寺院には目もくれず、毎日のようにチャイナ・タウンの匂いと喧騒に揉まれに行く。カオサンからそこまでのバスは、くねくねと川やビルや市場やモニュメントの間をすり抜けて行く。入り来る排気ガスで鼻を真っ黒にしながら、それらを眺めているのがとても好きだ。
今日も同じように、そのバスからの眺めを楽しんでいると、Wat Pho (ワット・ポー:46mの寝釈迦像で有名な、タイ最大の超観光寺)の外壁が、人々で埋め尽くされている。いつもの5倍くらいの屋台も立ち並び、家族連れの目立つその光景はまさにfestival。
タイの伝統芸能や伝統工芸や伝統体操(?)の実演会だった。私が一番心を奪われたのは、台形の琴のようなものを二本の竹で出来たヘラで適当にたたいているだけに見える楽器。その日の私は「宇宙を流れる川みたい」と感想を記しているが、とにかく、あまりに多重奏に聴こえるのだ。ずっと後にギリシャの街角でこの楽器に再会して驚くことになるように、世界中に広がった楽器らしい。何故日本には伝わって来なかったのか。
他にも様々な伝統工芸を見て、ただただ、その作業の細かさに恐れ入った。細かい作業は日本がダントツと信じていた認識を改めざるを得なかった。
Posted by asummer