February 13, 2003

MS対ライバル、欧州でさらなる火種

ZDNN 2003年2月12日 11:04 AM 更新

OracleやSunなどの大手企業も名を連ねる業界団体が、Windows XPのバンドル戦略について欧州委員会に苦情を提出。欧州ではMicrosoftに対しいくつか調査が行われているが、もっと総体的な調査と将来を視野に入れた是正措置を求めている(ロイター)

 大手ソフトメーカー、通信会社、電子機器メーカーで構成される団体が2月11日、Microsoftの最新版OS「Windows XP」が競争を阻害しているとして欧州委員会に提訴した。

 訴えを起こしたのは米国の業界団体Computer & Communications Industry Association(CCIA)。折しも欧州委員会では、Microsoftが旧バージョンのWindowsで違法行為を行ったかどうかについて、Mario Monti競争委員らが判断を下す日が近づいているところ。

 Reutersが同日早朝入手した260ページにわたるCCIAの訴状には、欧州委員会は、Microsoftのやり方を断片的に調べるのではなく、独占を維持するため組織的に計画された戦略として総体的に調査すべきだと書かれている。

 しかしMicrosoftのBill Gates会長は米国の独禁法訴訟で、競合他社が市場で失敗したのは自業自得以外の何者でもなく、これらライバルは裁判所を利用して不正に利得を得ようとしていると主張していた。

 CCIAは消費者のために戦うとして、次のように述べている。「Microsoftの圧倒的な独占支配とその独占力の乱用は、欧州の隅々にまで及んでおり、実質的にコンピュータを使うすべての企業と消費者に害を及ぼしている」。

 Microsoftのスポークスマン、Jim Desler氏は、CCIAの訴えについて、「こうした申し立ては以前からあったものだ。それを、皮肉にも(独占禁止問題調査)のプロセスに影響を及ぼそうとしている団体が焼き直している」と表している。


大手が顔を並べるCCIA

 CCIAには世界最大級のハイテク企業がいくつか名を連ねている。ソフトメーカーのOracle、コンピュータメーカーのSun Microsystems、Webメディア企業のAOL Time WarnerとYahoo!、携帯電話メーカーのNokia、イメージング企業Eastman Kodak、電子機器メーカーの富士通などが、同団体に加盟している。

 CCIAのプレジデント、Ed Black氏は、「欧州委員会にはこの件に関して深い知識のある担当官がいるが、かたや米国では、そうした知識を持った人たちが司法省を去ってしまった」という理由で、欧州委員会に苦情を持ち込んだとしている。

 欧州委員会はこの新たな申し立てを検討する意向だが、既存のMicrosoftの独禁法違反の調査と併せて調べることはないと同委員会の広報官は話している。CCIAは、Microsoftが最新版のWindowsにいくつものプログラムを抱き合わせたと主張している。米国の裁判所では、Microsoftがブラウザ市場のライバルであるNetscapeをつぶし、またWindowsを守るために独占力を不正に行使したとの判決が下されている(2001年6月の記事参照)。

 CCIAは、Netscapeの例は(Microsoftに対する)効果的な是正措置を生み出す代わりに、Microsoftと競おうとしている企業に「Windowsにバンドルされた製品と競合してはいけない」という教訓を残したと主張する。

 「Microsoftの抱き合わせ作戦によって、代替製品は締め出されている」と訴状には記されている。(Windowsに)バンドルされているすべての製品が、競争相手になり得る製品を排除しているとCCIAは言う。

 Windows XPにはブラウザのInternet Explorer(IE)とMSN Explorer、オーディオ/ビデオ再生ソフトのWindows Media Player、インスタントメッセージング(IM)ソフトのWindows Messenger、電子メールクライアントOutlook Express、ビデオ編集ソフトのWindows Movie MakerがバンドルされているとCCIA。


新たな競争を求める

 CCIAは、新たな競争が生まれるよう、MicrosoftがWindowsからバンドル製品を切り離すことを望んでいる。「今でもまだこれらの市場を救済することは可能だ。これら市場は大きな危険にさらされている」とCCIAの弁護士Tom Vinje氏は言う。

 Vinje氏は、バンドルされたMicrosoft製品は安くはないとしている。「消費者はこれら製品の代金を支払っている。Officeの価格を見てみるといい」と同氏。同氏は、ほかのハード/ソフトの価格はここ10年で大幅に下がっているのに、Microsoftの独占価格はいまだに高いと指摘する。

 米司法省の独禁法訴訟で、州の検事総長がこれと同様にバンドル禁止を提案した際、Gates氏は、そんなことをすればWindowsの開発を10年「遅らせる」ことになると反論した。

 結局、米連邦地裁のColleen Kollar-Kotelly判事は、州の検事総長によるバンドル禁止の提案は、当初の訴訟の範囲を超えているとの判断を下した。

 CCIAが訴えを起こした狙いは、Microsoftが新しいソフトでも同じ戦術を繰り返すのを防ぐ、将来を視野に入れた是正措置を求めることにある。

 欧州連合(EU)法の下では、独占的な地位にある企業は市場での大きなアドバンテージに対する埋め合わせとして特別な義務を負い、競争の維持を図るよう規定されている。

 だがCCIAは、(Microsoftの)独禁法違反によって、Linuxがコンピュータデスクトップで足がかりを築くことが妨げられていると主張する。またApple Computerの世界シェアが5%を切ったのもそのためだと、同団体は述べている。

 Gates氏をはじめとするMicrosoft幹部は、同社がWindowsの独占力を利用してLinuxやRealNetworksといったライバルを邪魔したという主張は事実ではないとしている。

 MicrosoftのDesler氏は次のように語る。「(CCIAは)苦情や訴訟に力を入れずに、他社と前向きに協力すればいいのに。当社は欧州委員会と協力していくことを心待ちにしている」。


消費者とライバルに損害

 CCIAは、Microsoftは独占市場を増やしており、同社が高い価格で製品を売り、選択肢を与えず、革新をもたらさないことで、消費者が打撃を受けていると申し立てている。同社は.NETプログラムによりWebに対してあまりにも多大な制御力を得ることになる、とも。

 CCIAは是正措置として、Microsoftにコンピュータメーカーとのライセンス条件を公表させることを求めている。同社はそうした機密情報を公表すれば、損害を被ると主張している。

 CCIAの新たな苦情を受けた欧州委員会のMonti競争委員らは、これまでのMicrosoftに対する独禁法違反の申し立てについて、結論を出そうとしているところだ。

 そうした申し立ての1つとして、EU規制当局は、MicrosoftがMedia PlayerをWindowsにバンドルしたことで、RealNetworksやAppleのQuickTimeといったライバルが不公正な形で打撃を受けたと主張している(2001年8月の記事参照)。

 また欧州委員会は、MicrosoftはWindowsが他社よりも自社のサーバ製品とうまく連携するよう設計して、Linuxや各種UNIXといった競合製品にダメージを与えたとしている (3月13日の記事参照)。

Posted by sunouchi at 11:53 AM

児童の出会い系サイト利用、パソコンからも規制対象に

(2003/2/6)[Reported by aoki-m@impress.co.jp]

■URL http://www.npa.go.jp/

警察庁少年課少年有害環境対策研究会は6日、「『出会い系サイト』に係る児童の犯罪被害防止に向けた対策についての提言」を発表した。出会い系サイトを利用した児童買春などの事件が急増する状況を受けてまとめたもので、国会への法律案提出を行なう方向だ。

 警察庁が6日行なった発表によると、出会い系サイトに関係した事件の検挙数は、平成14年の1年で1,731件。平成13年の888件に比べ2倍近くの数となった。なかでも多いのが“児童買春・児童ポルノ法違反”で813件(平成13年は387件、以下同)、次いで“青少年保護育成条例違反”が435件(221件)で、両者で全体の7割以上を占めている。また全事件のうち携帯電話を利用したものが1,672件(714件)と圧倒的に多いほか、事件の被害者1,517人のうち18歳未満の児童が1,273人と、8割以上に達している。

 警察庁少年課では出会い系サイトに関連した事件が急増していることから、2002年10月に「少年有害環境対策研究会」を設置し、状況分析や対策検討などを行なってきた。2002年12月26日には、出会い系サイトの法的規制に関する中間検討案を発表。「買春などの犯罪行為を勧誘した側の児童も罰則の対象とすべき」との内容を盛り込み、これについての意見募集を行なった。その結果、応募者の8割が規制に賛成か、もっと強い規制を求めるなど、中間検討案に肯定的だったという。また警察庁が別途一般市民約3,300人に行なったアンケートでは、約8割が出会い系サイト上での不正勧誘行為を禁止することに賛成と回答。「児童の出会い系サイトアクセスを禁止すべき」という回答も、6割に達する結果となった。

 こうした状況から少年有害環境対策研究会では、出会い系サイトに関する規制として、以下の3つの対策を進めることが適当であるとした。

(1)利用者に対して、児童の性交などの伴なう交際の勧誘行為等を禁止
(2)運営者に対して、児童による出会い系サイト利用防止の措置をとらせる
(3)児童の保護者等に対する指導等の責務を明確化する
 このうち(1)では、児童との性交渉を伴なう交際の勧誘、および金銭授受を伴なう交際の勧誘、すなわち“不正勧誘行為”を禁止。禁止行為には罰則を課すことを適当としている。罰則については、児童もその対象に含むべきとした。児童を処罰対象とすることについては、「現行法に矛盾する」「児童への処罰は大人側の責任を転嫁または軽減することにつながる」といった批判も出ているが、「女子児童からの勧誘が事件のきっかけとなっているものが大半を占める状況があり、児童が積極的に行なっているものである以上、不正勧誘行為については何人についても禁止し、罰則も何人にも設けておくことが必要である」としている。

 (2)では、利用者の年齢を入力させる、18歳未満の者は利用できない旨を表示するといった措置を義務付ける。また中間検討案発表時点では、携帯電話からの出会い系サイト利用への規制を想定していたが、パソコンからも規制すべきとの意見が多いことから、パソコンからの利用も規制対象に加えている。さらに(3)については、保護者や学校、国・地方公共団体に加え、携帯電話会社やISPなども出会い系サイトによる犯罪防止措置の実施の責務があることを明確化すべきとしている。

 その一方で、出会い系サイトの捉え方について、「面識のない異性との交際を希望するものに関する情報を公衆が閲覧できる状態にしておくもの」、「面識のない異性との交際を希望する者にあてた他の希望者からの通信文等を伝達したり、これら通信文等の送達に必要な電子メールアドレスを他の希望者に知らせるもの」といった要件を満たしているものとし、単に趣味仲間や友達を探すサイトや、メールアドレスを知らせる機能を持っていない掲示板などは、規制の対象として含むべきではないとしている。

 警察庁ではこの提言をもとに、出会い系サイトに係る児童犯罪被害防止のための法律案を策定し、2月下旬をめどに国会に提出する方向だ。

Posted by sunouchi at 11:45 AM

文化庁、著作物の利用許可範囲を示す

(2003/2/10)[Reported by aoki-m@impress.co.jp]

■URL http://www.bunka.go.jp/jiyuriyo/

文化庁は、写真や文章などの著作物を、一定の条件を満たせば著作者に連絡をとらずに使用できることを表す「自由利用マーク」を公開した。同庁のWebサイトからダウンロードして利用できる。

 これは写真やイラスト、文章といった著作物について、それを作った人(著作者)が、自分の著作物を他人に自由に使ってもらっていいと考えている場合、その意思を表示するマークとなる。文化庁では1月24日にこのマークを制定していたが、このたびサイトからマークの配布を開始したことで、広く一般に使えるようになった。著作物はホームページで公開しているものを主体としているが、有形物(実際の作品など)に付けるのも構わないという。

 マークは利用範囲や目的によって3種に分かれている。まず「プリントアウト・コピー・無料配布」OKマークでは、あらゆる目的を対象として、著作物の印刷、コピー、無料配布を認めるもの。企業がパンフレットなどに使う場合も、無料で配布するものなら利用できる。ただし、インターネットでの送信や放送、また変更や改変、部分利用などは認められていない。

 他の2点は、目的は定めているが、利用方法は問わない、というもの。まず「障害者のための非営利目的利用」OKマークでは、障害者の利用を目的とする場合に限り、あらゆる非営利目的利用を認めている。利用には変更、改変、加工なども含まれ、また障害者が使う目的であれば、コピーや配布を行なう者は、障害者でなくとも構わないという。もう1つの「学校教育のための非営利目的利用」OKマークでは、授業や部活動など学校のさまざまな活動で使うことを目的とする場合に限り、あらゆる非営利目的利用を認めている。

 文化庁では、同庁のサイトや広報活動などを通じて広く利用を呼びかけていく方向だ。ただし、「マークを付ける側、マークの付いた著作物を利用する側のどちらも、注意事項や対象範囲をよく確認した上で利用してほしい」と注意も呼びかけている。なお同庁ではマークを付けた著作物の管理などは行なわない方向だ。

Posted by sunouchi at 11:42 AM