October 13, 2006

吉林省旅行の続き3 <橋を渡る>

北朝鮮無謀入国の旅、いよいよ北朝鮮編へ。

さて前回は、中国側の国境職員たちを説き伏せて、あれよあれよと国境の橋を渡りはじめることができちゃった、というところまででした。

IMG_5588.jpg
(前回の素子の後ろ姿の写真と同じ場所。向こう岸が北朝鮮。背後にいる少年番人くんにばれないように背中でカメラを隠して撮影)

IMG_5591.jpg
(しばらく歩いてもう何度か撮影。小心なので、結構びびって、撮ってはすぐにカメラをしまいました。素子「やめーや!」)

正直、数百メートルぐらいな感じのこの橋を歩きながら、いきなり撃たれるんじゃないか、とかもう偏見に満ちた変な妄想が浮かびまくりました。その一方で、後ろを振り向くと、数人の中国人が、橋を渡るぼくらを見ながら少年番人くんに何か文句を言っている様子。彼らは、ぼくらとともに、出国審査の建物を出た後、「昼休みで国境閉まっちゃったから、1時半まで待ちなさい」と言われ、がっかりしていた中国人旅行者(なのかなんなのかは不明ですが)たち。

「あいつらなんで橋渡ってんだ?」って言ってるのが聞こえてきそうな雰囲気で、それでなんとなくこっちは得した気分に(笑)。彼らも必死に交渉しているに違いないことを考えると、なんでぼくらだけを渡らせてくれたのかは、おそらく言葉があまり通じなかったからかもしれません。だって少年くん的にも、「こいつらは話しても分からないからめんどくせー」って思ってたかもしれないので。

いずれにしても、橋の上ではほとんど物音も耳に入らず、ただ二人だけでドキドキしながら歩きました。北朝鮮側の陸地の緑と、空の青と、川の流れが、なかなかきれい。そして、向こうはどうなってるのかな、なんて思っていると、橋の中間を示す赤いラインが。
「止歩」
と大きく書かれていて、この先からは橋も北朝鮮側なんだなということが分かりました。写真を撮りたかったものの、さすがに北朝鮮側に入ったとなると、緊張感も増し、しかも橋のはしっこには、小さく北朝鮮側の少年番人くんの姿が見え出していたような……。さすがにカメラを撮りだす気にはなりませんでした。

そしてさらに歩いていくと、いよいよ橋も終わりに近づき、北朝鮮側の小さなゲートと、ポールの上に掲げられた国旗が見えてきました。で、その横の詰め所にはやはり少年番人くんが待っていた。あなたたちは何者ですか??というちょっと不思議そうな顔をして。。。

しかし、彼がなかなかのさわやか青年風。おそらく多くの日本人が共通に持っている北朝鮮の兵隊さんのイメージとは全然違った、人のよさそうなさわやかくん。

「ちょっとだけ観光しに来ました」
と中国語で当然のように言ってみると、まず何よりも言葉が通じない。久々に言葉がほとんど通じないことの不便さを実感するも、ゆっくりと何度も繰り返すと、とりあえず分かってくれた様子。ま、観光目的とかそういうことを分かってくれたかどうかは別として、状況として、「橋を渡らせてくれ」って言ってるに決まってるわけですが。

すると、
「不行(ブ・シン)、だめだ」
と、彼も辛うじてしゃべれる中国語で返してくる。「悪いけどだめだよ」といった感じの、ちょっと申し訳なさそうな笑顔を浮かべながら。

しかし、ここまで来たら、もちろん粘ります。ジェスチャーと笑顔の嵐で攻め、パスポートにちゃんと中国出国のハンコをもらってることを見せる。すると途中で彼も折れ始め、「上司に聞いてみるからちょっと待ってて」って感じのジェスチャーで、詰め所の中へ電話をかけに行ってくれました。おお、これは行ったか!?と思い、気をよくして待っていると、しばらくしてさわやかくんが出てきて、また例のさびしげな笑顔で手を横に振りながら「不行」と何度か繰り返す。「だめ?だめなの?」と聞きなおすと、「うん、だめだって」とさわやかくん。

しかし、数メートル先に北朝鮮の土地を見てこのまま戻る気は全くせず、あとはとにかく、笑顔&お願い!で攻める。そして、その場を動かない。……するとしばらくして、突然さわやかくん。

「わかった、いきなよ」

と、いきなり許可してくれた!あれは完全に彼の決断。こっちが、え、勝手に決めていいの?と思ってしまうぐらい、突然彼が自分の意志で通してくれたという感じでした。その彼に感謝し、そしてなぜ通してくれたんだろうという不信感も抱きつつ、いよいよ橋を渡り切る。そして、時計を見ると、11時30分ぐらい。12時に中国側の国境が閉まるので、まだまだ時間はある。それまでに見て、さっと戻ってこよう――。そう思って、北朝鮮の大地へ第一歩を踏み入れました……。

と、ここまで書いて、またまた長くなってしまったので、とりあえずまた次回へ。(もったいぶってるわけじゃないのですが、書いてるといつも予想以上に長くなってしまって……)

……なんてことしてると、あきられちゃうかもしれないので(笑)、次もできるだけ早くアップします!


Posted by ykon at October 13, 2006 2:29 AM | トラックバック
コメント

う・・・・・・
続きが気になる~!!
なんか、ドキドキしてきました(*>ω 素子さんの日記と、
こうして雄生さんがブログ更新してることで
無事なのは分かっとるけど・・・

Posted by: Chie at October 13, 2006 4:29 PM

なんか、連ドラの「つづく」みたい。
ドキドキしながら読んでいます。
続き、楽しみにしています♪

Posted by: リカ2 at October 14, 2006 12:23 AM

きれいに晴れ上がった那覇空港と那覇港を望みながら、これを書いています。
昨日の朝は地対空誘導弾パトリオット・ミサイルの発射台を運んできた大型貨物船が那覇軍港に停泊していました。
ただいま8:55に入って来たニュースで、米国が北朝鮮の核実験による放射性物質を確認しました。
日本は北朝鮮との貿易を全面禁止する措置を取りました。在日朝鮮人以外の北朝鮮国籍者の入国も不可です。
北朝鮮も対抗措置を取るものと見られます。
ブログを見ている方は楽しいですが、十分注意してください。

Posted by: カク at October 14, 2006 8:59 AM

一緒に旅をして北朝鮮入国しなかった者です。
うざいコメントを書くよ、友達と思って許して↓

旅行が終わって「何で二人をもっと止めなかったんだろう」って思ってる。私は先に延吉に言ったけれど二人が
「自己責任で行く」って言って何も言えなかった。
一人で延吉に向かうバスの中「自己責任」って
言葉をずっと考えたよ。自己責任って何だろうって。

もし二人に何かあったら私はもちろんまず日本の
大使館に連絡して、二人の親族に連絡とって
友達にしらせて・・・って自己責任っていったって
心配する人たちの感情や周りへの影響までは
責任をとれないんじゃないかと思った。だから
自己責任っていうことばは、あって無いようなもの
なんじゃないかと。

だから二人が無事に帰ってきたときは
真面目に泣きそうに安心したよ。まってる間
超ぴりぴりしてたよ。核実験のことがなかったと
してもやっぱり止めればよかったと今でも後悔
してます。

ブログだけを見ている方にもこの葛藤が伝わればと
思い書いてみた。。。

Posted by: maiko-in-china at October 14, 2006 2:48 PM

>Chieちゃん、リカ2さん

予想以上に長くなってきちゃった~。やっぱりすごくいろんな場面が記憶に焼きついてるからかな。。。もうちょっとお待ちを。。

>カクさん

コメントありがとうございます。また、ご心配ありがとうございます。この体験をしてから北朝鮮の問題もとても身近に感じるようになりできるだけニュースをチェックしてます。

ちなみに、ブログの中にも書きましたが、今回のこの北朝鮮インを決行したときは、核実験の話は全く知りませんでした(後に書きますが、北朝鮮側で偶然会った在日朝鮮人の方にそのことを聞いてびっくり、という感じでした)。

あまりにタイムリーに核実験のことがあったために、このブログの文面は、そのとき実際に自分たちが感じていた以上に危険な行為に見えてしまっているということはあると思います。言い訳するわけではありませんが^^;。。

でも今回のことで、いろいろと想定外のことがあることを改めて体感したので、今後の教訓にしたいと思っています。

ではまた!

>maikoちゃん

心配かけてごめん!自分の責任でって言いつつも、何かあった場合にはまず麻衣子ちゃんに迷惑をかけていただろうことは間違いないので、無責任だったと反省してます。すみませんでした。

でもただ、あのときは核実験の話を三人とも全く知らなかったから、今考えるのとでは緊迫感はかなり違ってたよね?おれたちも実験のことを知ってたらさすがに行ってなかったです。

って書き出すと長くなるので、また、メールします!

Posted by: こん at October 15, 2006 1:18 AM
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