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Posted by snotch at June 26, 2007 9:02 PM
 乗車時の混雑で車内の廊下はごった返しているので、とりあえず網棚代わりの上段ベッドにカメラバッグを置き、座席に座って股の間にバックパックを挟み、自分の身を引っ込めて混雑が収まるのを待つ。目の届かないところに放置してある荷物はいつ無くなってもおかしくない、というか実際すぐに無くなるので、車内の椅子やワイヤーに荷物をしっかりと固定して、鍵をかけておかなくてはならない。ましてや寝台列車なので、付近の人々が一晩中起きて自分の荷物を見ていてくれることもないわけで、よりいっそう気をつけるに越したことは無い。早速、座席下のワイヤーに持参のチェーンを絡め、そのチェーンをバックパックと絡めて南京錠で結合する。次に頭上のカメラバックをと立ち上がって手を伸ばしてみると、なんとカメラとレンズ一式が入ったバックがない!一体何が起こったのか瞬間的に察知したはずだが、まだ何かの間違いではないかという思いがどこかにあって、数秒の間、周囲を探している自分がいた。すぐに開き直って車外に駆け出し、顔を左右に振って目を凝らし、プラットフォーム上の人影と物影を走査するようして探すが、それらしいものは何も見つからない。絶対に見つかりっこ無いという絶望的な気持ちを抑えながら、それでもと一番近くの階段を駆け上がったが、広大なニューデリー駅のホーム群、駅周辺に広がる雑居ビルの群れ、そこら中のインド人の雑踏具合を、線路を跨ぐ歩道橋から一望したとき、さすがにあきらめた。

 あきらめた瞬間頭をよぎったのは、外国人旅行者しかいないはずの座席空間にいた三人のインド人だ。再びダッシュで車両の座席に戻った。三人のインド人は既にいない。そこで初めて全ての経過が一つに繋がった。列車に乗る前から全ては仕組まれていたというわけだ。座席に予め陣取っていた三人のインド人には任務があって、先ず標的(僕)の位置を確認して監視と誘導に優位な居場所を確保し、通路側の持ち去りやすい位置に僕の荷物を誘導し、荷物を持ち去るスキを監視して持ち去り役の人物に情報伝達することだったのだ。

 カメラバックを上段のベッドに置く際、いつもなら一番通路から遠い場所に置くか、それが出来なければ直ちに鍵をかけるのであるが、今回はそれをしなかった。それが彼らが導いた僕のスキだ。座席に着いた時点で既に、ビニール袋に包まれた小さな荷物が上段ベッドの中央付近に置いてあったのだが、僕がビニール袋の奥側にカメラバックを置こうとすると、突然隣のインド人が立ち上がってビニール袋を通路側に寄せようとする。インド人の体とビニール袋のおかげでバッグを奥にやることができない。後々から考えれば不自然極まりないこのインド人の行為にも関わらす、通路側は大混雑しているし、バックパックを担いでいて思うように身動きが取れないので、インド人とビニール袋を乗り越えてまでカメラバッグを上段ベッドの奥にやるのが「面倒臭い、後でいいや」と一瞬思った。都合の良いように自分が演じさせられることがあるということ、面倒くさいという一瞬の心境がスキへと繋がることを、強烈な形で思い知らされたのだった。