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on FEBRUARY 4, 2006
@ Centre Pompidou, Paris
William Klein
Best from 東京
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William Kleinのサイン会にのこのこと行ってきました。いまポンピドゥでは彼の回顧展が開催中です。サイン会というのは微妙なもので、 こちらにとっては憧れの人なのだけれど、あっちにとっては営業だし。こっちはただの一ファンにすぎないくせに、もっとできた話もあったんじゃないだろうかとか。こっちのページにサインしてもらえばよかったとか。いろいろ切ない思いを抱えながら帰ってきました。デートの後の感じに少し似ています。
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ぼくの少し前の女の子は、どうやら彼の写真に子供の頃(相当に小さい頃)写っていたらしく、その写真集『PARIS』を持参して、ちょうど自分の写っている脇にサインをしてもらっていました。どうやって自分だと同定できたんだろうか。ご両親でしょうか。彼女のところでサインを待つ列が少し止まり、写真家と被写体とのあいだにしばしある種の懐かしさの雰囲気が漂いました。すべき話とは、このようなことをいうんでしょう。
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ぼくはといえば、名前は?と訊かれ、ジョー、ジェイ・オー、と答えたら、怪訝な顔をされて(アメリカではジョーは普通ジェイ・オー・イー)、アメリカ人?との質問に、日本人、と答えると、どこ住んでんの? —パリ。いやじゃなくて日本で。あ、東京です。あ、そうかいそうかい。みたいな感じで、最後にBest from 東京を加えてくれたのでした。どうだい、と言った感じで写真集を渡してくれた彼の笑顔が得意気でした。そう、ぼくがこっちにサインしてもらったほうがいいかなあ、と思っていたのは、カタログの中の彼の昔の写真集『東京』の扉ページだったのです。狭苦しいごちゃごちゃした目次のページよりも、やっぱりこっちにしてもらうべきだった!と後悔したことは言うまでもありません。でも、とても、うれしいです。
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これでぼくがサインをもらった人物は7人目です。サイン会に行く前は、どうせサインもらたってなあ、とかひねたことを思っていましたが、素直にもらいにいってよかったです。やはり、うれしい。有名人だからといってはしたなくはしゃぐのは好むところではありませんが、もしそれが憧れならばやっぱりアプローチするべきですね。いろいろ理由をつけはじめると、理由はいくらでもみつかってしまいます。それくらいには自分の気持ちに自信をもってもいいのでは、と思いました。