October 6, 2015

『考える人』宇宙特集<Kyoto, Japan>

10月3日発売の『考える人』2015年秋号の宇宙特集に、「宇宙に染み出す地球の暮らし」という小文を寄稿しました。

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http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/mokuji.html

学部時代に専攻して以来、宇宙とはずっと疎遠でしたが、最近宇宙関係の取材執筆をする機会も増えていて、宇宙飛行士など、当時思っていた夢を思い出すことが増えてます。
こないだも、これから宇宙で始まる最新の宇宙線観測についての話を取材したら、とても面白く刺激的で引き込まれました。宇宙物理の話などは、その道をわずかとはいえ志そうとしていたにもかかわらず、当時は「難しくてとても、、」と思ってしまい、結局その世界を断念してしまったわけですが、厳密な計算などは置いておいて概念的なところだけを学んでみると、案外難しくなく、理解しやすく、そしてものすごく面白いことに今更ながら気づかされます。

学生時代は、厳密に迫ろうとしすぎたせいか、本質的な面白さをちゃんと理解する前に、理論のところで断念してしまった気がします。そういうところはとりあえずすっとばしても根本の考え方はそれなりに理解できるし、そういうところに目を向けることができれば、宇宙や物理や数学の面白さは、きっと誰にでも感じられるものなのではないかと思います。

たとえば、ニュートン力学の世界観と相対論の世界観って、根本的に何が違うのかということを学生時代の自分はきっとうまく説明できませんでした。ニュートン力学については、運動方程式を用いて物理の問題は解けるけれど、ただそれだけ、という感じ。でも、いまは、たぶんもう問題は解けないけれど、

・ニュートン力学は
「空間と時間は誰が測っても平等に同じ。それが絶対的な基準である。そこを出発点としてすべての物理法則ができている」
と考えるのに対して

・相対論は
「空間も時間も絶対的なものではない。見る人によって異なる。では何が絶対かと言えば、光の速度である。光の速度だけは、だれが測っても平等に同じ。それが絶対的な基準である。そこを出発点としてすべての物理法則ができている」
と考える。

ということはわかるようになりました(たぶん、これでよいかと、、)。

そういう根幹の違いによって描く世界観が違ってくるということさえわかれば、案外すんなりといろいろ見えてくる気がするのに、全然そういう風に理解できてなかったように思います。今思うと、あまりに基本的なことなのに、入試問題の解き方とかばかりに目がいってると、もっとも大切なところがスルーされてしまってたりすることがあることに気づかされます。まあ、結局自分の真剣度がその程度だったということになると思うのですが。

いずれにしても、『考える人』は、いつもそういう根本的な考え方を教えてくれるというか、全く知らない分野についても知的好奇心を掻き立ててくれるとてもいい雑誌です。こういう雑誌は数少なく、貴重な存在で、今回も宇宙の面白さを垣間見るには、いい特集になっているように感じます。

ぼくも今回、地球の生活に生かされている宇宙の技術について調べたら、思わぬ発見がたくさんあって、宇宙の面白さを再確認。学部時代の友人がJAXAに勤めていてこの分野の専門家になっていて、彼に取材できたのもうれしいことでした。

特集以外も、連載陣は是枝裕和さん、池澤夏樹さん、高野秀行さん、石川直樹さんなど豪華で、いつも読み応えたっぷりです。


Posted by ykon at October 6, 2015 5:22 PM | トラックバック
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