(バス停に張ってあった反日のビラ。常任理事国入り反対、教科書問題、靖国問題が主なテーマ)
最近、報道されているように今中国では反日感情がすごいです。北京、広州、上海などの話はメディアでも大きく取り上げられていますが、昆明でも、反日感情が強まっていることは変わりません。
雲南大学の構内には反日の垂れ幕が下がっていたし、また、びっくりしたのは、街かどで「反日」Tシャツが売られていることです。白地に大きく「抗日ナントカ」とか「反日ナントカ」と書いてあり、隣には、その韓国語版も売ってました。写真を撮りたかったのですが、ちょっとビビってしまいまだ叶わず。一応いくらか聞いてみると爽やかに教えてくれはしましたが(20元=260円)。
それから、中国人の友達には「街なかで日本語を話すのはやめた方がいい。危険だ」とよく忠告されるし、他の友人からは、ぼくらに会うに当たって友達に「なんで日本人なんかと会うんだ」といわれたということも一人ならず聞きました。
また、本格的にビビってしまうのが暴行事件。これは二ヶ月ほど前のことですが(今のように反日の空気が高まる前)、昆明で日本人が日本語を話してたために中国人に殴られています。彼に聞いたところによれば、外国人がよく集まるカフェで日本語を勉強する中国人たちと日本語で話していたところ、その一緒にいた中国人が、他の席に座っていた中国人たちに、「お前なんで日本人なんかといるんだ?」と聞かれ、「今度日本人といたら承知ししねえぞ」的なことをいわれた。その後みんなで店を出て、その日本人が一人になったところ、店にいた中国人たちに囲まれ、何箇所か殴られたとのこと。すぐに、目の前のゲストハウスの警備員が駆けつけてきたため彼らは逃げていったとのことですが。
とまあ、なかなか理不尽で物騒な事件や話をよく耳にします。
だから、ぼくらもバスの中などではできるだけ話さないようにしたりせざるを得ないし、他の日本人の友達は「自分は韓国人だ」というようにしているとか、そういうことを真剣に考えたくなる状況ではあります。
とはいえもちろん、過激な行動に出る人はほんの一部でしかありません。多くの中国人はそんな態度は見せないし、日常生活の中で直接的に嫌な思いをしたことはまだありません。ただ、多くの中国人がほんとに日本を嫌いなんだなあとつくづく感じさせられることはあります。普通にぼくらとご飯を食べたりしている人でも、そういう雰囲気をたまに感じます。
ほんとに問題は根深いなと思います。ぼくはこれまでの取材の経験などを通して、中国の反日感情にはやはり根拠があると考えているし、最近の日本政府の姿勢には全く賛同しかねていますが、その一方で、中国は中国でまた同じような問題があるということは中国に住んでみて感じています。中国のメディアでは確かに反日のニュースが多く、言論の自由が規制されているこの国ではおそらく多くの中国人にとってそれ以外の見方を知る機会は少ないだろうし、大学生などと話してみてもその大多数が、議論の余地のある問題についても「日本=悪」という構図だけを信じきっているように見えます。彼らに対して「この問題についてはこういう見方もある……」と言ってみても、簡単には理解してもらえなそうなのが現実で、そういうことを見ると、中国の日本に対する歴史問題の抗議などは、そのまま中国にも当てはまるようにも思います。
でもよく思うのは、反日を理由とした暴力などは許せなくとも「中国=過激な反日感情」ではないということです。日本では過激な反日活動ばかりが報道されるものの、実際にはもちろん、日本人に対して友好的な中国人がたくさんいるし、ぼくらはそういう中国人たちの温かさを日々感じてます。中国をそのまま反日の人々の国と理解して、それを反中で返しても事態は悪化するだけで全く解決には向かわないだろうな、と。
(中国人の友達。中国語と英語(日本語の予定だったのですが…)の語学交換のようなきっかけで知り合う。彼女は冷静かつ客観的な意見を持つ人。だけど、やっぱり友達には反日派が…)
結局、理屈だけで議論しても解決は見えないし、ほんとにお互いが相手の立場にたって考えていかないと全く進展はないだろうな、と思います。中国でこの反日感情の発現を目の前にして、そんな人としてのごく基本的な気持ちがいかに大切かをつくづくと感じさせられます。
でも逆に、このような時期の中国にいられたことは貴重な経験であるとも思っています。初めて、差別を受ける民族的マイノリティーの立場というものを、多少なりとも自分の問題として身に染みて感じることができているように思うので……。
しばらくは気をつけて生活します。この状況がずっと続かないことを願って。
(たまに行く市場で。ここの野菜は値段が書いていないため、ぼられても分からない。しかもスーパーの方が安いことも多いので、よく利点が分からないのですが…。
(同じ市場で肉を買う。肉はどこでも基本的にこのように机にドカッとおいてあります。こないだ一度、ひどく古そうな肉を買ってしまい、それを食べてぼくは極度の下痢に…。だけどこれでも、ほとんどの場合問題ありません。肉はピースごとに値段が違って、ほとんど向こうの言うがまま。値切っては見るものの、それでもボラれている可能性大。)
(買った肉を、ここでミンチに。ミンチ料金:4円。とても感じのいいおばさん)
(子供を抱えながら客を待つ靴磨きのお姉さん。靴磨き屋さんはとても多い。子供と一緒の姿をよく見かける)
こんちゃんお久しぶりです。林君にこのホームページのことを教えてもらいました。結婚おめでとう!楽しい旅行してるみたいですね。僕も博士号をとったら1年くらいうろちょろしたいなと思っています。
僕のハワイ大学の寮には東チモールからの留学生が10人くらいいて、週末よくパーティーします。ここ数年5月20日はこちらに残っている学生が主催する大パーティーがあり、彼らの団結を垣間見ることができます。ただ、誰も国家を歌えない、ポルトガル語だから。
大統領夫人が講演に来るというので行ったら白人のオーストラリア人だとわかってびっくりしました。通訳として独立運動を支えてきたらしい。全員が話せる言葉を持たない土地だから通訳はきっと大切な仕事なのだろう。彼女と話したとき、20年30年後にどの言葉が公用語になっているかは分からないわみたいなことをおっしゃっていました。
ともあれ、これからちょくちょくホームページに来て、過去の記事拝読します。これからも記事楽しみにしてます。
篠塚陽平
Posted by: 篠塚陽平 at April 12, 2005 1:14 AM