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- February 2004 Archives -

at インド マナリ(Manali) on 11/Sep/1999

Posted by snotch at February 5, 2004 12:27 AM

マナリの北東側と町の南寄りは、チベタンの居住エリアとなっている。3食カレー漬けの日本人の胃にはとても有難いトゥクパ(チベット風ラーメン)などが食べられる。こういう旅行者が集う場所に住むチベット人の中には、必ずといってよいほど商売の上手い人達がいて、特に西洋人バックパッカー向けのレストラン・カフェなどは、内装、メニュー共にインド人にはなかなか真似の出来ないクオリティを提供している所がある。
そのような地域の外れに、60年代にこの地にやってきたチベット難民達が建てたとされる Gadhan Thekchokling Gompa (ガダン・テクチョーリン・ゴンパ) がひっそりとある。入り口の脇のスペースで、冴えないおやじさんがひたすらタルチョを刷っていて、いかにも場末な感じが漂っているが、内部はきれいに手入れがしてあって気持ちが良い。タルチョの張替え時期が迫っているにも関わらず、インクのにおいをプンプンさせたおやじさんは、堂内をくまなく案内してくれた。

at インド マナリ(Manali) on 12/Sep/1999

Posted by snotch at February 8, 2004 12:00 AM

マナリの西のドゥングリ(Dhungru)村周辺に広がる森に、この地方の女神ハディンパを祀るハディンパ寺院(Hadimba temple)がある。杉板葺きの印象的な四方屋根をもつこの寺院は、杉の木が茂る森にそこだけ、ぽっかりとあいた空間にある。正面のファサードは見事な木彫で覆われており、残り三方の側面は水牛の角で飾られている。ハディンバを鎮めるための生贄の角だろうか。
どこからともなく、水牛にまたがった、とても女神には見えないお茶目なスィク教徒がやってきて、一緒に森を散策する。

at インド サルチュ(Sarchu) on 15/Sep/1999

Posted by snotch at February 10, 2004 1:23 AM

早朝6時にレー(Leh)行きのバスが出発。レーまでは475kmの道程で、順調に行けば、明日の夕方には到着する予定。4000m級を2峰、5000m級を2峰越える、世界でも稀な、高所を通るルートだ。当然、バスの運転手の力量が、快適な移動にとってものをいう場面であるが、これがなんとも頼り難い風貌で、どう見ても18,19の少年なのだ。運転する目がマジなのが、ますますスリリングな雰囲気を生んでいる。時々、彼の隣についている先輩ドライバーらしき人物に、何かしらのアドバイスを求めるのもやめてほしい。
マナリを出発して最初に越える峠、ロータン峠(3978m)を登る途中、谷側に転倒したトラックを引き起こす作業現場を通りかかった。遥か下まで転げて行ったトラックは数知れずだろう。運転手君ホント頼むよ。

ロータン峠にはトラックの休憩場があって、軽食を摂ることの出来る小屋がいくつかならんでいる。周囲の山々に阻まれて遠くまで視界が利かないのと、天気が穏やかなせいで、既に富士山よりも高いところにいるという実感があまり湧かない。ただ、太陽の光線が幾分鋭いように感じるのと、生き物の気配が少ないこと、売店にある売り物の値段が少々高価なことが、高所であることを感じさせてくれる。

at インド サルチュ(Sarchu) on 15/Sep/1999

Posted by snotch at February 16, 2004 2:01 PM

今日の宿泊地に到着したのは、21時をまわった頃。サルチュの少し先にあるキャンプ地には、百頭程の羊が放牧されているのと、20畳程度の広さのテントが4~5棟あるのみで、周囲の大地は、ほんの僅かの草と岩石に覆われている。ダル(豆のカレー)をいただいた後、テントの外へ散歩に出ると、上弦の月が眩しいほどに輝いていて、すぐ近くの山肌に積もった雪が、くっきりと目に映る。
寝袋に包まって布団に入ったが、テントの隙間から冷たい風が入ってくるのと、なぜか布団が濡れていて冷たいのとで、なかなか寝付けない。目をつぶっていると、風と羊の気配のみがテントの布越しに伝わってくる。

at インド レー (Leh) on 16/Sep/1999

Posted by snotch at February 19, 2004 3:02 AM

Sarchu - Leh road

at インド レー (Leh) on 16/Sep/1999

Posted by snotch at February 23, 2004 6:05 AM

Taglang La は標高5328mの峠。道路のすぐ傍らに石碑が立てられていて、そこにはこう記されている。"Taglangla. Altitude 17582ft. You are passing through second highest pass of the world unbelievable is not it?"

加えて、石碑の後ろに見えるヒンドゥー寺院は世界で2番目に高いところにある寺院であり、ここのトイレは世界で最も高い位置にあるトイレなのだそうだ。
空気が薄いとはこういうことかと、今更になって自分の身をもって知る。少し動くだけで息が速くなり、なんとなく頭がボーっとして体がだるい。頭上のすぐそばを足早に過ぎ去っていく千切れ雲が、澄みきった薄い空気を通って突き刺す太陽光線を時折遮り、その瞬間、瞬間に世界が暗くなったり、明るくなったりする。

Manali - Leh ロードは、ヒマラヤ越えの475kmもの道程を、バスで僅か2日で通過してしまえる驚異的な道だ。インド平野部の田舎道などよりも、むしろよくメンテナンスされていて快適な道である。隣国パキスタンとのカシミール問題に絡んで、ここからさらに北方の国境付近で両国軍がにらみ合っているという状況が、なぜこの驚異的な道が作られたかという理由の一つであるようだ。道中、物資や軍人を運ぶ輸送トラックの車列を何度も目にした。
当然この道のメンテナンスのために、大量の人員が配備されている。崖と空気と太陽光しかないが周囲は絶景という作業現場で、日焼けとタールで真っ黒な肌をした労働者達が汗を流している。バスに乗っていると、突然人影があらわれて、無言の戦士とでも呼びたくなるような風貌の労働者が乗り込んできて、再び無名の土地で降りていくのだった。

at インド レー (Leh) on 16/Sep/1999

Posted by snotch at February 26, 2004 2:47 AM

Taglang La 峠を越えるとバスはどんどんと高度を下げ、あたりの景色に僅かな緑の気配が戻ってくる。山間のちょっとした平地にある村を通り過ぎるところで、突然にバスのタイヤがパンクして、2時間ほど立ち往生する。
麦の収穫はすっかり終わっていて、もう今年の役目は終えたといわんばかりの静かな畑が、僅かな山間の平地いっぱいに広がっている。すぐそばから切り立つ崖は、まるで十二単の襲(かさね)の色目のように、緑や蘇芳の、幾色もの地層がほぼ垂直斜めに露出していて、グラデーションをなしている。まだ9月だというのに、冬はすぐにもやってきそうだ。