北朝鮮が核実験を行なったというニュースによってやたらと北朝鮮がクローズアップされているここ最近ですが、前回書いたように、ぼくらはそんな予兆も何も知らずに、北朝鮮―中国の国境へ行き、「外国人も北朝鮮に渡れるよ」という中国側の意外な返答にびっくりしつつ、しかも、「国境を超える外国人も結構いるよ」なんていうので、それならば、ちょっとだけ見てみたいな、と北朝鮮インを試みました。
(前回と同じ地図)
前回写真を載せた3国の合流地点を見た翌日。一緒にいた友人は、立場上の問題もあって国境は越えられないとのことだったので、申し訳ないながら彼女は一人先に次の目的地である延吉に行ってもらい、素子と二人、宿のおじさんに車を走らせてもらって再度その国境に(上の地図中の琿春(フンチュン)とその右下の尖ったところの間ぐらいのところにある)。大丈夫といわれながらも、やはり気持ちは落ち着かない。北朝鮮に関する情報なんて本当に限られたものしかないため、メディアから与えられたイメージから考えると、あまりに謎でビビッてしまう。しかし、実際に国境を越えて北朝鮮という国の土地を踏んでみることで、そういう情報以外の自分自身の体験によるイメージがもてるのではないかという期待を持って国境に向いました。
街から40分ぐらい走って、10時半ごろ車を降りて、「圏河口岸(ジュエン・ハー・コウ・アン)」という文字の書かれた国境の入り口で門番にもう一度聞いてみる。
「日本人なんだけど、北朝鮮にいけますか?」すると、「不可以(いけないよ)」と昨日とは違う答え。でもその方が当然な気もしてしまう。
(国境の中国側入り口。「圏河口岸」という文字が見える。この横にいた門番とこの前後のやりとりをしている)
とはいえ、ここまで来てそうですかとは諦められない。昨日の門番はいけると言っていた、たった30分か1時間ぐらいだけ、向こう側に行ってちょっとだけ様子を見てすぐに帰ってきたいだけだ、と説明すると、門番はトランシーバーで中の人に問い合わせる。そしてしばらくすると、「観光ってことだね」と確認され、そうです、と答えると、「じゃあ、建物の中へ」と許可が下りた!
まず第一の関門を越えて、出国審査と税関の建物の中へ。ここでも、何人かの職員に「北朝鮮に何しにいくんだ?」と聞かれたものの、門番に言ったのと同じことを言うと、「じゃあ、一時間で帰ってくるってこと?」と、なぜか笑ってハンコを押してくれました(あとで分かったところでは、ほんとはここで北朝鮮側からの招聘状のようなものを持ってないと出国できないはずなのに、なぜここを越えられたのかは不思議)。
建物を出ると、いよいよ、北朝鮮へ続く大きな橋が見えてくる。さらに緊張と興奮が高まり、さっとカメラを出して隠し撮り。
(その写真。中央に見える小さな建物の横にいる職員が次に出てくる人物)
そして歩いて橋に向かっていくと、今度はまた別の職員にとめられる。「北朝鮮に行きたいんだけど」というと、「11時で国境は閉まったよ。午後1時半まで待たないと渡れないよ」
「え??」時計を見ると、11時5分すぎ。いいじゃないですか、と頼みこむが、午後まで待ての一点張り。午後、他の街まで移動しなければならなかったので1時半までは待てない。なので、「じゃあ、とりあえず橋の前までいっていいか?景色を見たいだけ」とさらに粘ると、「それならいいよ」とその男。
「国境が閉められちゃったらさすがに無理かな……」と半ば諦めつつ橋の目の前までいくと、橋の根元にもう一人のやたらと若い少年のような番人が。
(少年番人がいた建物の裏で撮影。向こう岸が北朝鮮。左に見えるのが、北朝鮮へつながる国境の橋)
「何しにきた?」と聞かれたので、事情を説明。そして、ダメ元で彼に再び橋を渡らせてくれないか、と頼んでみる。もちろん「だめ」。そして午後まで国境は開かないと先の職員と同じ返答。でも、目の前の橋はまだ開いてるし、しかもトラックが一台向こうから通ってきた。おい、まだあいてるんじゃないのか?と思ってさらに粘る。そして付け入る隙は、中国と北朝鮮とでは1時間の時差があるせいもあって、それぞれの側で国境を閉める時間が異なるらしいこと。
「まだいま中国側が開いてるようなので、ちょっと自分で北朝鮮側までいって、向こうの国境が閉まっているか聞いてくるよ。それで開いてたら向こうに行くし、閉まってたら戻ってくる。いい?」
と、自分でもさすがにそんな理屈は通らないだろうと思いつつも言ってみると、少年は少し考えてから、「その場合、中国に戻れるのは午後になってからだよ」。
それを聞いて、(おお、通してくれるかも!)と思ったので、まあ、それでもいいかと、「分かった。じゃあ、向こう側に行けたら戻ってくるのは午後でいいから、とりあえず橋を渡って聞いてくるね」と。しかも、もう一度、中国側は何時に閉まるんだっけ?と聞くと、なぜか「12時」といわれた。それならあと45分あったので、向こうまで行って12時まで戻ってこれるだろう、と踏みました。
いずれにしても、こうして次々と番人たちが説得に応じてくれて、ぼくらはついに橋を渡って北朝鮮側に行くことになりました。あとから聞いたところでは、この橋を歩いて渡ることはできないらしいのに、歩いていくぼくらに何も言ってこなかったのもなぜだか不明。不明なことだらけだったものの、それでもとにかく北朝鮮側に入れることに……。全くどうして、あんなに何度も、あんな適当な交渉が通じてしまったのかがほんとにわからない。。。
(めちゃくちゃな交渉でなんとか中国側の番人をみな説き伏せ、ついに橋へ!この橋の向こうが北朝鮮。)
ま、こんなわけで、とりあえず中国側は突破できたものの、北朝鮮側にはさらなる難関が……。もちろん、12時までにすんなりと戻ってこれるほど甘くはありませんでした。。。
と、ここまで書いてすでにやたらと長くなってしまったので、北朝鮮側はまた次回。
おー、アドベンチャーですな~
そして、こんちゃんの交渉力のアップが頼もしいですな。
↓の自分の体験を思い出したよ~
コソボ紛争の頃に、「コソボは通らないよね?」と散々確認してから、ボスニアからマケドニアへの長距離バスに乗ったら、夜中に道路が戦車ばっかりになっていて、超不安。。暗い中、道路標識の地名を懸命にみると、思いっきりコソボ。。
す、すごい!!
強気で交渉できちゃうあたりが
頼もしい!!
北朝鮮編が気になります!!!
>じゅん
久しぶり~。会社どうよ?うまくいってる?
北朝鮮インについて、「交渉力アップで頼もしい」ってのは意外な感想っていうか、もっちゃん笑ってた(笑)。核実験問題なんてことは全く知らずにむちゃな交渉してたので、もうちょっと気をつけた方がよかったかな、と思い直してます。やはりもっと事前調査は必要だね。
でも、じゅんのコソボの方が怖そうだな。マジで戦争してるんだもんな。それはビビるわ。北朝鮮は別にいま戦争してるわけではないしね。
ま、北朝鮮編も読んでくれ。
>Chieちゃん
いや、橋渡りながら結構ビビッてたよ、内心(笑)。いきなり捕まるんじゃないかとか、結構妄想膨らんじゃって。正直この三年半で一番ドキドキしたよ。。。
あと、メール見ました。飛行機のチケットは借り予約したけど、値段がまだ出てないとかでまだ正式に取れないので、もうちょっと待ってね。準備は順調?楽しみ!
読んでるこっちがドキドキした。
すごいなぁー、北朝鮮かぁ。
タイムリーすぎ。
続きが気になる!!
読みながらドキドキしてしまいました。
北朝鮮インなんて。。。
続きが気になります。
やってみるもんですね!この次の日記が楽しみ。
Posted by: よっしー at October 10, 2006 11:42 PM>もぎぃさん、リカ2さん、よっしーさん
続き、楽しみにしてくれてうれしいです~。
ま、別にこのあとすごいことが起きるわけではないんですけどね。。。
落ち着いたらすぐに書きます!
Posted by: こん at October 12, 2006 12:16 PM近藤君
迫力あるよ!
グロいよ!
何かたまらん展開になってきましたな。
続きはもったいぶらずに。
Posted by: かけぴょん at October 12, 2006 4:56 PMうわぁ~、リアルなレポートにドキドキしました!!
なんだろなぁ、この緊張感。
軍が海外からの援助物資を搾取しているらしいし、人々がどんな生活をしているのか興味あります。
交渉は、中国語?
ホントは、写真撮影は禁止されてるんだよねぇ。
次回の報告を楽しみにしています♪
>かけぴょんさん
どうも!元気ですか?
そういってもらえるとうれしいです。続きマジですぐに書こうと思っているのですが、たまたまかなり仕事に追われてしまって……。っていうか、北九州、北朝鮮(という吉林省)に行ったりしたからなんですけどね。
数日後にまた見てみてください。ま、そんなに期待されると、がっかりさせるかもしれないけど。。。
>みなこさん
どうも!
一応向こう岸に行ったとはいえ、実際にはほとんど何も見ていないのと一緒だったり。。。交渉は中国語、写真撮影は禁止。ま、中国側はそれほど厳しくないかもしれないけど、北朝鮮側で見つかったらかなりやばかったかも。実際ほとんど撮れてないんだけどね。
早めに次書きます!