February 12, 2008

豪快なイラン人俳優宅へ!<Tabriz, Iran>


一昨日(10日)アルダビル(Ardabil)で人の家に1泊させてもらってから、昨日、イラン北西部の都市タブリーズ(Tabriz)に着きました。タブリーズからアルメニアに入る予定で、イランももうここで最後。イランを出るのがとても名残惜しいほどこの国では人との出会いに恵まれ、一昨日泊めてもらったアルダビルの一家もその一つ。

彼らとはラシュトのレストランで偶然出会って、その勢いで「うちに来なよ!」と誘われました。この家族は、39歳&25歳の夫婦と1歳の娘さん一人の三人家族。バスを乗り継いでアルダビルまで行って、電話をすると、この3人に加えて奥さんの兄(27歳)で英語を話すイマンが合流してぼくらを迎えてくれました。

39歳の旦那はロミーという超気さくなコメディアンみたいな人物なのですが、彼がなんと映画監督&俳優だとのこと。最初に会ったときから「ミー、フィルムディレクター、アクター」と言っていたものの、冗談のうまいおっさんかななんて思っていたのですが、彼が一緒にDVD屋に連れて行ってくれ、「おれの映画をプレゼントしてやる」ってことに。店が閉まっていてその場では買えなかったものの、店に貼ってあるポスターの大物っぽい役者を指差して「これ、おれ」と。微妙に顔が違う気もするので、つんつくや矢沢永作みたいなそっくりさんで売ってるコメディアンかなとか素子と話してましたが、話を聞く限り本物のようで、その後タブリーズに着いてから、そのDVDを購入して確認作業。

写真の掲載をやめました
(本人と、ポスターの中のロミー。髪型、髭、身のこなしはそれっぽいです。ノートにサインもくれて、それもまたそれっぽかった。)

動いてるところを見ると確かにロミーっぽいのですが、実に微妙で、いまいち確信ももてず。DVD屋の店員にそのDVDの表紙の顔を指差して「彼の名前はロミーか?」と聞くと、「ロミー?いや、違うよ。ロミーなんてやつは知らないね」って感じのことを言われるし......。でも、あそこまで言っていたのだから、多分本人なのだろうと思います。ちなみに、ロミー監督作品の一つの英語名は、イマンの怪しげな英語によると"Surprise Apple"とのことなので日本語であるとすれば「驚くべきリンゴ」か「驚いてるリンゴ」かなにかでしょう。もし日本で目にする機会があればお知らせください!しかもロミー、ほんとに映画界の大物なのか、「キアロスタミは友達だよ」とのこと。彼のジェスチャーによると「テヘランに行けば、泊めてもらえる仲」らしい。どうなんだろう......。

さて、そのロミー家。アルダビルのバス停まで車で迎えに来てもらい、家に着くと、ぼくらが降りる代わりに奥さんと娘さんも乗ってきて、「さあ行くぞ!」って感じなので、これから外でディナーか、と思いきや、なぜかそのまま2時間以上も車で街なかをウロウロ!1時間ぐらいした段階で、「どういう展開だよ、これ?!」と思っていると、どうもロミーは、ぼくらのためにシャンパンを振舞うべく、シャンパン入手に画策していることが分かりました。

IMG_3773.jpg
写真の掲載をやめました
(途中、こんな絨毯の美術品屋へも立ち寄る。シャンパンのための時間稼ぎの一環?でも、この絵がすべて絨毯でできているのがすごかったです!イランの特殊工芸なのかな?)

「イランでシャンパンなんて、OKなの?」と聞くと、「何言ってんだよ、OK、OK、ノープロブレム!シャンパン、ビアー、全部OK!」と、ロミーもイマンもそんなノリ。
イランでは、店にアルコールは一切売っていないので、シャンパンの入手はなかなか大変。まずは、小さな子ども洋服屋の主人に謎の電話番号を広告の裏紙にもらう(「それ、シャンパンテレフォン?」と聞くと、ロミーは「がはははー、そうそう、シャンパンテレフォンだ!」と大ウケ)。でもそこにかけるだけではだめなのか、しばらくまた町をウロウロすると、謎の売人みたいな人物が車に乗り込んできて、彼の指示でわけのわからない裏道を走り回り(なんだか同じところを走ってる気もしたけど)、途中で止まり、ロミーと売人が外に出て、ロミーが結構な大金を売人に渡すと、売人は闇の中に走っていく。すると、すーっと売人の側に謎の車が停まる......。で、戻ってきた売人の手には、一本のウィスキーが......(シャンパンではなかった)。実にアングラなやり取りで、まるで港の麻薬密売現場のようでした。「見ろ、上物だろう」と、さすが大物映画俳優、なんでもありって感じでした。

その後、晩飯ケバブ屋さんにいくと、ロミーは駐車時に車を溝に落とし、明らかに大丈夫じゃないのに、イマンが「ノープロブレム、ノープロブレム!」と、相変わらず絶好調。そんなノリのまま小さな宴会開始。さすがに外で酒を飲むのはイランではありえないと思っていたのに、「友達の店だから大丈夫!」だと、ロミーはプラスチックのコップにウィスキーをコーラのようにゴボゴボつぎだして、まずは一気飲み!「ぷはー、うめえー!」ってな具合で、もうイランのイメージ、変わる変わる!さらに、ロミー、イマンと、例のイスラム教の話を始めると、
「イスラム? そんなのもうイランにはないよ!ファック・オフ・イスラム!ですよ」とまで言ってしまうイマンのには驚きでした(笑)。彼らはこれまで会った中でも特にイスラムから遠いようでした。家族の一部はアメリカに住んでいて、イマンもNYに2年住んでたからというのも関係がありそう。イマンはアメリカ大好きっぽくて
「アイラブアメリカ!オンリーアメリカ!」を連呼。「豚肉、ベリーデリシャス!」とも。

写真の掲載をやめました
(翌朝の朝食。右がイマン。クリームミルクというペースト状になったミルクと蜂蜜を、焼きたてナンに塗ると激ウマ!この辺は、イラン北西部では、クリームミルクやらアイスクリームやらが多くて、乳製品がいけてる雰囲気)

アルコール自体久々だったのに、ロミーとともに、強いウィスキーをストレートでジュースのように飲んでしまい、ぼくらは二人とも家に帰るとすぐにダウン......。とてもイランにいるとは思えない夜でした(笑)。イランは本当に幅が広いことを彼らに教えてもらいました。

翌日、タブリーズに行く際は、バスのチケット代まで絶対に自分たちが払うからと譲らず、何から何まですべて面倒を見てもらってしまいました。ぶっちゃけたとてもいい人たちで、その親切さにはまたまた感動でした。

IMG_3800.jpg
(アルダビルからタブリーズまでの間はずっとこんな風景。寄ってみたい!と思わせる村が多数。雪景色もまただいぶ続きました。タブリーズは今日、雪でした。)

タブリーズに着くと、アルメニアはもうかなりそばです。ネット屋では店員と値段のことで軽くもめると、ロシア語らしき単語が出てくるので、「ロシア語話すの?」と聞くと、「お、あんたもロシア語はなすのか?」ってことになり、全然話せないけど、ちょっとうれしくなり、「おお、ロシア語で話そうじゃないか」って感じに。旧ソ連圏が再び近づいてきたことを実感しました。


(多分明日からアルメニア。アゼルバイジャンの飛び地や、自称の独立国家があったりとかなり国境は入り組んでいます。イランから国境を越えてすぐの小さな町Meghriから順々に北上予定。アルメニア、まだ何があるかよく分からないけど、イランとはまた大きく変わりそうで楽しみです。アルメニアの首都はイェレバン(Yerevan))

さて、明日ついにイランも終えて、アルメニアへ国境を越えます。直行バスで一気にイェレバンまで、って思っていたけど、ツーリストインフォセンターで中古のロンプラ(ガイドブック)をみつけ、アルメニア部分を読んだら、やっぱり小さな町を転々としていった方が面白いだろう、ということになり、ちょこちょこ進むことに。明日はメグリ(Meghri)に泊まる予定。モンゴルで一緒だった日本人旅行者ともに約5ヶ月ぶりに再会できそうで楽しみです!


Posted by ykon at February 12, 2008 7:44 PM | トラックバック
コメント

イランって良いでしょ?!って何回かトライしましたが、そのつどエラーで・・ドジしていました。そのうちにもうイランを出てしまいましたね。
イランでの内容は、そうそう!と懐かしいところもあれば、変わったところもあり時間の経過を感じました。
最終日のホテルのロビーの椅子にカメラを忘れた仲間がいて、30分くらいして戻ったのですが、そのままの形で置いてあったのが、流石イスラムの教え!!とびっくりでした。その日はWCのサッカー関係者たちでごったかえしていたにもかかわらず・・です。

Posted by: omoko at February 13, 2008 8:34 AM

笑えるツボ満載で、
またまたイランのイメージ
ひっくり返されました!
いいなぁ、すごいなぁ!!
ロミーほんとうにいいキャラ。

Posted by: Chie at February 13, 2008 1:45 PM

いやーいいですね、そういうパンクな人大好きです。
アゼルバイジャンかぁ・・・同学のアゼルバイジャン人に一回襲われそうになったなぁ・・・笑 小心!

Posted by: やんぴん at February 14, 2008 12:48 AM

>omokoさん

こんにちは!イラン、よかったです、ほんとうに!omokoさんがいらしたのはいつごろですか?やはり、いまはどこでも変化が早いから、数年たっただけでも結構いろいろとかわってしまうのかもしれませんね。久々に、国境を越えるとき、ああ、出国するの寂しいなあと感じました。カメラの話も、納得です。
人によってはいやな経験をして、、っていう話も聞きましたが、やはり全般的に旅をしやすい国だなあと思いました。

>ちえちゃん

イラン、よかったよ~。ほんとにおれもイメージひっくり返された感じ。とくにイランは、ニュースでおどろおどろしい話ばかり聞く国だからね。アルメニアに入ってまた雰囲気一転。でも最近民家に泊まる機会が多いせいか、ここでもいい出会いは多く、イラン後半からぐっと旅が充実してきた気がします。

>ヤンピンさん

元気~?アゼルバイジャン人に襲われそうになったって?!結局アゼルバイジャンはビザのこともあっていかないことにしたんだけど、アルメニアとアゼルバイジャンはちょー仲悪いので、アゼルバイジャンのことを話すことすら憚れるかんじっぽいです。なので、アゼルバイジャンとは今回全然縁がなさそう。。。グルジアも治安が悪かったりするらしいので、いずれにしても気をつけます笑!

Posted by: ゆうき・もとこ at February 19, 2008 6:28 PM

大分時間がたってるし、突然のコメントで失礼なんですが、この写真、映ってるイラン人にとって若干危険な気がするんですが...酒とかアメリカ大好きとか...

Posted by: to at March 14, 2010 5:59 AM

>toさん

貴重なご指摘ありがとうございます。

確かこれを書いたときは、その点については考えていたように思っていて、何か大丈夫だと判断する理由があったような気がしているのですが、いま考えてみると、その理由がちゃんと思い出せません。。。そのため、いまさらですが写真の掲載はやめます。

ご指摘、ありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。


Posted by: ゆうき at March 15, 2010 11:39 PM
コメントを投稿









名前をクッキーに保存?


画像の中に見える文字を入力してください。