「ne-do-shite- sugokusugo-ku sukina- koto- 」オゾマシイ声が廊下で響いている。よほど気に入ったらしい。そんな主人nashに気付かれないようにこっそり宿を出て、付近を散歩する。アジア独特の土色の川に、水上生活者の浮家が点在している。降りて行くと、家の小さな窓から押し合いつつこちらを凝視する二人の子供。近寄ってくるわけでも、何か言葉を発するわけでもなく、ただずーっと見つめ合う時間が過ぎる。根負けした私が手を振って立ち上がり、戻りしなにふと振り返ると、二人が家から出てきてこちらに手を振っていた。旅に酔ってしまう瞬間である。
夜は、nashとその友達のオッチャン2人が、マレーシアの伝統競技とかいうものに連れて行ってくれた。ちょっとお金と教養のありそうな1人が、得意気にナイフとフォークを使ってチキンチョップを食べてみせながら、「ASAMI、マレー語で'ASAM’は'soul'って意味だよ」と教えてくれる。おおおすごいじゃないかと喜んだのだが、後で調べてみると、'soul'ではなくて'sour'、酸っぱいという意味だった。・・まあいいけど。
その伝統競技というのは、中袖のカラフルな上下にチェック柄の腰布を垂らした出立ちの男2人が、最初は民族舞踊(お笑い芸人が「あちょ〜」とやっているようなヒョウキンな振り付け)、その後、お互いの肩をつかみ合って腰を直角に曲げて前かがみになり、延々と取っ組み合いをするものだ。何だかカブトムシかクワガタの争いのようで、お世辞にも激闘とは言えず、かなり単調。しかし会場は、半分以上が立ち見の大入り、大盛況である。ムスリム姿の女性たちまでもが立ち上がって腕を振り回し、大興奮している。私には試合そのものより、観客の興奮する様子の方が数倍面白かった。21:30に始まり、終わったのは01:30。長い夜だった。
スキャンしたん?
Posted by: snotch at December 3, 2002 11:32 PM