朝起きたら、窓の外が真っ白だった。
子供のころも、初雪はいつも寝ている間に降るものだった。
故里のいまの子供たちには不思議だろうが、
僕の子供のころは、
越の山里にある我らの村にも、
冬になると、大雪が降っていたものだった。
雪ダルマを作るのが好きだった。
大きいものは2メートルぐらいの高さがあった。
小さいうちは子供数人で転ばしていたが、
1メートル以上になると、
さすがに重たくて、子供の手には負えなかった。
そうすると、村の若者がやってきて、僕らと一緒に転ばした。
雪ダルマは、春にならないと、融けなかった。
が、いまの江南の冬は、雨しか降らない。
心地よい雪の音は、なにかと一緒に
そのむかしに消え去っていた。