January 28, 2004

一人相撲。

きのうの夜、一時間後に激痛に襲われる胃にキャラメルバナナケーキが投入されていた頃。

絶対知ってる顔が同じ店内に入ってきた。
その人の彼女は私と同じ県の出身で、前にここ出身の女の子は同じ香りがすると言われていて、
それは例えば自分が土産に買ってきたケーキを並べて「どれがいい?私これ」と一番に取るタイプだと
いうことで、確かに私はそうかもしれなくて、その人もそんな意志の強そうな目をしていて、
しかもとてもかわいらしい人だったので、その人とその彼女に違いないと確信した。

席を探すその人と目が合った。会釈したら思い切りシカトされた。
そんなことあり得ない程度は仲良しだと信じていたので、一瞬他人の空似かもしれないと思った。
でもほんとにそうだったら、それは私と彼の共通の知人全員と共有せずにはいられない程の酷似度であり、
もしくはこれほど同じ顔と体型を作ってしまうヒト遺伝子の無能さを嘲笑いたくなる程の酷似度であり、
要するに、双子の兄弟がいたとかいうせこいオチ以外は、空似案はあり得なかった。

彼らは私たちと対面の壁際に向かい合って座った。彼は私に背を向ける位置に座った。
私が彼の背中を凝視していると、彼はイスを90度ほど大きく回転させて座り直した。
彼女と会話しながらもこちらをチラチラと見て、で私と目が合う度にすぐ視線を逸らした。

こりゃもしかすると何かある。
彼らは至って平和に見えるけど案外、表情不変化熾烈男女バトルの最中なのかもしれない。
そこへ私が「うぃっす」なんて声をかけたら途端に彼女の目がキッッ、とかね。
だから彼はこちらを見張りつつ敬遠するかのようなあの座り方なんだ。
彼らは長居すること無く席を立ち、彼女を待つ彼が店内を見回す位置に立ってこちらを向いた時、
ああ彼女には気付かれないように挨拶するつもりだなと思って軽く手を上げてみたら
やっぱりシカトされた。

それから暫くはあの超激胃痛でそんなこと忘れていたが、痛みから解放された
会社の帰りがけにふとまた気になって、今日のあの時間あのカフェにいなかったか、
でなければ最近、記憶を失ったかメールで聞いてみた。
気まずさの欠片も無い文章で、「いたよ。キミも?」と返ってきた。

「ごめんごめん、最近目も悪いし、意識も散漫なので。話しかけてよ。」
メガネ替えろ。
であの座り方とキョロキョロは意識散漫を通り越してるで。
であの30分は全部私の一人相撲だったんやなって。
しかも仲むつまじく見える二人の間の意外な事情とか割と楽しんで考えてしまってごめんなさい。

Posted by asummer | TrackBack
●Comments:
Post a comment