルには強いロシアの影を感じます。

さて、かなり長くなってしまいましたが、ウランバートルまでの列車の旅は、窓が壊れて閉まらないコンパートメントで砂嵐に襲われ、砂まみれになりながらの16時間。ハードなことも多いですが、でもモンゴルって感じで充実してます。

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(列車からの風景はずっとこんな。頻繁にゲルや動物が見える)

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(たまたま同じ部屋になった日本語を話すモンゴル人ガイドの女性と。この部屋が夜砂まみれ。口の中にも砂......)

ここで、ロシアのビザも取れるかもしれないらしく(宿の主人によれば、ウランバートルでは、ちょっと高いけど金さえ払えば面倒な書類は何もいらない!とのこと。ちゃんと確かめないと分かりませんが)、取れれば、北へ向かってロシアへ抜けます。またその前に、モンゴルの奥地へと足を運ぼうとも考えています。

ウランバートルの写真はまた次回!


Posted by ykon at August 16, 2007 5:51 PM
コメント

こんばんは。
なんか今回の旅は感動的な写真多いですね。
夕日と馬、夕日ともっちゃん。見入りました。
もちろん近ちゃんと夕日も・・・。
私もモンゴル紀行に憧れました。ですがタイタイは「過酷だよ」って言ってます。
まあもっちゃんの腹痛は私であれば即入院でしょうけど・・。
また感動的な写真期待してます。
お二人ともにお気をつけて!

Posted by: いちろう at August 16, 2007 11:08 PM

ドキドキしながら一気に読みました。
はー良かった!
素子さん体調大丈夫ですか??
しかし、切符大変ですねー。
ハプニングもあとで思うと
いい思い出かな?

Posted by: Chie at August 17, 2007 8:53 AM

おつかれさまでした~(^_^;)
実は私が行ったときはモンゴル人の友人と一緒だったので、チケットの手配もみんなおまかせだったのです・・・・・でもチケットでそこまで並んだという話は聞かなかったですね。朝国境を越えて、10時頃グループの数人がチケット取りに行って残りは荷物番(←私も)、列車は午後2時発くらいじゃなかったかな?チケット取った後は待合室でのんびりしてました。人もそんなに大勢はいなかったように思うので、混んでない時期だったのかも(でも7月だったけど・・・・)。

Posted by: n y at August 17, 2007 11:29 AM

>いちろうさん

写真、そういっていただけるとうれしいです。やはり広角効果ですかね。シグマの10-20mm大活躍です。確かにモンゴルの旅は結構過酷な気もします。でもウランバートルは居心地いいですよー。って、ここでダラダラしてたらモンゴルにいる感じが全然しないのでまずいですが。
もっちゃんのお腹は回復しました!ありがとう。とりあえずこれから二人とも気をつけますね。

>ちえちゃん

ちょっと文章長くてつかれさせたかも……。もっちゃんのお腹は無事回復したよ。ありがとう。モンゴルは食べ物の選択肢がかなり少ない気がするので、なかなか野菜も満足に食べられないけど、病気しないように気をつけるね。ハプニングは、確かにいい思い出になるよね。

>nyさん

そうでしたかー。ぼくらもこんな苦戦したって話は他に聞いたことないので、とてもとても運が悪かっただけなのかもしれませんね。列車午後2時ごろ発だとすると、自分たちのとは違う列車ですね。曜日によっていろいろあるみたいですね。

Posted by: ゆうき・もとこ at August 17, 2007 1:43 PM
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