Cinémathèque françaiseでDouglas SIRKの回顧上映をみる。今日は2本。LURED(Des filles disparaissent /USA /1946 /102' /VOSTF /35mm)とA Scandale in Paris(Scadale à Paris /USA /1946 /100' /VOSTF /35mm)。とくに二本目は革命後のどさくさに警視総監にまで昇ったいかにも18世紀的な人物François Eguène Vidocqの物語だ。このA ScandaleのLoretta役の女優がとにかくきれだった(Carole Landisという女優だろうか)。彼女が登場するステージのシーン。大きく貼られた円形の薄紙のスクリーンの向こうに露なstrippedな彼女のシルエット。火のついたスクリーンが見るまに燃え上がりその奥から現れる彼女の艶かな笑顔。どう見ても革命直後のパリではなく戦前のNYとしか思われないホール。思えば映画の最後で彼女が帽子店の二階で亭主に射殺されるシーンでも、彼女はついたての向こうでシルエットとして浮かびあがり、そして文字通り彼女はいまこそstrip=着替えている。しかしもはや誤った結婚に倦怠するひとりの女としてに過ぎない。亭主が背負っている鳥カゴ。その鳥カゴの格子の落とす影と光のレースのなかを飛び惑う鳥たちの影、さえずり。またVidocqが、長年の相棒であるÉmileと対決するシーンで、メリー・ゴーランドがまさにまわりださんとするその緊張は、まさに映画的な瞬間で、George Sandersを銀幕上に認めたのも思えばそうとうに昔のことで、映画館に戻った感動からか気持の高まりをおぼえた。ちなみにLUREDから引き出される教訓は「もてる男はボードレールなぞ読まない」ということで同伴の友人と意見の一致をみた。
ちなみにCinémathèque françaiseはフリー・パスを発行していて、月10ユーロで見放題。ぜひabonnerしましょう。またSIRK回顧上映会とともに、Jean RENOIRとDavid CRONENBERGの回顧上映も平行して開催中。シネ・フィルだけでなくオールド・ファンやサブ・カル系映画ファン(という括りが有効かどうかはひとまずおいて)も厭きさせない文化飽食パリの秋です。ついでに水曜日からMartin SCOESESEの回顧上映会もCentre Pompidouで始まる。こちらは55€のカタログも充実。パリはすでに霧の中、氷点下の夜には映画館が暖かい。
Posted by tdj at 2005年11月20日 10:59