April 22, 2009

大麻と捕鯨<Kyoto, Japan>

最近、とても不可解に思うのが「大麻汚染」がらみの報道。

昨日の毎日新聞の報道でも
「現場発:サーファーに広がる大麻汚染 「たばこより無害」のうそ /宮崎」

なんてなっていたけれど、大麻が本当に悪いのかどうか、という議論がどうしてメディアには全然出てこないのだろう、というのを前から疑問に思っています。
上の記事には、

<「大麻が禁止されていない国もあるのに、なぜ日本では違法なのか」と罪の意識は希薄で、害に無頓着な者もいた。>

とか書いてあるけれど、これじゃあ、「違法じゃない国は、どうして違法じゃないのか」ってことを問おうとしているサーファーに、「うるせー!だめなものはだめなんだ!反省しろ!」っていう理不尽オヤジ的返答です。この記事に出てくる医者の一人も
「自分にとって好ましい変化が生じれば、使用頻度は増え、依存に陥ることは十分にある」
といっているに過ぎないし、記事に出てくる後遺症で悩む人の半分ぐらいは覚せい剤の話......。

最近では、中村雅俊さんの息子も捕まって芸能界をやめさせるみたいな話になったけれど、ほんとにそこまでいけないことなのか、ってのは、けっこう多くの人が思っているのでは?という気がします。メディアでは、「ほんとに今の大学の状況は怖いですね、なんとか対策を打たないといけません」みたいなコメントばかりが流されるけれど、大麻が蔓延する最大の原因は「どうして大麻が悪いのか」ということを誰も説得力を持って説明できていないからなんじゃないかと思っています。

先進諸国、どこを見ても、大麻がこんな扱いをされている国はないはずです。オランダはいうまでもなく、スイスも聞いたところでは、持っているところを警察に見つかったら3回目は罰があるという程度のようだし、オーストラリアも、他の欧州諸国もほとんどは、売買はだめだけれど、自分で栽培して自分で吸う分にはOK,ということだったはずです。

オランダでは、大麻を合法化することによって、覚せい剤を密売する組織から若者を切り離すっていうやり方がある程度成果を出しているみたいだし、オランダ人の友だちによれば、オランダでは大麻は若いときにみんなちょっとやってみるだけで、合法化されているとそこまで興味を持たなくなるっていっていたけど、確かにそんな印象を受けました。

とはいえ、だから日本も欧州にならってすぐに合法化すべきだ、といいたいわけではありません。というのはそれぞれ国ごとに文化や歴史があるわけだし、十分に議論が積み重なったあとで、日本にはあわないから違法にする、というのであればそれはそれで一つのあり方だと思います。医療の問題などと同様に。

オランダでも、大麻を違法化すべしという主張は保守層を中心にずっとあるし、ぼくらがオランダにいたころも、大麻販売を許可されている「コーヒーショップ」が、さまざまな理由によって次々に営業停止においこまれているという状況でした。

ちなみにオランダの大麻政策でおかしいとされているのは、コーヒーショップが一定量の大麻を売ることは合法化しているのに、(店が)買うことは合法化されていないということ。もちろんコーヒーショップは大麻をどこかから仕入れているので(自分で全部栽培するわけにもいかないので)、買わないといけないわけなので、「売ってはいいけど、買ってはいけない」ということは無理な話なわけです。その辺がなんだかうやむやになっていて、だから、そこにいろんな闇組織が絡んだりとか、外国から密輸されたり、ということになってしまってるようです。

モロッコで、ぼくらが最初に船が着いた港町の宿のおじさんが、この一帯は大麻の輸出が大きな産業だと言っていたけれど、おそらくその大部分がオランダに密輸され、モロッコの一部の人が儲けて、子どもが労働させられて・・・見たいな構造があるのではないかと予想されます。

たとえばそんな感じで、闇組織の資金源になるからよくないとか、途上国での搾取を促すからだめだとか、(あとは、EUは事実上国境がないから、フランスやベルギーの若者がオランダにやってきて、大麻を吸いながら自国に戻ったりするから、近隣諸国が嫌がってるからとか)、そういうことがちゃんと表明されれば、大麻が非合法とされても一定の説得力があると思います。非合法にしなければいけないほど健康によくないとか、反社会的だとか、精神を侵す、という主張が全く世界の趨勢ではないことはもはや明らかなはずなので。

が、日本の現状をみると、「とにかく大麻はよくない、反社会的だ、身を滅ぼす」みたいなことばかりを理由なく喧伝しているだけなので、その路線を突き進めばむしろ反発を招くだけなのでは?と思ってしまいます。結局いま、一般に共有されている大麻の怖さは「逮捕されるから、社会から追放されるから」ってことだけになっているような。それじゃ全く本末転倒です。

ここまで反対意見が公に出てこないところをみると、もはや大麻擁護をしたら、いっせいに叩かれるだろうから、だれも口に出せないってことのような気もします。何かをきっかけにちゃんとした議論が始まれば、建設的な方向に向かう気がするのですが。。。

その辺が、欧米と日本の間にある捕鯨問題を思い出させます。欧米人の反捕鯨の主張が全然日本人を説得できないのは、結局、どうして捕鯨が悪いかを全く説得力を持って説明できないから、という点で。

大麻問題、日に日に腑に落ちなくなってきて、久々にブログでもこういう問題について書いてみました。


Posted by ykon at April 22, 2009 11:07 AM | パーマリンク | コメント (2) | トラックバック (0)

April 13, 2009

炎が上がるって?!<Kyoto, Japan>

今日からモトコが大阪に2日間泊まりの出張。京都にいるのに大阪に泊まる必要はないのでは?と思ってしまうのだけど、連日の会議の準備などが朝からあるため、ホテルに泊まって朝から仕事、ということらしいです。

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(2004年2月1日。本文と全く関係ありませんが、写真編はいよいよバンバリー時代終了へ。お別れの時期です)

というわけで、ぼくはここ2日ほどひとり。新居に来てから、まだ二回目かなひとりなのは。
最近はいろいろあってぼくがご飯を作ることが多く、だんだん和食の腕も上がってきたかな?と自画自賛しているのですが、一人だと作る気もせずで、今日、明日は近くで外食しようかなと。

ただ、家ではかつお節からダシをとったり、砂糖は一切使わないようにしたり(甘みはすべてミリンでOK)なんてしているうちに、自分たちでつくるさっぱりした味に慣れてきて、たまに外食するとなんか味濃くて、しっくりこないことが多くなってきたような。でも、今日は夜に塾の仕事があることもあって、ディナー予定時間も遅いので、どこかでラーメンでも食べようかと。近くにうまいところ、ないかな~と考えているものの、まだ全然未開拓。炎が上がることで有名らしいラーメン屋が徒歩数分のところにあるのだけど、そこは「炎が上がってびっくりするだけで、大してうまくない」という友人の評価が気になるところ。

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(これも2004年2月1日。絵になるスイス人カップル。彼らともお別れ前。去年スイスで一緒に別荘に行った二人です)

しかし、京都は、あらゆる路地や小道に、やたらと小さい飲み屋や小料理があるのがすごいです。ぼくらのうちのある通りも基本的には住宅街っぽいのに、家を出て左右200メートルぐらいの間に飲み屋、食事処が4,5軒あるような感じです。そしてそういうめしやだけでなく、京都の路地には普通の家のなりをした伝統産業の会社もとても多いです(雛人形屋とか、刺繍屋とか)。よそ者から見ると、すごいディープな産業が多い気がして、商売なりたってるのかな、と思ってしまうものの、でもああいう小さな会社が、京都の伝統工芸と文化を支えているんだろうな、と感じます。

再来週は、複数の編集者に会いに東京へ。本出版に向けて、少しずつ話が進んできてます。一つは、概ね決まっていて(のはず......)、そのほかに2つ、今度の東京でなんとか前進させたいところ。関西来てからとてもいい編集者との出会いがあり、その方には本当にいろんな人を紹介してもらって人脈が広がりつつあります。そこから少しずついろんなものを形にすべく、いまいろいろと悪戦苦闘しています。フリーは本当に人とのつながりが大事だなって実感する日々です。

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(2004年2月15日。バンバリー出発に当たって、大陸縦断するために買ったぼくらのバン。これまでの人生で唯一の、マイカー。1979年の「ニッサンE20」。なんと70000円で購入。機械はむき出し(下の写真)で、ラジオ、エアコンなどの文明機器は全部機能せず。割れた窓はガムテープで補修され、フロントグラスには銃弾か?という痕とヒビあり。後部上段にベッドを作り、下段に荷物、調理器具、ガスタンク、予備燃料などぼくらの全家財道具を積み込み出発しました。)
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Posted by ykon at April 13, 2009 3:35 PM | パーマリンク | コメント (2) | トラックバック (0)

April 6, 2009

ブームは、当の昔に過ぎ去った<Kyoto, Japan>

昨日、天気もよかったので買い物をしに久々に四条河原町へ。京都一の繁華街。

日本に帰ってきてから、旅の装いを脱してもう少し洋服でもほしいなという欲が芽生え始めたものの、冬のアウターとかは高いからなかなか手が出ずで、今年の冬はほとんどユニクロのパーカーで越してしまいました。結構それで越えられてしまったのは、去年のキルギスやカイラスの極寒の記憶が身体に残っていたからかな?

しかし春になったらもうちょっと安くでいろいろ買えるし、などと思って、久々にセレクトショップや古着屋へ。

寺町の古着屋に入ると、自分が高校時代に結構はまった、ヴィンテージの軍物フライトジャケットを複数発見。当時ぼくは、大の古着フリークで、夏休みとかのわずかなバイト代を貯めて、さらに半年ぐらい、シモキタ、渋谷、原宿、高円寺、などのあらゆる古着屋を回って、一つひとつ品定めしながら、確か7万円ぐらいの大奮発で60年代のMA-1(後期型)を購入したことがあります。何しろ高校生なわけだから、7万円なんて、まさにいまロレックスを買うぐらいの超気合の入った買い物で、丹念に見て回りました。

その結果、風合い、年季の入り具合がとてもかっこよくて、これは一生ものだ!と思えるものを喜んで買ったものの、なぜか帰ってきてみると、どうもサイズが大きい。あんなに慎重に見て回ったはずなのに、なぜサイズが合ってないものを買ってしまったのか、いまでも非常に謎(笑)。家に帰って着てみて、「あれ、なんかデカいな......」とちょっと顔面蒼白になり、そして微妙に悲しくなりつつも、無理やり「いやこれでよかったんだ」と納得しようとしていたあのときの自分を思い出すと、10代の自分の姿に少々切なくなります(笑)。

いずれにしても、一生もののはずのあれも、すでにどこに行ったのか全く不明。ほんとにどこにいったのだろう。。。しかも、結局数年しか着なかったなあ......と、久々に懐かしい日々のことが頭にちらほら。

で、昨日、その店の中で、フライトジャケットのいわゆる"初期型"と言われる50年代のお宝のものっぽいもあったので、おお!と思って、値段を確認すると、31800円。え?こんなに安いの?とびっくり。これ、多分15年前なら20万は下らなかったはず。近くにいた、腕にギブスをはめつつもさわやかな笑顔の店員に聞いてみると「もう、ブームは終わりましたからね」と。そりゃそうだよね、ブームは10年ぐらい前に終わりましたよね、多分。しかし自分はあのころ、まさにブーム真っ只中の超高騰期に買ったことを実感。あれ以降、いまだに7万円超える服なんて買ったことないし。。。

などと、昔の日々に浸りながら、大量の観光客に紛れてモトコとふらふら。しかし、この時期の京都の観光客は本当に多くてびっくり。四条河原町は新宿ばりの混みよう。昨日は鴨川沿いの桜がとてもきれいで、だから特に人が多かったはず。あの様子、写真撮れなかったのが残念。

鴨川沿いを自転車で走ってると、いつも、ああ、京都、いい町だなって、思います。

ちなみに、おかげさまで、腎臓の方は、とりあえずよくなったっぽいです。痛みも完全になくなり、土曜に病院にいって、再度検査をしたら、腎臓の腫れもすっかりひいた様子。「もしかしたら石がとても小さくて、すでにでちゃったのかもね」とお医者さんも言ってましたが、いずれにしても七転八倒することなく、石が出てしまったとしたら、超ラッキー。まだどこかに潜んでる可能性も捨てられないけれど.....。

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(今日は、北朝鮮の「ミサイル」問題に絡んでいろいろと感じていた報道に不可解さについて書こうと思っていながら、結局全く触れずに話がまとまってしまいました。いま、アメリカの記者が北朝鮮に拘束されているけれど、ぼくらがこの写真を撮り、中国と北朝鮮の国境の橋を渡ったときのことを思い出すと、本当にヒヤリとします。ちなみにこれは、06年の北朝鮮の核実験やるよ宣言の翌日のこと。この写真を撮ったときは核実験のことなど全く知らずでした。。。向こうに見えるのが北朝鮮。このあと北朝鮮の大地へ)

Posted by ykon at April 6, 2009 8:43 AM | パーマリンク | コメント (5) | トラックバック (0)